資料ダウンロード
  1. TOP>
  2. BCウェブマガジン>
  3. 第43回:スティーブ・ジョブズ氏のスピーチから学ぶ禅的マネジメント

BCウェブマガジン

第43回:スティーブ・ジョブズ氏のスピーチから学ぶ禅的マネジメント

吉田 有 吉田 有

企業のビジネスリーダーがマネジメントすべきことの中で、
最も重要なことのひとつが部下や組織をマネジメントする前に、 「自分自身をマネジメントすること」です。

自分をマネジメントできないリーダーに 部下や組織のマネジメントができるはずがありません。

禅の考え方から学ぶマメジメントとは、
自身のセルフマネジメントをしっかり行い、 自分の力を最大限発揮できるようにすることです。

禅の言葉で、この状態を「全機現(ぜんきげん)」と言います。
スティーブ・ジョブズ氏が、永年「禅」に取り組んでいたことは 有名な話ですが、2005年にスタンフォード大学の卒業式で彼が行った 伝説のスピーチで語られた、
彼の成功を支えた考え方や生き方の中にも 禅的な視点を見ることができます。
このスピーチで見られる「全機現(ぜんきげん)」は以下の5つです。

(1)「今、やっていることがいずれ繋がると信じていれば、他人が何を言おうが自信をもって歩き続けられる」
(スティーブ・ジョブズ)

ジョブズ氏は若いころから「コンピューターというテクノロジーを使って、
人々の生活を楽しく、そして便利にしていく」ことをミッションとして 仕事をしてきたと言われています。
この強烈な思い、誰が何と言おうと歩き続ける姿は、
「絶対の世界」に身を置いていることから来ていると思われます。
我々は、子供のころから、人より少しでもいい成績をとり、いい学校に行き、 いい会社に入り・・・という、「相対の世界」に生きてきました。
こうした他と比べる世界にいると、悩み、苦しみます。
悩みの原因は比べることから起こります。
比べると、自分にないものが見えるからです。
比べない「絶対の世界」では、今あるものに目がいきます。

(2)「最高の仕事をするには、自分の仕事を愛すること」
(スティーブ・ジョブズ)

ジョブズ氏自身が人生を振り返ってラッキーだったと言っているのは、
早い時期に自分が愛する仕事に出会ったことです。
愛する仕事をするということは、
まさに、仕事と自分が一つになっている状態です。 「一体一如(いったいいちにょ)」という言葉がありますが、
その状態と言えます。
「一体」とは、対象のものと一つになること、 「一如」とは、一つになった状態で行動することです。
真に活性化している組織とは、メンバー全員が一致協力して(一体となって) 目標に向かって動いている(一如)状態になっています。

(3)「アップルを追い出されたことにより、 これまでの成功者の重圧が初心者の気軽さに変わった。
そのことがあったからこそ、今のアップルがある」 (スティーブ・ジョブズ) 

役職が上がれば上がるほど、プライドも高くなり、エゴがでてきてしまうもの です。そうなると、本来のものを見ることが難しくなります。
つまり、自分のエゴやプライドを捨てることができれば、
本来の力を発揮することができます。
このことを「身心脱落(しんじんだつらく)」という言葉で表すことができます。

CEOの座から追い出されたことで、彼は失意のどん底に落ちたと言っています。
しかし、成功者のプライドを捨て去り、初心者の気持ちに戻れたからこそ、
今のアップルの成功をもたらすテクニックを開発できたのです。

(4)「今日が人生の最後の日だとすると、自分のやるべきことをしているだろうか」
(スティーブ・ジョブズ)

ジョブズ氏は33年間、このことを鏡の前で確認していたと言っています。
誰にでも死は必ず訪れるのもですが、 普段からそのことを意識している人はほとんどいないでしょう。
しかし、死と真剣に向き合うと、生き方、考え方が変わります。
一日一日を大切に生きるようになります。
「今ここ」「今ここ」というその瞬間を真剣に生きる、非連続の連続が重要だと、 禅では教えています。

