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ビジネスのプロフェッショナルが次世代エグゼクティブをコーチする
第100回:1on1コミュニケーションへの着目

【HR】吉田 寿 【HR】吉田 寿

■1on1に注がれる熱い視線

いま、1on1への熱い視線が止まらない。
多くの企業で1on1面談や1on1ミーティング、1on1マネジメントなどの名目で、
上司と部下の間で頻繁なコミュニケーションを取る機会を推奨する動きが顕著に
出てきています。
革新的なベンチャー企業や世界的にも有名な企業が本社を構える
アメリカ・シリコンバレーでも、上司と部下とのコミュニケーションの際に、
1on1というカルチャーが当たり前になっているなどと紹介されたことも、
このトレンドにいっそう拍車をかける結果となっています。

1on1とは、上司と部下で個人面談を行い、
日々の業務での成果や失敗について話し合い、
部下に気づきを促すことで個人の能力を引き出すために行われるものです。
1on1では、上司と部下の間での関係性の構築を基礎として、
社内コミュニケーションの活性化を図り、
部下の成長支援に寄与する効果が期待されています。
人事評価との関連においても、定期的な面談だけでは不十分との判断の下、
1on1が着目されてきているのです。

このようなトレンドをどう解釈すればよいのでしょうか?
人事コンサルティングを生業としている筆者からすれば、その背景には、
従来の人事評価の実施方法に不足していた側面があったことが指摘できます。

■これまでの人事評価の問題点

これまでの人事評価は、社員をレイティング(評価段階付け)や
ランキング(相対評価)することで、心理的に社員同士の競争を煽り、
個人主義を助長してきた嫌いがありました。
しかし、昨今のように、知識労働者が組織の枠を超えて
コラボレーションしながらイノベーションを創発していく時代には、
このようなやり方には自ずと限界が出てきています。

そもそも「信頼」の基盤があってこそ、安心してリスク・テイクできる
文化が生まれます。これは近年、「心理的安全性」(psychological safety)
という言葉で表現されるようになりました。
例えば、Google の人員分析部(People Analytics Operation)が
2012年に開始した労働改革プロジェクト“プロジェクト・アリストテレス”では、
生産性を高める唯一の方法は「リーダーシップ」でも「チームの編成方法」でも
「チーム内のルール決め」でもなく、「心理的安全性」(psychological safety)
であると結論づけています。

新しい人事評価への着目は「パフォーマンスマネジメント」と呼ばれ、
新たな人事のパラダイムは「ピープルマネジメント」という言葉で表現される
ようになってきました。

旧来のマネジメント手法では、組織の各メンバーに、
事業計画からブレークダウンされた年度・半期の数値・プロセス目標を定め、
その目標の達成に向けて必要なアクションを上司・部下間で合意し、
目標の達成状況に応じて評価を決定し処遇へ反映します。
しかし現在、こうした手法に対しては、
次のような問題点が指摘されるようになっています。

① ビジネス環境の変化が早く、半年・1年前に立てた目標が実態に
 合わなくなり、目標に含まれていない突発的な変化への対応が遅れる
 などの事態が生じている。
② 時間が経過してからフィードバックでは、部下の納得感が低く学びに繋がらない。
③ 上司側も過去の記憶が定かでなく、部下の納得性の得られない面談になる。
④ スピード感が欠如し、評価それ自体が自己目的化してしまっている。

加えて、近年の脳科学(ニューロサイエンス)の発展とその成果の
マネジメント領域への応用があります。
行動の結果に対するフィードバックが効率的な学習につながり、
パフォーマンスにつながる行動が定着するためには、
行動とフィードバックとの間の時間が長すぎると効果がないということが
理解されてきたのです。
つまり、できるだけ短いタイミングで、個別に都度フィードバックを行うことが
重要との認識が高まってきました。
このあたりが、1on1へのニーズの高まりにつながっています。

■「情報交換」から「未来への対話」へ

これまでの面談におけるコミュニケーションは、
仕事上の成果や結果を出すための「情報交換」でした。
しかし、これからのコミュニケーションは、
個人にフォーカスした「未来への対話」となります。これからの上司には、
部下とのより頻繁なコミュニケーションが求められてきます。
部下に対して、環境変化により臨機応変に対応するよう促すため、
1人ひとりが何をしているか、現在のモチベーション・レベルはどうなのかを
把握するために、コミュニケーションの量を増やす必要が出てくるのです。

時に組織のミッション・ビジョンについて語り合い、
彼らの熱意と主体性を組織の方向性にマッチさせる。
試行錯誤を促して失敗から積極的に学ぶ姿勢を引き出し、
適切なフィードバックとフィードフォワードを与えることが求められてきます。
それは、スポーツ選手が最大限のパフォーマンスを発揮できるようサポートする、
コーチやチアリーダー的な役割となります。

これからの人事には、現在の制度や仕組みの何が問題なのかを包括的に分析し、
どのような施策の組み合わせが自社の経営ニーズに応えるか、
その変革に必要な道筋を見据えて考えることが必要となります。
そのために、1on1を組織の共通言語としていくことには大きな意義があると
言えるのです。

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