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第8回:実行のために「捨てる」こととは

吉田 有 吉田 有
 ビジネスコーチの吉田です。
 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、エグゼクティブ・コーチングの
 第一人者であるマーシャル・ゴールドスミス氏は仏教徒です。
 今回は、私がマーシャルから学んだ仏教を通じた考え方を、
 どのようにビジネスの場で活かのすかについてお伝えします。
 2009年に弊社で初めてマーシャルを招聘した際、

 私は彼を広尾にある禅寺で行われた
 経営者が集まる坐禅会に連れて行き、一緒に坐禅をしました。
 
 本堂での坐禅が終わった後、
 彼は我々に「放下着」という禅の話を始めました。

 川のほとりに一人の綺麗な着物を着た女性が、困り果てた様子で
 立っていました。
 そこに二人の僧侶が通りかかりました。
 一人の僧侶Aが、その女性に声をかけました。
 「どうしたんですか?そんなに困った顔をして。」女性は答えました。
 「向こう岸に渡りたいのですが、
  この川のために着物が濡れてしまいそうで困っています。」
 
  僧侶Aは申し訳なさそうに言いました。
 「お嬢さんを助けてあげたい気持ちは山々ですが、僧侶である身なので、
 女性に触れることはできません。力になれず申し訳ない気持ちです。」
 
 すると、もうひとりの僧侶Bが言いました。
 「お嬢さん、私がおぶって向こう岸まで運んでさしあげます。
 どうぞ、私の背中にお乗りください。」
 それを聞いた女性は大変喜び、僧侶Bは女性を背負って、
 川を渡ってしまいました。
 
 それを見ていた僧侶Aは、面白くありません。
 僧侶Aは怒って、僧侶Bをどなりつけました。
 「お前はなんという奴だ。僧侶である身であるにもかかわらず、
 女性を背負って。恥を知れ。」
 さらに、夕食時に集まった僧侶たちの前でも、僧侶Aは僧侶Bに向かって
 「お前はなんという奴だ。僧侶である身であるにもかかわらず、
 女性を背負って。恥を知れ。」と叱責しました。
 
 それでも気持ちが収まらない僧侶Aは、
 夜中に寝ている僧侶Bをたたき起こし、叱責します。
 さらには、翌日の朝食の時にも同じように叱責しました。
 僧侶Bはついに、僧侶Aに言いました。
 「昨日のことは忘れました。
 あなたこそいつまで女性のことを背負っているのですか?」
 「放下着」とはこだわりを捨てる、手放すという意味です。
 
 こだわりを捨てると、楽になります。
 そして、行動するためのエネルギーが湧いてきます。
 モノを捨てるとすっきりし、気分が一新され、
 一歩踏み出す気持ちになります。
 断捨離がブームになったのも頷けます。
 禅寺に集まった経営者の方々は、
 マーシャルがこの話をしたことに驚き、とても感動していました。
 ビジネスパーソンとして日々仕事をしていると、
 「あいつは許せない」「あの一言がいつまでも気になる」など、
 無意識にいつまでも背負い続けていることがあるものです。
 「放下着」の話を聞くと、僧侶Aがとても滑稽にみえますが、
 我々も無意識に僧侶Aになっている時があるかもしれません。
 私のクライアントの経営者の方にこの話をしたところ、
 来年のテーマを「捨てる」にすることに決められました。
 年末の一日使って幹部を集め、「捨てる」ことをテーマに
 徹底的にブレストすることを計画しています。
 部下である幹部の多くは、プレイングマネジャーとして日々忙しく、
 タスクに追われ戦っています。
 そのため、どうしても余裕がなく、
 エネルギーレベルも十分には高まらないようです。
  捨てるものにはいろいろあります。
 人間関係のしがらみ、無駄な仕事、無意味な規則・・・
 こういったものを一度整理し、捨てるべきものを決めて、
 来年から新たな気持ちでスタートできるように準備をしています。
 「捨てる」コツは、深呼吸です。
 マーシャルはよく深呼吸を勧めます。
 マーシャルのクライアントであった、
 グラクソ・スミスクラインの元CEO J.P.ガニエール氏が、
 マーシャルとのコーチングを通じて学んだことにひとつが、
 「部下にコメントをする前に、深呼吸をして、
 それを話す価値があるかどうか、自問自答する」
 だったという話があります。
 深呼吸は、自分の気持ちをコントロールする時にとても有効です。
 深呼吸のポイントは
 「息を吸ってから吐くのではなく、吐いてから吸うこと」です。
 そして、肺活量を調べるときに息を吐き切るように、
 吐いて、吐いて、思い切り息を吐いたその後に鼻から吸うと
 体中に新鮮な空気が入ってきて、落ち着きます。
 坐禅には「調息」「調身」「調心」という流れがあります。

 それは、形のない「こころ」を調えるためには、息を調え、姿勢を調える、
 そうすると「こころ」を調えることができるというものです。

 今年も残すところあとわずかです。
 この1年を振り返り、あなたの「背負っているもの」が何かを考え、
 それを深呼吸とともに手放してみてはいかがでしょうか。

 

執筆者プロフィール
吉田 有(よしだ たもつ)

ビジネスコーチ株式会社 取締役
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ

日米両国日米両国の経済協力の先駆的ケースである準国策的なパルプ会社に入社し、アラスカ州シトカ市にて勤務。
帰国後、複数の中堅企業の経営を経て、当社の設立に参画。

■実 績
20年間の中堅企業の経営経験を基に、多くの中堅企業、ベンチャー企業の経営者や経営幹部に対して1対1のエグゼクティブコーチングや組織活性化のビジネスコーチングを行い、業績向上に寄与する。40,50代のシニア向けキャリアデザイン研修も行なっている。

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