(5)「Stay Hungry  Say Foolish」(スティーブ・ジョブズ)

このフレーズはジョブズ氏のスピーチ中で、 最もよく知られているものかもしれません。
ハングリーであり、愚かであれ、とういう意味ですが、 愚直にやり続けろということを言っているのでしょう。

「只管打坐(しかんだざ)」という禅語がありますが、ただひたすら坐りなさい、
という意味です。あれこれ迷って、心ここにあらずの状態ではなく、 目の前のことに真剣に取り組むことの重要性を説いています。

これらは本人から聞いた話ではありませんので私の想像に過ぎません。
しかし、彼のスピーチからは「こだわりを捨てる」「いまここに集中する」 「仕事と1つになる」「愚直に努力する」という4つのことを禅的に学ぶことができ、これによって「全機現(ぜんきげん)」の状態を作ることを学べます。

「全機現(ぜんきげん)」とは、自分の持てる全ての力を発揮することで、 その全てとは、自分の能力だけでなく、自分のすべての細胞が生き生きして いる状態で、万物、宇宙のエネルギーも含めたすべてを受け取っていることを 意味します。 まさに、完全燃焼した生き方に繋がると言えるのではないでしょうか。

禅的マネジメントとは、坐禅をするときに起こる一連の流れ、
①只管打坐(ひたすらやり続ける)、
②身心脱落(エゴやこだわりを捨てる)、
③一体一如(まわりと1つになり)、
④全機現(自分のもてる力を最大限発揮するすべての細胞がいきいきと生きる)
という4つの流れを、ビジネスマンのセルフマネジメントに応用しようとするものです。

①ひたすら今の仕事に打ち込む(只管打坐)
②エゴ・こだわりを捨てる(身心脱落)
③社員や仕事と一つになる(一体一如)
④自分も組織も最大限の力を発揮している(全機現)

マネジメントでは、物事と一体となり、一体となって動くこと(一体一如)が 必要です。チームがひとつになれば大きな力を発揮できますが、
チームがバラバラでは力は発揮できません。

チームがひとつになれない理由の一つは、エゴがあるからです。
そこで我を捨て、自己を忘れて無になること(身心脱落)が重要です。
そして、ただひたすらにやるべき仕事に打ち込む(只管打坐)ことです。
これにより自己の持っている機能をすべて発揮すること(全機能)が可能になってきます。

この禅的マネジメントは、理屈で覚えても、いざという場合に対処できません。
禅の実践(坐禅)を続けていく中で、この感覚を身体で覚えることができてくるのです。

毎日忙しく動いているビジネスマンの方に、何もしないでただ坐る時間(自分を見つめる時間)をとる余裕はないかも知れません。
しかし、だからこそ、何もしないわずかな時間を使って、
自己を見つめることは、貴重な時間でもあります。
それによって全く違った世界が見えてくることでしょう。

<<関連セミナーのご案内>>
坐禅ツアー in 南青山
~禅に学ぶ成功するマネジメント 実践編~
9月22日(月)15:30~20:00 東京
http://businesscoach.co.jp/blocks/index/00278

 
執筆者プロフィール
吉田 有(よしだ たもつ)

ビジネスコーチ株式会社 取締役
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ

日米両国日米両国の経済協力の先駆的ケースである準国策的なパルプ会社に入社し、アラスカ州シトカ市にて勤務。
帰国後、複数の中堅企業の経営を経て、当社の設立に参画。

■実 績
20年間の中堅企業の経営経験を基に、多くの中堅企業、ベンチャー企業の経営者や経営幹部に対して1対1のエグゼクティブコーチングや組織活性化のビジネスコーチングを行い、業績向上に寄与する。40,50代のシニア向けキャリアデザイン研修も行なっている。

BCメルマガ登録を!

最新のイベント情報やホームページでは紹介していない
コーチング・ノウハウなど、役立つ情報をお届けします。