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第10回:女性が発揮するリーダーシップ ~受容と共感~

川邊 彌生 川邊 彌生

<女性の特性とは>

ビジネスコーチの川邊です。
 
先日、女性リーダーのためのセミナーを行いました。
『ココ・シャネルに学ぶ』という副題で、ココ・シャネルの革新的な偉業と彼女の仕事に対する姿勢を題材に、女性が組織をリードする方法を学んで頂きました。

セミナーには、異なる業種の様々な年代と立場の方々にご参加頂き、あらためて、女性の組織に置かれている立場や役割には違いがあることに気づかされました。
 
参加者の服装や雰囲気も1人1人が異なり、個性があります。
置かれていらっしゃる状況や目指すものも異なり、様々なご経験を共有頂くことが出来ました。
 
そもそも女性は、職場だけではなく、家庭や、あるいは家庭と職場の中間地点で色々な役割を担っています。
 
妻、母、嫁、娘と異なる責任と役割をいくつもこなし、その時々の顔で子育てや介護をし、またPTA、近隣のお付き合いをし、そして時には自分自身にもどり自己啓発や友達との時間を過ごしています。
 
母だから、嫁だから、娘だからと周囲の期待を大きく背負い、常に忙しく、自分を必要とする人達の都合に左右される日々になりがちです。
こうした状況に置かれている女性は、失敗を含めてあるがままの他人を受容し、感情や痛みを共有する力が備わっているように思います。

<パリ・エルメス本店の店長のリーダーシップ>

さて、私自身も長い会社員生活の中で、数多くの尊敬出来るビジネスウーマンと働く機会がありました。

もう12年ほど前、フランスのブランドのエルメスに勤務していた時代、パリ本店を出張で訪れた時のことです。
 
当時のパリ本店の店長は、30代半ばのチャーミングなフランス人女性でした。
彼女は就任して1年を経過したところでしたが、店舗の業績が上がり顧客サービスも著しく向上したと高い評価を得ていました。

同時に、女性が登用されるとありがちな、経営陣のお気に入りだから登用されたに違いない、という心ない噂もありました。

その頃のエルメス本店には70~80名の従業員がいたのではないでしょうか。
老舗ブランドのエルメス本店ですから、皮革製品はもちろん、馬具、宝石やファッションの誇り高いベテラン販売員ばかり、平均年齢は40代後半だったと思います。

世界的ブランドの旗艦店の店長として、この組織を率いるのは並大抵のリーダーシップでは出来ません。

この若い女性が年上の経験豊かな部下たちをどのように統率し、成果をあげているのだろうか?

本店2階の重厚な店長室で彼女に紹介されると、私がまず真っ先に聞いた質問です。

「部下1人1人の障害が何なのか徹底的に聞くこと」
にっこり笑いながら、彼女は答えてくれました。

部下である彼女や彼らが、目標を達成するために、何を感じ、考え、悩んでいるのか、阻害要因を取り除くことがリーダーとしてのミッションであると、彼女は説明してくれました。

そのために、閉店後、長い時間をかけて話を聞いていることも教えてくれました。

その後、年配の販売員に聞いてみると、確かに店長が小さなことでも時間をとり話を徹底的に聞いてくれること、そして聞いたことをすぐにアクションをとって改善してくれるので、皆が安心して働き、成果をあげられるようになったと話してくれました。

<サーバントリーダーシップ>

ところで、社員の評価は、業績結果や行動特性、モチベーションなどを指標として一律に行う企業が大半だと思います。
その時、リーダーを悩ませるのは、モチベーションの低い、成果を出せない部下の存在です。

どうしたら成長させられるのか、結果を出してくれるのか、頭の痛いところです。
そして、本人もそれを自覚していることが多いのではないでしょうか。

分かっているなら何故やらないんだ、結果を出して来たリーダーはそう思います。
しかし、もしかすると、ひとりひとりに結果を出せない障壁やモチベーションがあがらない隠された事情があるのかも知れません。

例えば、一斉に走っている時に、1人、後方をゆっくり走る人がいます。
全力で走りたくないならやめればいいのに、と思いたくなりますね。

しかし、ひょっとするとその人のスニーカーの底には砂粒が入ってしまっているのかも知れません。
足にあたるその砂粒を立ち止まって取り除いたら、皆と一緒にスピードをあげて走れるようになるのではないでしょうか。

『サーバントリーダーシップ』という概念を立てたロバート・K・グリーンリーフは、その著書のなかで次のように述べています。

人間は、導く人が共感してくれ、あるがままに受け入れてくれると一回り大きくなる。
たとえ、能力の点からはやり方を批判されても、この考えに基づいて、自分と歩む者を全面的に受け入れるリーダーは必ず信頼されるであろう。

今、パワハラやセクハラが学校やスポーツの世界でも問題となっています。
力づくでは人は動きません。
周囲を受容し共感する、そして対話する能力、まさにこれはコーチングの基本です。

女性は、この力を発揮し磨いていくことで、男性にはないリーダーシップを発揮出来るのではないかと思います。

2009年度のデータをみると、日本の女性の管理職比率は10.2%ですが、スウェーデン、ノルウェーは47%を超えています。

最近、革新を起こしグローバル企業として成長している北欧企業が目立ちます。
ひょっとすると、女性の活用と企業の成長には関係性があるのかも知れませんね。

 

執筆者プロフィール
川邊 彌生(かわべ やよい)

亜細亜商務教練有限公司 総経理
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ
明治大学文学部卒業後、セイコーインスツル株式会社に入社。
その後キャセイパシフィック航空にCAとして入社し、11年間、香港で勤務。
帰国後、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルにおいてトレーニングマネージャー就任。
その後、エルメスジャポン株式会社の人事教育マネージャー、シャネル株式会社においてトレーニング部部長として勤務。
2007年イタリアのファッションブランドにおいて人事部長就任。
2012年同社を退職し、6月より現職。

■実績
キャセイパシフィック航空在籍時に、CAとしての勤務のみならずトレーニングスクールに所属しサービス向上プログラムを指導する。
同社勤務中、英国のトレーニング資格を取得し、グローバルサービスの設計と実践に貢献した。
日本帰国後は、一貫して、富裕層を対象とする外資系ホテル・リテール業界において人事制度構築・人材開発に取り組む。
多国籍のメンバーが構成するプロジェクトにも参画しグローバルなプログラムの設計に取り組む。
また、経営陣として、企業理念とサービスを実行・定着させ企業価値を高める施策を数多く実践する。
マーシャル・ゴールドスミスにも2008年来日時、指導を受ける。

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