資料ダウンロード
  1. TOP>
  2. BCウェブマガジン>
  3. 第59回:客観的視点を与える ~女性が知らないビジネスのルール~

BCウェブマガジン

第59回:客観的視点を与える ~女性が知らないビジネスのルール~

川邊 彌生 川邊 彌生

■ゲームのルール

ある企業の管理職の方から部下の女性について聞いた話です。
30代後半の部下で仕事は良く出来るので、次期リーダーにさせたいと考えているそうです。
しかし、止めて欲しい行動があるとのこと。
それは、彼女が昼休みに夕食用に野菜やお米を買ってオフィスに持ち込むことです。
昼休みの使い方は自由ではあるので口には出せないが、何か違うだろう、という思いになるそうです。
また、身嗜みもどこかだらしなく、生活感を感じてしまうのが不快だということでした。

恐らくその女性は家庭と仕事と寸断された時間を使って両立させているのだろうと想像出来ます。
女性の労働時間は9時から17時では終わりません。
毎日工夫を凝らして、時間を創出しているに違いありません。
私もかつて会社員時代はそうでした。

では、何故、その管理職は不快に感じてしまうのでしょう。
ここで女性と男性の大きな違いに注目しておくことは重要です。
それは、男性にとって、仕事場は目標達成を行う場であり、神聖な場所であるということです。

心理学者のエイドリアン・メンデルは著書の「女性の知らない7つのルール」の中で、「男性はスポーツをする時と同じような気持ちで仕事に取り組んでおり、ビジネスはゲームであり、同じルールのもと常に勝者と敗者が存在し当然、勝つことが目標の真剣勝負をしている」と述べています。

子供の頃からゲームや遊びを通して、支配や競争について理解し、敵に対するマナーを身に付けて行く男性に対して、女性は、友好関係を発達させ維持させることから人間関係を構築していくとメンデルは観察しています。

つまり、同じビジネスをしていても男性がルールに基づいてゲームをしているのに、女性は、より良い人間関係を構築するために自分のルールを適用しているのであれば、そこに違和感が生まれるのも当然です。

男性が神聖なゲームの場で生活感を感じさせる女性に嫌悪感を覚えるのはこの違いによるものなのです。

■協働するために

良い悪いは別として、多くの企業の組織は良くも悪くも プレイヤーは男性が中心です。
だから、ゲームのルールが男性の理論であることは否めません。
ここで重要なのは、女性がゲームのルールの存在を理解すること。
そして、男性が女性とルールを共有することでしょう。

ビジネスの世界においても、人間関係の好き嫌いは案外小さな行動や振る舞いが判断材料になっています。
前述の女性の昼休みの行動にしても、指摘しなければ本人は気づかず、上司は不快な気持ちのままでしょう。

女性はといえば、指摘されれば、ビジネスの能力に全く関係のないところで判断されていることをセクハラと捉えて、反発するかも知れません。

しかし、なぜ今、女性活躍推進が叫ばれているかと言えば、これからの少子化時代に有能な人材を確保することにあります。

有能な女性が、男性のルールを知らないことで、自分の実力を発揮できない、男性と協働出来ない組織は、非常にもったいないのではないでしょうか。

■では何をするか ~メンターとコーチング~

私自身の経験から、女性には「メンター」が必要ではないかと考えています。
よく言うところのこれから目指すべき存在の「ロールモデル」ではなく、自分の行動を客観的に見てくれる存在、組織の暗黙のルールと自らの行動のギャップを是正してくれる存在です。

私が、海外から帰国し、初めて管理職という立場になった頃、かなりルールを無視したとんでもない行動をとっていたように思います。
しかし、そんな折に助けてくれたのが、他社の管理職をしている年上の男性知人達でした。

私が組織で感じる矛盾や、受けた批判を第三者の立場で聞いてくれて、その上で、上司の立場だったらと解説をしてくれると、目から鱗で、「そういう風に会社というものは考えるのだ」と 自分を客観視することが出来ました。彼らが「メンター」の役割をしてくれていました。

