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第84回:「2025年から逆算する」
ーミドルマネジャーは見たくない現実も視る目を養うべきー

久野 正人 久野 正人

2017年1月9日の日経新聞にこんな記事が載っていました。
「どうする2025年のその先・・現実を直視せぬこの国」。
そこには、ちょうど20年前、1997年元旦の日経新聞一面の記事が引用されていました。
タイトルは、「次の世代へ2020年からの警鐘・・進まぬ改革 老い早く」。
「改革をしなければ国の老いが進み少子化で人口減、2020年を生きる次の世代は大変なことになる」と元旦から警鐘を鳴らしていました。

さて、20年経った今、日本社会はどうでしょうか?
少子化人口減は止まず、高齢化はますます進み、国のGDPも500兆円と全く伸びず、一方で「働き方改革」という極めて初歩的な話題が企業の中心課題となっています。世界に目を向けると、VUCA(注)と呼ばれる時代に明らかに突入し、Brexitやトランプ現象など、世界政治経済のゲームのルールが一変してきています。

(注)Volatility変動性、Uncertainty不安定性、Complexity複雑性、Ambiguity曖昧性

一方で、小池都知事愛読書の「失敗の本質」がブーム再来と聞きます。30年前に発刊された名著ですが、ブームが再来するということは、結局、その間、学んだ知識を実行して来なかった証でもあります。喜ぶのは出版社だけで、これは悲しい現実であることを認識すべきです。もし、10年後に再びブームになっていたら・・・考えただけでも恐ろしいことです。

2025年に話を戻しましょう。2020年の東京五輪までは何とかなりそうという見方が大勢ですが、2025年となると皆目見当がつきません。確実なのは、「人口が減って地方は惨憺たる状況になり、都市部では高齢者が急増し、医療や介護の費用が急増し、財政はパンク状態になり、介護で身動きが取れない家族が続出して・・・」(日経新聞より)ということです。

企業内に目を向けてみましょう。2025年の企業のマネジメントの中心は誰でしょうか?現在の35~42歳が、8年後に43~50歳となり、部長や執行役員に就いているはずです。VUCAで且つ日本独自の課題である高齢化社会、且つイノベーションが更に求められる環境下で、どのような経営をしていけば世界で勝っていけるのでしょうか?これからの人材育成を考えるとき、この視点を持っておくことが重要であると考えます。

私が考えるキーワードは「自立と自律」です。正解のない、正解が一つでない環境下でケーススタディのトレーニング効果は限定的になってきます。与えられた条件の中で、自ら考え気づき、最適解の仮説を立てて、それを小さく実験していく。その過程で獲得できる実践知は、VUCA時代を乗り切る大きな知だと思います。

では、具体的にどのようにすれば、この知を獲得できるのでしょうか?

その前に、自立と自律を要素分解しておきましょう。

・自分のパーソナルなビジョン(人生戦略)を創造する
自分の未来に関わる大きな環境変化を予測する
そこで、自分はどうあるべきかを思考し、仮説を立てる
仮説に基づき小さく実験してみる
実験は「他の人とともに」(目的に向けての振舞いで、上司、部下、関係者を巻き込む)
実験の成功確率(生産性)を高め、ダイナミックな変化(イノベーション)を起こす

そのために必要な人材育成のポイントは以下の通りだと考えます。

リーダーシップとマネジメントの概念をしっかり理解し、それぞれを高め、状況に応じて使い分ける
優れたフォロワーとは何かを考え、意思決定者を動かす
良い気づき、仮説を立てるための良質の問いかけをする
チャンスの機会が到来したら、「最初の90日の成功ルール」で成功確率を高める
未来を予測し、自分の未来価値を高める
そのために取り組むべき自ら行動変革テーマを決めて実践し、継続する
「他人と共に」を実現するMeaningful conversation(会話に意義を持たせる)を目的としたコーチングスキルを身につけ、日常的に実践する

さて、あなたとあなたの周辺の2025年のイメージを予測してみましょう。自分は今から8歳、歳をとり、子供も成長し、会社でのポジションも(期待を込めて)上がっているはずです。でも、あなたを取り巻く環境は、その何倍ものスピードで変化し、あなたの想像をはるかに超えているかもしれません。簡単ではない未来予測ではありますが、仮説は立てられるはずです。その仮説に向かって2025年から逆算してみると、あなたは2017年、何をすべきでしょうか?

最近、次のような考えの人に出会いました。「未来が予測できないのなら、ビジョンなど持たずに目の前のことを一生懸命やることで十分ではないか」と。一見、一理あるように思えるのですが、本当にそうでしょうか?目の前のことを一生懸命やることは否定しませんが、一生懸命やる「質」に差はないでしょうか?未来から逆算しての今の行動と、全く予測に依らない今の行動とが同じとは思えません。2025年の未来予測は明るいものではないかもしれませんが、それを直視して今やるべきことをやり、将来の経営の中枢としてのリーダーシップを鍛えておくこと。それが会社を発展させることであり、最終的にはあなたとあなたの大切な人たちを幸福に導くことに他なりません。

私は、ミドルマネジャー向けに、これらの育成をテーマにした研修プログラムを開発し、昨年10月から毎月2~4回の頻度で無料の説明会を行っています。http://www.businesscoach.co.jp/seminar/s1on1_briefing.html

純粋に自己研鑽のために参加する人、自社の人材育成の新しい視点のために学びに来る人、様々ですが、参加者に共通していることは、Brexitやトランプ現象など、VUCAが顕在化してきて、「今のままではいけない」「何か変える時期に来ている」「自分も変わりたい」と真剣に思いを馳せていることです。

従来型のミドルマネジャー向け研修だけでは、VUCAや2025年の日本社会を支える人材が育つとは思えません。私はこれからも、見たくない現実を直視し、知識を貯めこむだけでなく、未来を予測し、自ら考え、気づき、仮説を立て、勇気をもって実践していく「フロネーシス(ギリシャ語で深い思慮を意味する)リーダー」を組織の中に一人でも多く増やすための支援を続けていきたいと思っています。企業は今から2025年の経営の姿を予測し、ミドル層に投資をしていけば、きっと2025年には「投資しておいて良かった、判断は正しかった」を思えるはずです。それが、今の時代に生きる経営層が果たすべき使命でもあります。

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