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第67回:「強恕(きょうじょ)」との出会い

久野 正人 久野 正人

「恕」(ゆるす)は、普段あまりお目にかからない漢字です。
一瞬、「怒」と見間違えてしまうかもしれませんが、意味は真逆です。
「恕」に出会ったのは今年5月、山口県萩市の松下村塾でした。

4年前に会社組織を離れて、ストレスの少ないニュートラルな気持ちで、「世界で勝てるリーダーを創る」という自分自身のミッション実現に向けて
意義ある日々を過ごせていると感じています。

独立と同時に私塾「久野塾」(7月に一般社団法人に改組)を設立しました。
世界遺産(訪問当時は登録推薦)の松下村塾で上田俊成宮司の講義を久野塾メンバーに体験してもらう機会をプロデュースしたいと思い立ったのが
昨年5月。

それから一年後の今年の5月に夢は実現し、当時の高杉晋作、久坂玄瑞など 幕末・維新の英傑が学んだ講義室(吉田松陰先生が塾生に講義を行っていた
8畳ほどの小部屋)で宮司の講義を拝聴しながら、各自、自身の志をしっかりと省察することができました。

松下村塾が一年余りの短期間で塾生92名、何故多くの人材が輩出したか・・・
至誠、知行合一、集団指導と個人指導、性善説に立つ、そして宮司は最後に「強恕(きょうじょ)」を強調されました。
「自分がされたくないことを他人にしないこと、他人の立場や心情を察する気配り力、思いやる力」です。
それが当時の塾生に刻み込まれ、志を実現する原動力になったそうです。

昨今、SNS(Social Network Service)上を謳歌する「気軽な」コメントには見かねるものも多く、個人が世間にメッセージを気軽に発信できる機会と引き換えに、我々は「強恕」の気持ちを深く意識して行動すべきです。

「相手を思いやる」ことで、言葉の質が高まり、SNSというハイテクを生活の豊かさの向上に本当の意味で活用できるのではないでしょうか。

松陰先生の「強恕」は、現代社会の我々にその様に投げかけ、人としての言動を問うています。

明治維新後、150年の時を超えて技術の進化はめざましく、一方で人の本質は変わらない。
そのことを改めて松下村塾で学んだ特別な一日でした。

実は、ここまでの内容は経済同友会の会報「経済同友」のリレートークで11月号に寄稿した内容です。
そこで、強恕とコーチングはどう繋がるかについて、少し考えてみました。

「コーチングの7つのスキル」として、観察、好奇心、共感・ペーシング、質問、傾聴、認知・承認、直感があります。
これらはスキルであって他人との関係の質を高めるサイエンスでありますが、一方で、「強恕」(相手を強く思い遣る気持ち)はアートではないかと思います。

アートが薄っぺらいと、サイエンスは機能不全に陥ってしまいます。
アートとサイエンスのバランスを如何にベストの状態にしていくかが、対人関係では求められます。

では、アートである強恕はどうやって高めたら良いのでしょうか?
簡単ではありませんね。
最近、「異文化理解力」(エリン・メイヤー著、英治出版)という一冊に出会いました。
”Breaking through the invisible boundaries of global business”
・・・同質ではない世界に飛び込んで、多様性の環境を積極的に造り、そこに身を投じる経験を数多く体験することで、アートの部分は鍛えられるそうです。

私のコーチングでは、比較的若いエグゼクティブの方には会社の組織から一歩出て、他社の同年代、大学生、シニア層と仕事以外のテーマで対話をする機会をお勧めしています。

コーチングで必ず登場するキーワードに「思考の枠を取り除く」があります。

枠を取り払い、自分が経験しない環境に自分を意識的に置くことで、世界観が広がってきます。
これからの世界に通用するリーダーはスキルだけでなく広い世界観を持つ必要があります。

歴史から学び、未来に思いを馳せ、多様性の環境の中で自らの世界観を創っていく。そして、「異文化理解力」を高めていく。
そんな次世代リーダーは必ずや強恕のリーダーになっていくはずです。

5月の松下村塾での強恕との出会いによって、「彼(女)らを応援することが私のこれからの強恕なのだ」と、あらためて心に刻み込みました。

 

執筆者プロフィール
久野 正人(ひさの・まさと)

ビジネスコーチ株式会社 統括パートナーエグゼクティブコーチ
株式会社エム・シー・ジー 代表取締役
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ

1981年、慶應義塾大学法学部卒業。
古河電気工業株式会社入社。人事、海外事業、資材部、ブラジル駐在。
その後、日本サン・マイクロシステムズ(経理課長)、日本シリコングラフィックス(サービス企画部長、経理本部長)を経て、
2000年、米国大手医療・研究機器メーカーであるベックマン・コールター株式会社入社。
CFO、事業部長を経て、2005年に代表取締役社長就任。
2011年末に同社を退職し、2012年1月にプロのエグゼクティブコーチとして独立。 株式会社エム・シー・ジー代表取締役。
http://www.mcginc.jp/index.html

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