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ビジネスのプロフェッショナルが次世代エグゼクティブをコーチする
第103回:1on1による心理的安全性が生み出す「コンナコト」

橋場 剛 橋場 剛

2018年は「1on1ミーティング」に関する日本企業の関心事が
「1on1を導入すべきか否か」から「どのように導入すべきか」に
大きく移行した1年となりました。
多くの企業でいま2019年度からの「1on1ミーティング導入」が予定されています。

いわゆる「1on1ブーム」に火が付いた要因は複数ありますが、
中でも最もインパクトがあったのは、以下の2つの事実です。

1.職場の「心理的安全性」を高めることが組織の生産性向上につながる
2.1on1ミーティングの実施が職場の「心理的安全性」の確保に非常に有効である

私自身もこの1年間、1,000名を超える管理職の方への
1on1導入・浸透プロジェクトに関わる機会に恵まれました。
また自社において部下の社員との定期的な1on1を実施する過程において、
職場の「心理的安全性」の必要性と重要性を
改めて身をもって強く実感することとなりました。

「心理的安全性がある職場」をより平易な言葉で表現すると、
以下のようになります。

・安心して働くことができる職場
・本音を言い合える職場
・上司に対しても「率直な意見」を言える職場
・チームメンバーからあなた自身が
「本当に必要とされている」ことを実感できる職場
・仕事をしていて「ワクワク感」がある職場

(Q)自身が所属するチームにおいて、「心理的安全性の確保」の度合いは
   100点満点中何点ですか?

といった質問を企業研修に参加された受講者の皆さんに投げかけると、
80点以上をつける管理職は多くの企業で1割に満たない状況です。

非管理職に同じ質問を投げかけると、言うまでもなくさらに状況は深刻です。

それだけいまの職場の中には、
「心的ストレス」が充満しているということになります。

日本経済を牽引する業界トップクラスの企業が
続々と「1on1ミーティング」を導入している理由は様々ですが、
中でも先進的な企業が「1on1ミーティング」のその先に見据えている
重要な期待感があります。

それは、

”真のイノベーション”の実現

です。

「真のイノベーション」を引き出す1つのトリガー(引き金)が
「心理的安全性」の確保にあると考えられています。

ではなぜ、「心理的安全性」の確保が、
「真のイノベーション」につながるのでしょうか?

「パラダイムシフト」(=価値観や社会規範が劇的変化を遂げること)
と呼ばれる言葉を最初に用いたと言われる米国の科学史家のトーマス・クーン氏は、
同氏の著作『科学革命の構造』において、この点について重要な指摘をしています。

”パラダイムシフトを主導するのは
多くの場合「非常に年齢が若い人」か「その分野に入って日の浅い人」である”

高度成長期の大量生産大量消費の時代には
強い経営トップが「正解」としての「やるべき仕事」を
トップダウンで伝えればそれで足りましたが、
そうした「昭和のマネジメント」では環境変化が速く激しい現代社会において、
もはや通用しなくなりつつあります。

まもなく平成が終わり、次の元号へと変わりますが、
これからの新時代に求められる真のマネジメントのあるべき姿は、
現場をよく知る人の声にしっかりと耳を傾け、
経営陣はそれらを貴重なインプットとして取り入れ、
短期間で製品やサービス開発につなげ、
世の中に対して価値提供できる集団であるということです。

「現場をよく知る人」は多くの場合、「非常に年齢が若い人」であり、
彼らの声に耳を傾けることができる1つの重要なプラットフォームとして
「1on1ミーティング」が位置づけられつつあります。

イノベーションの本質が、
「まだ見ぬ価値や新しい体験を、製品やサービスという手段を通じて顧客に届ける」
ことにあるとすれば、
一見「共感できない意見」にも真摯に耳を傾ける価値があることになります。
それは「共感できる」ということ自体が、
自分もしくは相手の中ですでに経験したり、体験したりしたことがある
「既視感のある時間」とのオーバーラップによって生じる「感情」であり、
そこに真のイノベーションは起きないからです。
SNSにたとえれば、
100人中100人全員が「いいね!」と思うアイデアからは
真のイノベーションは起きず、100人のうち99人が最初は「ん?」と
思うようなアイデアからこそ真のイノベーションが起きる、といった具合です。

別の言い方で簡潔に表現すれば、
イノベーションを起こすために必要なリーダーシップが
「支配型」から「サーバント型」に切り替わりつつあるとも言えます。

実際に「1on1ミーティング」に真摯に取り組んでみると、
そこでは皆いろいろなテーマについて話してくれます。

私自身も実践している1on1ミーティングにおいて常日頃、
注目している枕詞(まくらことば)があります。

それは

「こんなこと(=こんな些細なこと或いは一見陳腐と思われるアイデアという意味
で使われる)、1on1の場で話していいかどうか分からないんですが・・・」

というフレーズです。

彼らがなぜ「こんなこと」などと控えめな言い回しで
恐る恐るこの言葉を発するのかというと、

「ずっと頭の片隅に引っかかっていること」だけれど、
「わざわざ上司を呼び止めてまで話すべき価値あるアイデアではないと
本人には感じられること」

だからです。

しかしながら、世の中を変えてきたイノベーションのきっかけというのは
どれも最初は「こんな(些細な)こと」から
スタートしているのではないでしょうか?

部下がポロっと言葉にした「こんなこと」を上司がうまくすくい上げ、
ダイアログ(対話)を通じてアイデアを新結合させて、
これまでに思い付かなかった新たなアイデアや付加価値のネタを
1on1の中から創造することができるとすれば、
こんなに素敵なことはありません。

また、イノベーションは
何も製品やサービス開発のためだけにあるのではありません。
職場をよりよくするためのアイデアもまた、イノベーションの1つです。

部下が上司のあなたに「こんなこと」を話してくれるためには、
上司のあなたが「否定せずに最後までちゃんと話を聴いてくれる」存在で
あることが絶対的条件となり、それが「心理的安全性の確保」につながります。

「こんな(些細な)こと」の中には往々にして、部下の「本音」が隠されていて、
「本音」の裏には、「本当に必要とされていること」が
隠されていることが少なくありません。

「神は細部に宿る」などと言われることがありますが、
「神は”些細なこと”に宿る」わけです。

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