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第13回:イノベーションを起こす「究極の2つの質問」

橋場 剛 橋場 剛

ビジネスコーチの橋場です。

 先日3月19日に『DIAMONDハーバードビジネスレビュー編集長』と考える「次世代リーダー育成にエグゼクティブコーチングは役立つか?」と題した  セミナーを開催しました。

 パネル登壇者として日本IBM株式会社様、ヤフー株式会社様をお招きし、ビジネスコーチングや、エグゼクティブコーチングが社内でどのように  活用されているかについて豊富な実例を交えながら、活発なディスカッションが行なわれました。

 「リーダーシップとイノベーションは同義語」

 モデレーターの岩佐編集長がこう切り出してパネルディスカッションは始まりました。

 15期連続で増収増益を達成しているヤフー社ですら、さらなるイノベーションを求めて攻め続けている姿勢は多くの企業が見習うべき点でもあります。

 パネルディスカッションにおいて取り上げられた中で私が最も重要な論点の1つだと感じたのは

 「いかにしてイノベーション・気づきを起こすのか?」

 というビジネスコーチングやエグゼクティブコーチングの効用の根幹部分に対する問いでした。

 ビジネスが高速化し、かつ、激変する産業界において、いかにイノベーションを起こすのか?

 何かしらのイノベーションを起こさなければ企業が生き残っていけないことは多くの人が頭では認識しながらも、ついつい変化を躊躇してしまい、なかなか変化しきれないトップやミドル、企業が実に多いのが実情です。
 イノベーションは言葉で言うほどその実現は容易ではありません。
 もちろんイノベーションの必要性は、私自身や弊社にもそのままあてはまります。

 ビジネスコーチングやエグゼクティブコーチングは質問により「気づき」を起こし、行動変革に導きますがイノベーションと気づきを起こすための  「究極の質問」とは一体何でしょうか?

 1つは、「あなたの顧客は誰ですか?(A)」
 もう1つは、
 「あなたは顧客に何を(どんな価値を)提供できますか?(B)」

 という質問です。

 この2つの質問は、非常にシンプルで、ありきたりの質問ですが、イノベーションを起こせる企業とイノベーションを起こせない企業とではこの2つの質問に対する回答への執着・こだわりの有無とその度合いに関しての決定的な違いがあります。

 少しだけこれらの質問の言い回しを変えてみましょう。
 メルマガ読者の皆さんも、ぜひ自分自身に投げかけられた質問として、もう一度じっくり考えてみて下さい。

 【質問】「あなたの『真の』顧客は誰ですか?(a)」
 【質問】「あなたは『真の』顧客にどのような『魅力的な価値
      (または卓越した価値)』を提供できますか?(b)」

 メルマガ読者のみなさんが、この質問(=上記(a)と(b))をご自身に投げかけた場合、最初の2つの質問(=上記(A)と(B))と比べて自身の中で起こった反応や印象についての違いはあったでしょうか?
 おそらく少し思考の幅・奥行が広がったのではないでしょうか。

 イノベーションを起こし、成果を上げている企業は例外なくこの2つの質問(=上記(a)と(b))について、愚直なまでに真摯に向き合っている企業です。

 ポイントは『真の』という言葉が追加されたことにより、質問の受け手に対して「前提条件の見直し」を迫っている点です。

 あなたが想定していた顧客は、”本当に”これまでに提供されてきたサービスを求めているのか?

 とあなた自身に慎重かつ大胆な熟慮を促す質問です。

 「顧客」の定義が変われば、「顧客に提供する価値」は当然変わります。
 「顧客」の定義と「顧客に提供する価値」が明確であったとしても、両者の間にギャップが生じることもあります。
 ギャップを埋めようとする思考と行動自体が1つのイノベーション創出の機会となるわけです。

 「ビジネスが高速化し、かつ、激変する産業界」と書きましたが、何にも増してものすごいスピードで変わってきているのが、「顧客」そのものです。
 「顧客」それ自体は同一であったとしても、顧客の志向や求めているものがものすごい速さで変わってきています。
 スマートフォンに代表される新しいデバイスの急速な普及はその典型です。
 それゆえに、上記の2つの質問(=上記(a)と(b))はいま企業トップがこだわらざるを得ない究極の2つの質問となっています。

 例えば、最近の例で言えば、大手電機メーカーの国内テレビやプラズマテレビからの撤退は、上記の2つの質問について考え抜いた末の決断です。

 また、良質なコーヒー豆を採用して、独特かつ快適な空間を顧客に提供するスターバックスが喫煙者を顧客から外したことも、上記2つの質問に対して明快なこだわりをもって回答を示していることの表れです。

 私たちはさらに、この「究極の2つの質問」から派生するさまざまな点について深く、かつ、大胆に再考する必要に迫られています。

  「あなたの『真の』顧客は誰ですか?(a)」

 という問いから派生する質問は、例えば

 【質問】「あなたにとって、
      なぜその顧客が『真の』顧客なのですか?(aa)」
 【質問】「その『真の顧客』は5年後、
      どのようになっていますか?(aaa)」
 【質問】「真の顧客の5年後に貢献するために、
      いま足りない要素は何ですか?(aaaa)」

 といった具合です。

 上記(aaaa)の質問に答える前提には、上記(aaa)の質問に対する回答が必要です。
 また、上記(aaa)の質問に答える前提には、上記(aa)の質問に対する回答が必要です。

 ビジネスコーチやエグゼクティブコーチは、クライアントの方にイノベーションを起こし、気づきを与えるために様々なアプローチを試みます。  クライアントの成果につながるのであれば、コーチ自身の経験からアドバイスを伝えることもあれば、クライアントの状況に応じて他社の事例を紹介することもあります。

 気づきを起こす様々なアプローチを選択する過程においてクライアントに最も期待されるコーチのアクションは、クライアントの「偶然の変化」を「必然の変化」に変えるために意図的かつ戦略を持って問いを投げかけられる「質問」です。

 企業にイノベーションを引き起こし、日本経済全体の底上げを本気で実現しようとすれば、クライアントの思考の枠を広げる「破壊的質問」は  これまで以上に必要になります。
 同時にクライアント自身も、ビジネスコーチングやエグゼクティブコーチングの効用を最大化するために、自身のコーチに対してどのようなコーチングを期待し、どのような目標・テーマを設定すれば、最大の成果を実現できるのかについて明快な意思を表明することが求められます。

 その意味において、コーチにもクライアントにもより一層の質問力を涵養(かんよう)するということがイノベーションと気づきを最大化させるための喫緊の課題なのかもしれません。

 

執筆者プロフィール

橋場 剛(はしば ごう)

ビジネスコーチ株式会社 専務取締役
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ

アクセンチュア株式会社にて主に大手ハイテク企業に対するコンサルティング業務に携わる。同社マネジャー及び企業経営を経て、当社設立に参画。2010年1月より現職。
大手総合電機メーカーにおけるWeb受注納期回答システムの導入支援、開発購買領域の業務設計・システム化要件定義を実施し、大手企業の業務効率向上を実現する。大企業へのコンサルティング業務の経験を活かし、経営者、マネージャーら50名以上に対してコーチングを実施し、ビジョンの明確化、業績の向上に寄与する。
著書に『優れたリーダーに変わる たった1つの行動』(中経出版)、『ダイエットに成功する人が会社を活性化できるワケ』(扶桑社)がある。

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