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第50回:女性は、何故、管理職になりたがらないのか~女性と組織の価値観を統合させる~

川邊 彌生 川邊 彌生

皆さんの会社は、女性社員を増やしたいのでしょうか、
女性管理職を増やしたいのでしょうか。
これは同じ課題のようであって、実は似て非なるものです。
施策に誤りはないでしょうか。

現在、私は定期的に「女性のための自己変革の技術」というセミナーを
行っています。
アベノミクスに呼応したわけではなく、
たまたま女性のリーダーシップ開発を考えてスタートさせたのですが、
企業からの継続した参加もあり、
毎回多くの女性にご参加いただいています
。 長期にわたってこのセミナーを開催できているのは、
政府の掛け声をきっかけに、いかに企業が、そして女性自身が、
女性の育成と成長に対して、真剣に取り組んでいるかということの
表れだと感じています。

開始当初のプログラム名は「女性リーダーの役割と意識改革」でしたが、
女性がこのタイトルから受けるメッセージは
「女性はもっと役割を認識し、意識を変えなさい」ではないかと考え、
現在のタイトルに変更しました。
とはいえ、そう考えている企業の方達は多いのではないでしょうか。

些細なことですが、これはタイトルだけの話ではなく、
実は女性の課題についての
女性の認識と男性の認識の大きな差異ではないかと思うのです。

女性対象のセミナーを行っていて感じるのは
女性はそれぞれ個性的で、優秀であり、瞬時に様々なことを考える能力が
あるということです。
一つの課題に対して、10名いれば10名の反応は全く異なり、
自分のケースにあてはめて、オリジナルの回答を出して来ます。

リーダーの役割と言われても、一般論で納得はしません。
「でもこういう時は・・・」「私の場合は・・・・」と、
心の中で、異論反論あるいは疑問がぐるぐると回っている様子が、
表情に表れます。

たとえ偉大なビジネスリーダーの言葉や理論であっても、
自分自身に落とし込めなければ、すぐには納得しないのです。
自分自身を含め、女性は手間のかかるものだなと感じます。
男性にとっては、さらに理解をするには
とても面倒な相手なのだろうと推察しています。

何故、女性はひとつのことを考えるのに時間がかかるのか、
それは、女性が男性と比較すると
公私にわたって数多くの役割を担っており、
会社での役割は、そのひとつにしか過ぎないからなのです。

セミナーで日々の行動をブレーンストーミングしてみると、
働いている女性が、いかにマルチプルで貪欲でタフであるかが分かります。
出勤前に家族の世話をし、仕事に集中し、限られた時間で趣味を楽しみ、
会社を離れて広範囲に友人との付き合いをしています。

また、成長意欲も強く、何かしらの勉学を続けている方も多くいます。
男性であれば、出世に問題のないキャリアの女性であっても
さらにスキルやキャリアを身につけなくてはという危機感を持っています。
そして何より好奇心旺盛です。

同時にITツールの急速な進歩によって、
いつでもどこでも仕事が入って来る環境になったことは、
女性にとっては家庭との両立をしやすくなったというよりも、
エンドレスに仕事を強いられるようになったと言えるかも知れません。

管理職であれば、24時間仕事に追いかけられるわけですから、
これ以上役割はいらない、という考える女性は多いでしょう。
それが、自分にとって重要な意義深い仕事でないなら、です。
そして重要であるか否かは、
組織が決めることではなく、女性自身の心の中で決定されているのです。

アメリカで多くの女性リーダーをコーチングしてきた
Sally Helgesen氏は著書の*『The Female Vision』の中で、
女性のキャリアに関する意思決定は、金銭やステータスよりも、
心理学者のスティーブン・ピンカー博士が
「内発的報酬」と呼ぶ<個人的に意義深いと思う物>に
動機づけられると述べています。

また、優秀な女性が企業を辞めた場合、
家庭にこもって完全に労働力人口から身をひいてしまうわけではなく、
賃金が下がっても、世界に対して意義深い仕事を選んだり
自分の価値観とバランスが取れる仕事を選んでいると伝えています。

