資料ダウンロード
  1. TOP>
  2. BCウェブマガジン>
  3. 第54回:リーダーにとって重要なセルフマネジメントのコツ「呼吸」

BCウェブマガジン

第54回:リーダーにとって重要なセルフマネジメントのコツ「呼吸」

吉田 有 吉田 有

ご存知の方も多いと思いますが、
マサチューセッツ工科大学の教授ダニエル・キム氏が提唱した、
有名な組織の成功循環モデルという考え方があります。

このモデルは、成功する組織になるためには「結果の質」を求める前に、
「関係の質」を高めることが重要だと説いています。

この「関係の質」が良好な状況にあってはじめて、
組織のメンバーも前向きな考え方ができ(思考の質が高まり)
積極的な行動をとり(行動の質が高まり)、
成果を上げる(結果の質が高まる)ことができるというものです。

リーダーにとって重要なテーマの一つは、
この「関係の質」を良好なものにすることです。
そのためには、メンバーのタイプに応じたコミュニケーションを取ったり、
本音を聞き出す傾聴力やアイデアを引き出す質問力等の
スキルを磨くことが有効です。

このような対人スキルを身に付けることと同様に、
あるいはそれ以上に重要と思われることに、
自分自身との「関係の質」を高めることがあります。

つまり、自分自身をうまくコントロールする「セルフマネジメント」です。

自分自身をしっかりマネジメントできない人間が、
組織やそのメンバーをマネジメントすることはできません。

また、変化が激しく、あまりにも多くの情報が行き交うこの時代において、
正しい判断を下すためには、感情や目先の事象にとらわれることなく、
自らを調えることが必要です。

自分を調えることは、自分を成長させることです。
企業のリーダーにとって、
自分を成長させることは、組織を成功させることでもあり、
自分をよく知ることは、
リーダーとしての能力とパフォーマンスを向上させることでもあります。

自分自身について理解している時、物事はゆっくり流れるように感じます。
会議でも、よく聞き、よく考え、よく観察し、
より良い選択ができるのです。

それはスポーツ選手が高いパフォーマンスを発揮しているとき、
試合がゆっくり進んでいるように見える、ゾーンの状態と似ています。
巨人軍の元監督川上哲治氏は、
「ボールが止まって見えた」と言っていましたが、
まさにそのような状態です。

このような状況を作る手段の一つとして「呼吸」があります。

世界No.1のエグゼクティブコーチと言われる
マーシャル・ゴールドスミス氏も、
呼吸は仏教の教えでは、「生まれ変わる」という意味だと説明し、
深呼吸することを、自分を調える秘訣の一つに挙げています。

私たちは、自分の呼吸を意識的にコントロールすることができます。
その気になれば、すこしの間呼吸を止めたり、
回数や深さを調節することも可能です。
同時に、コントロールしようがしまいが、
呼吸は生きている間は続くのも事実です。

私たちはそれが当たり前だと思っていますが、呼吸が困難になる事態が
訪れない限り、自分の呼吸に注意を払うことはないでしょう。

深く、ゆっくり呼吸をするとき、精神状態はリラックスします。
いらいらしている時、落ち着かない時の呼吸は短いものです。
この呼吸を自分の意志でコントロールすることによって、
自分をコントロールするコツを身につけることは、
セルフマネジメントにとっても有効と言えます。

背筋を伸ばして姿勢を整え、
深く息を吐いてから、ゆっくりと鼻から息を吸っていく。
この単純な動作を繰り返すことで、自分を調えることに繋がります。

ゆっくりと呼吸をすると、副交感神経が活発になり、
脳の「前頭前皮質」がはっきりと活性化されることが分かっています。
「前頭前皮質」は、自分が目指すゴールを実現するために、
考えや行動計画をまとめる役割を果たすところと言われています。
また、ストレスを感じると交感神経が活発になりますが、
深い呼吸によって、それを落ち着かせることができます。

スティーブ・ジョブズ氏、稲盛和夫氏、安倍首相といった方々も
坐禅を通じて自分自身を調える時間を作っていたと言われています。

17歳から90年近く、毎日坐禅をした方がいます。
福井の永平寺の元館長の宮崎 奕保(みやざき えきほ)氏です。
自分との関係の質を高め、セルフマネジメント力をつけたい方の
参考になると思いますので、この方の言葉をご紹介させていただきます。

■104歳の宮崎奕保氏のことば

坐禅をすれば善き人となる
その善き人になかなかなれん
人間は名誉とか地位とか見栄とか我が儘とか
そんなもんでいっぱいだ
欲は克服するすべを覚えんといかん
それが坐禅だ

坐禅をするときは、
何も考えない
妄想せんことや
いわゆる前後際断や
その時その時、一息一息しかないんだ
だから、何か考えたらそれは余分や
坐禅ということはまっすぐということや
まっすぐというのは、背骨をまっすぐ 首筋をまっすぐ
右にも傾かない、左にも傾かない
まっすぐといくことは、正直ということや
身心は一如やから
体をまっすぐにしたら、心もまっすぐになっとる
坐禅は生活の全て
スリッパを脱ぐのも坐禅や
スリッパを揃えるのが当たり前のこっちゃ
例えばスリッパが歪んでおったら
ほっておけないんだ
スリッパが歪んでおるということは
自分が歪んでおるんだ
自分が歪んでおるから、歪んだやつを直せないんだ
だから物を置いても、ちぐはぐに置くのと、まっすぐに置くのと
全て心が現れておるんだ
こころがまっすぐであったら、すべてのものをまっすぐにする必要がある
人間は我が儘が自由やと思っておる
ちゃんと型にはまったものが、日常でなければならない

自然は立派やね
私は日記をつけてれおるけれど
何月何日に花が咲いた
何月何日に虫が鳴いた
ほとんど違わない
規則正しい
そういうのが法だ
法にかなったのが大自然だ
法にかなっておる
だから、自然の法則をまねて人間が暮らす
人間の欲望に従っては迷いの世界だ
真理を黙って実行するのが大自然だ
誰に褒められる、ということも思わんし
これだけのことをしたから、これだけの報酬がもらえるということもない
時が来たならば、ちゃんと花が咲き
そして、黙って
褒められても褒められんでも
すべきことをして、黙って去っていく
そういうのが、実行であり
教えであり
真理だ
(2004年放送 NHKスペシャル「永平寺 104歳の禅師」より)

 
執筆者プロフィール
吉田 有(よしだ たもつ)

ビジネスコーチ株式会社 取締役
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ

日米両国日米両国の経済協力の先駆的ケースである準国策的なパルプ会社に入社し、アラスカ州シトカ市にて勤務。
帰国後、複数の中堅企業の経営を経て、当社の設立に参画。

■実 績
20年間の中堅企業の経営経験を基に、多くの中堅企業、ベンチャー企業の経営者や経営幹部に対して1対1のエグゼクティブコーチングや組織活性化のビジネスコーチングを行い、業績向上に寄与する。40,50代のシニア向けキャリアデザイン研修も行なっている。

BCメルマガ登録を!

最新のイベント情報やホームページでは紹介していない
コーチング・ノウハウなど、役立つ情報をお届けします。