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第68回:女性管理職の葛藤と醍醐味

川邊 彌生 川邊 彌生

女性の部下が「妊娠しました」と言って来たら、あなたはどのように答えますか。

私も企業の管理職であった頃、そのような状況に直面したことがありました。

「おめでとう!」

それが当然の人としての反応であり、言葉でしょう。
私も部下に「おめでとう!」と言いましたが、部下にとっては、意外だったようです。

「おめでとう」と言われるなんて思っていなかった、働き続けていいんだ、と嬉しくなったと、部下は涙ぐみました。

しかし、実は「どうしよう・・・・困った」が、私の本心でした。
彼女がこのコラムを読んでいたら、本当に申し訳ないのですが、誰かが産休に入っても、人員は増やさないというのが、当時の会社の方針でしたから
管理職として私はそれを自部門にも敢行しなくてはなりませんでした。

そして別の部下(こちらも女性です)からは「当然、補充してくれるのでしょうね。独身者ばかりに負担が来るなんて不公平です。」と釘を刺されます。

だからと言って、そこで私が人員を補充したとしたら、女性のマネージメントは甘い、という声が聞こえて来ます。
同時に私にはどちらの女性部下の気持ちも分かります。

この場合の私を含めた3人の女性は、昨日の自分、今日の自分、そして明日の自分です。
どの女性を救うのも私次第です。

当時の私には上手な解決方法が見当たりませんでした。
産休に入らない方の部下に気を遣いつつ、社長に泣きついて、派遣社員に週の半分だけ来てもらうことで、なんとか乗り越えました。

男性管理職からすると、ビジネスの根幹に影響しない、大した問題ではない、よくある些末な事なのかも知れません。

しかし、女性にとって、こうした課題は非常に心の痛みを伴うものなのです。
こうした決断を下すことが怖いから、管理職は嫌だと思っている女性も多いのではないでしょうか。

企業が女性を管理職として成長させたい、女性管理職にコーチングをして欲しいという時、そこには、こうした心の迷いや弱さを克服して欲しいという
想いがあるような気がします。
私もかつて、自分が管理職であったときは、それが女性の弱点だと思っていました。

しかし、今、コーチとして客観的に見ると、それが女性の価値ではないかと思うのです。

心の痛みを感じ、痛みを持ちながら、企業の目的だけで決断するのではなく、社員にとって、顧客にとって何が良いのかを迷い決断する。

この姿勢こそ、昨今、企業に見え隠れしている不正やごまかしの発生を防ぎ、企業を正しい方向に導くことになるのではないかと思うのです。

女性管理職を増やしたいと考えている企業の方には、この女性の心の葛藤を理解しておくことはマイナスではありません。
この他者への配慮や関係性構築を優先する女性の特性が、時に速い決断を邪魔します。
しかし、男性と比較してスピードが遅いのではなく、プロセスに時間がかかるのです。
まずは自分を納得させなくては動けないのです。

さて、管理職になることを迷う女性に、また、「管理職になって面白いですか?」との問いに、
今の私は迷わず、決定権を持つことの優位性をお伝えします。

自分が管理職であるからこそ、迷いもあるけれど、自分の思う方向へ組織を導くことが出来るのです。
もちろん、心の痛みを感じながら誤った判断を下すこともあります。
正しいと信じていた判断が間違っているときもあります。
アドラーではありませんが、嫌われる勇気が必要です。

しかし、本当に部下にとって、顧客にとって、良い決断が下せたと 思えたときの喜びは、報酬や昇進で得られる喜びの比ではありません。

女性のコーチングでは、この喜びを見出してもらうこと自分の存在を意義あるものとして感じられることは何なのか、
つまり、ミッションを与えるのではなく見つけてもらうこと、それが行動を変える鍵となると感じています。

<関連セミナーのご案内>
「ポジティブな人間関係を築きステージを上げる! 女性のための自己変革の技術」
2015年11月24日、12月8日、2016年2月5日、 3月4日開催
詳細はこちらから http://businesscoach.co.jp/service/seminar/detail/150206.html

 

執筆者プロフィール
川邊 彌生(かわべ やよい)

ビジネスコーチ株式会社 パートナーエグゼクティブコーチ
合同会社オモテナシズム 代表
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ

明治大学文学部卒業後、第二精工舎(現セイコーインスツル)入社。経理部に勤務。
その後、キャセイパシフィック航空にCAとして入社。香港をベースに勤務。
同社在職中、トレーニングセンターで英国企業人材開発機関『IPD』会員資格を取得しサービス指導・育成に携わる。

帰国後、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル、エルメスジャポン、シャネル株式会社においてトレーニングマネージャー。2007年イタリア系ラグジュアリーブランド人事部長。
国内外のブランドの理念浸透、富裕層をターゲットとするサービス人材の育成、人事労務施策策定に携わる。
2007年認定プロフェッショナルビジネスコーチ取得。世界的コーチ、マーシャル・ゴールドスミス博士の指導を受ける。

2012年5月彌生教錬有限公司を香港に設立。企業の管理職コーチング、人材開発、女性リーダー育成、「おもてなし」の風土醸成などを主に活動。
2013年11月合同会社オモテナシズムを設立し、「おもてなし」を企業戦略・人事戦略として社会に浸透させる活動を開始。

*セミナー
SMBCコンサルティング
社団法人企業研究会
その他、大学、専門学校において講演

 

■実績
キャセイパシフィック航空在籍時に、CAとしての勤務のみならずトレーニングスクールに所属しサービス向上プログラムを指導する。 同社勤務中、英国のトレーニング資格を取得し、グローバルサービスの設計と実践に貢献した。 日本帰国後は、一貫して、富裕層を対象とする外資系ホテル・リテール業界において人事制度構築・人材開発に取り組む。 多国籍のメンバーが構成するプロジェクトにも参画しグローバルなプログラムの設計に取り組む。 また、経営陣として、企業理念とサービスを実行・定着させ企業価値を高める施策を数多く実践する。
マーシャル・ゴールドスミスにも2008年来日時、指導を受ける。

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