これはアメリカの話だけではなく、
私がセミナーで出会う女性達の価値観にも共通しています。

もちろん、子育てや介護の支援は、
企業も社会も取り組まなければならない課題であり、
女性社員を増やすためには必要な施策ですが、
女性管理職を増やすために必要な施策は、
それではないのではないでしょうか。

私は、企業が真に取り組む必要があるのは、
女性が価値を置くことに、組織が社会で果たそうとしている価値を
統合させることだと思います。

女性が価値を置いているもの、
それは、これまでの伝統的ビジネスの価値観とは異なるのかも知れません。
そうだとしたら、人口の半分が女性である以上、
それは企業の発展にとってマイナスではないはずです。

企業は、登用する女性に会社のビジョンを伝え、
リーダーシップを求める前に、まずは彼女達の人生を見つめ直し、
自らの立ち位置を確認させる機会を与える必要があると思います。
それが、女性をキャリアの途上で立ち止まらせないために、
不可欠なプロセスではないでしょうか。

女性が、自分にとって意義深いと感じることを
企業の中で見出すことが、実は何より必要なのです。

その機会としては、他社の女性と交わる研修に参加させ、
そのフォローをワンツーワンコーチングで行うことが
効果的ではないかと考えます。

女性は、企業に長く勤務をしている人でも、
公私にわたってタスクを多く抱えていることもあり、
アフター5の飲み会を含めて、男性上司と行動を共にすることが少なく、
また、女性だからという理由で「会社の暗黙知」を継承するOJTを
受けずに育っていることが多いような気がします。

だからこそ、女性を登用するためには、細やかな育成が必要なのです。

そして、男性のように一律のOJTを受けていない
女性の視点を取り入れることは
企業が新たな物を生む出すチャンスになるのかも知れません。

*The Female Vision Woman’s Real Power at Work
 著者 Sally Helgesen & Julie Johnson

<関連セミナーのご案内>
 「ポジティブな人間関係を築きステージを上げる!
  女性のための自己変革の技術」
  2014年12月19日、2015年1月23日、2月6日、3月20日開催

 

執筆者プロフィール
川邊 彌生(かわべ やよい)

ビジネスコーチ株式会社 パートナーエグゼクティブコーチ
合同会社オモテナシズム 代表
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ

明治大学文学部卒業後、第二精工舎(現セイコーインスツル)入社。経理部に勤務。
その後、キャセイパシフィック航空にCAとして入社。香港をベースに勤務。
同社在職中、トレーニングセンターで英国企業人材開発機関『IPD』会員資格を取得しサービス指導・育成に携わる。

帰国後、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル、エルメスジャポン、シャネル株式会社においてトレーニングマネージャー。2007年イタリア系ラグジュアリーブランド人事部長。
国内外のブランドの理念浸透、富裕層をターゲットとするサービス人材の育成、人事労務施策策定に携わる。
2007年認定プロフェッショナルビジネスコーチ取得。世界的コーチ、マーシャル・ゴールドスミス博士の指導を受ける。

2012年5月彌生教錬有限公司を香港に設立。企業の管理職コーチング、人材開発、女性リーダー育成、「おもてなし」の風土醸成などを主に活動。
2013年11月合同会社オモテナシズムを設立し、「おもてなし」を企業戦略・人事戦略として社会に浸透させる活動を開始。

*セミナー
SMBCコンサルティング
社団法人企業研究会
その他、大学、専門学校において講演

 

■実績
キャセイパシフィック航空在籍時に、CAとしての勤務のみならずトレーニングスクールに所属しサービス向上プログラムを指導する。 同社勤務中、英国のトレーニング資格を取得し、グローバルサービスの設計と実践に貢献した。 日本帰国後は、一貫して、富裕層を対象とする外資系ホテル・リテール業界において人事制度構築・人材開発に取り組む。 多国籍のメンバーが構成するプロジェクトにも参画しグローバルなプログラムの設計に取り組む。 また、経営陣として、企業理念とサービスを実行・定着させ企業価値を高める施策を数多く実践する。
マーシャル・ゴールドスミスにも2008年来日時、指導を受ける。

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