当時、ビジネスコーチは日本には多くは存在せず、私自身、コーチングという言葉は知らなかったように思います。
成功しているビジネスパーソンは優秀なコーチであることも多いのですが、幸せなことに、私の周囲には優秀なメンターであり、コーチングをしてくれる人が存在していました。

しかし、残念ながら、私のケースは稀であって、働く女性は常に忙しく、他社の先輩のビジネスパーソンと知り合う機会は少ないでしょう。
また、知り合ったとしても的確な人材であるかは分かりません。

ビジネスコーチがメンターと異なる点は、クライエントに目標をコミットさせ、役割に対しての責任ある行動を求めるところにあります。

目標へのコミットメントと責任ある行動、これは、マルチタスクで家庭・プライベート・仕事と多くの視点を持つ女性にとっては、優先順位の決定であり取捨選択する作業です。

後年、私自身が人事部長に昇進した際には、メンターではなくビジネスコーチングを受けました。
まさに、コーチにより厳しい客観的視点を得ることが出来、自らの行動が変わることで、それまで全く機能しなかった部下との関係が改善した経験があります。

公私ともに多くのタスクを背負う女性の転機には、誰かがきっちりと寄り添い、客観的視点と行動へのコミットメントを求めるコーチングが有効な手立てだと考えています。

参考
*「あなたの知らない7つのルール」 エイドリアン・メンデル著 ダイヤモンド社

<関連セミナーのご案内>
「ポジティブな人間関係を築きステージを上げる! 女性のための自己変革の技術」
2015年5月26日、6月5日開催
詳細はこちらから http://businesscoach.co.jp/service/seminar/detail/150206.html

 
執筆者プロフィール
川邊 彌生(かわべ やよい)

ビジネスコーチ株式会社 パートナーエグゼクティブコーチ
合同会社オモテナシズム 代表
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ

明治大学文学部卒業後、第二精工舎(現セイコーインスツル)入社。経理部に勤務。
その後、キャセイパシフィック航空にCAとして入社。香港をベースに勤務。
同社在職中、トレーニングセンターで英国企業人材開発機関『IPD』会員資格を取得しサービス指導・育成に携わる。

帰国後、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル、エルメスジャポン、シャネル株式会社においてトレーニングマネージャー。2007年イタリア系ラグジュアリーブランド人事部長。
国内外のブランドの理念浸透、富裕層をターゲットとするサービス人材の育成、人事労務施策策定に携わる。
2007年認定プロフェッショナルビジネスコーチ取得。世界的コーチ、マーシャル・ゴールドスミス博士の指導を受ける。

2012年5月彌生教錬有限公司を香港に設立。企業の管理職コーチング、人材開発、女性リーダー育成、「おもてなし」の風土醸成などを主に活動。
2013年11月合同会社オモテナシズムを設立し、「おもてなし」を企業戦略・人事戦略として社会に浸透させる活動を開始。

*セミナー
SMBCコンサルティング
社団法人企業研究会
その他、大学、専門学校において講演

 

■実績
キャセイパシフィック航空在籍時に、CAとしての勤務のみならずトレーニングスクールに所属しサービス向上プログラムを指導する。 同社勤務中、英国のトレーニング資格を取得し、グローバルサービスの設計と実践に貢献した。 日本帰国後は、一貫して、富裕層を対象とする外資系ホテル・リテール業界において人事制度構築・人材開発に取り組む。 多国籍のメンバーが構成するプロジェクトにも参画しグローバルなプログラムの設計に取り組む。 また、経営陣として、企業理念とサービスを実行・定着させ企業価値を高める施策を数多く実践する。
マーシャル・ゴールドスミスにも2008年来日時、指導を受ける。

BCメルマガ登録を!

最新のイベント情報やホームページでは紹介していない
コーチング・ノウハウなど、役立つ情報をお届けします。