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第73回:ミッション・ビジョン実現は如何にして成しえるか?
~未来と今を繋ぐ「365歩のマーチ」~

久野 正人 久野 正人

人は最期の瞬間を迎える時に何を想うのでしょうか?
それが生きている時に分かれば、人生をどう生きるべきか、誰も迷わずに毎日「意義ある充実した時間」を過ごすことができます。
我々ひとり一人の存在意義、即ちミッションを生きている間に持ち、それを実現するためにビジョン(なりたい姿)を設定し行動することの難しさは「此処」にあると思っています。

「目の前の仕事で忙しい」「振り返りの時間がない」「自分の10年後のなりたい姿がまったくイメージできない」
といったコメントを年齢問わず多くの人から聞く機会が増えています。

研修や上司から、「ビジョンが大事」と言われ、頭ではその重要性は理解しているものの、なかなか一歩が踏み出せない。
結局、目先の仕事の「処理」のみに時間を費やして、意義ある毎日を実感できていない人が多いのではないでしょうか。

また、企業にとって最大の人事課題は何でしょうか?
イノベーションを加速させなければサバイバルできないグローバル競争の環境下で、企業の戦略を加速させるのに必須の要素は人材です。

しかも、ひとり一人が自律的に相応の判断ができ、組織にぶら下がるのではなく、自らの生き方に自信を持ってビジョンを考えて、着実にマイルストーンを実現している人の比率が多ければ多いほど、その組織は活性状態といえます。

即ち、組織の戦略を達成できる状態に近づいていると言えます。
毎日、意義ある人生を過ごしている社員の状態の総量が、組織のイノベーションの総量となっていると言えます。

では、どうすれば生きている間に「毎日意義ある」時間を意識して、しかも行動することが可能になるのでしょうか?

世界的なエグゼクティブコーチであるマーシャル・ゴールドスミス博士は、最新の著書「トリガー」(日本経済新聞出版社、斎藤聖美氏訳)の中で、次のように述べています。

「大人の行動改善は難しい~大人になってからの習慣を変えるのは難しい、最後までやり遂げるのはもっと難しい。
なぜ私たちは、なりたい自分になれないか?
それは環境がトリガーとなって、私たちの行動改善を阻んでいるからだ。
意志の力だけに頼っては、人は変われない。
仕組みを作れば劇的に変わる」(抜粋)

今日から丁度5年前にあなたが持っていた5年後(つまり今日)のビジョン(なりたい姿)は、今の自分の状態と比較してみるとどうでしょうか?

ビジョン通りになっている、ビジョンを超えている、ビジョンと少し違っているが満足している、ビジョンを達成できていないので不満等々、どれに当てはまりますか?

今日の姿は正に過去5年間の自分の行動の結果なのですから、誰に責任を押し付けるものではありませんよね。自己責任の世界です。

依って、今までの5年間の行動の延長で今日持っている5年先のビジョンを実現できるかどうかを考え、もし、このままでは無理そうだなと判断すれば、自分の今までの意識と行動を変えない限り、ビジョンの実現は不可能ということになるでしょう。

○年後にビジョンを実現するには〇年を因数分解してみることをお勧めします。以下、シンプルな方程式ですが、現実にはなかなか実践できない(イコールにならない)方程式です。

1日の行動 × 365日 × ○年 = ○年後のビジョン実現

例えば10年は3650日。
3650日、一日一日の過ごし方の質の良し悪しで3650日後の自分の姿が造られていきます。あたかも、毎日食べている食材が10年後の肉体、 健康状態を形成しているかの如く。毎日何を食べるか、どう過ごすかで10年後の姿が決まってくるということです。

しかし、人間は「なんとなく」一日を過ごしてしまうのが習性(健康になっていたい、理想の肉体を持ちたい、人生でこうなっていたい、と思いながらも)なので、この習性(易きに流れる特有の行動傾向)を打ち負かすだけの「仕組み」を設定し、それを実践するかどうかが決め手となるわけです。

もう一つ付け加えるならば、○年後のビジョンは○年後の世の中に高く評価される価値を提供できている必要があります。

目まぐるしく変化し、急激なパラダイムシフトが起きている現代社会では、自らの○年後のビジョンを考えるにあたっても「未来予測」が重要なのです。
将来、高い価値として認められるビジョン実現をめざして獲得すべき能力にフォーカスし高めていくことです。

前述のマーシャル博士の「日課の質問」は、「仕組み」であり、○年後のビジョンにどう繋がっているのかを検証した上で、自分の中に存在する「計画の人」から「実践の人」へと切り替えるトリガー(引き金)でもあり(マーシャル・ゴールドスミス著「トリガー」より)、トリガーを適正な頻度で自ら引いていることが、結局はビジョンの実現の可能性を高めるのだと思います。

単に、夢(やりたいこと)を追いかける、妄想するだけではミッション、ビジョンは実現しません。

「夢」と同時に、「責任(やらねばならないこと)」を考え、且つそれらを実現できるための「能力(できること)」について、自分なりの人生戦略、成長モデルを自ら考え獲得する毎日の「行動」が重要なのです。

換言すれば、「行動」とは自らに投資(金銭的と時間的に)を課し、「人としての」善い振る舞いを高めることでもあります。

これらの努力をしながら、機会を見つけて他者へ発信していくことで、ビジョンの進捗はワープし、自分一人では成し遂げることが不可能と考えがちな大きなビジョンを想定よりも短期間で実現できる可能性を秘めています。

ミッション・ビジョンを今は考えられていない人へのお勧めは、まずは自分の簡単な行動を変えるみることと、それを実践する日課の質問(*下記に2サンプル有)を考えて、早速小さく実践してみること。

実践すれば、何らかの反応が相手から、組織からあなたに返ってきて、変化が変化を生み出していくはずです。
せっかく80年以上生きるなら、人生の最期の瞬間に「自分の果たしたミッション(存在意義)、ビジョンの実現」を感じたいですよね。

最後に、一言。
私の年代の人ならば誰でも知っている1968年の流行歌に「365歩のマーチ*」(歌手、水前寺清子さん)があります。
日本が高度成長を始めた時代。この歌詞には人がミッション・ビジョンを実現する上でのヒントが刻みこまれてあり、正に今の時代の多くの世代が当時の様に口ずさんで前進して欲しいなと思うのです。
*「365歩のマーチの歌詞」参考サイト 
http://takurou.co-site.jp/ikoi/365uta.html

<ミッション・ビジョン・日課の質問のサンプル>

■50歳代向け:
ミッション
75歳まで「健康寿命」を伸ばし、社会に貢献する。

ビジョン
➢5年後に人間ドックで全ての検査項目にA評価を獲得する。
➢5年後にセカンドライフに使える資格を取得する。

日課の質問
➢毎日1万歩以上を歩くことにベストを尽くしたか?
➢塩分、糖分、油分に配慮した食事をとることにベストを尽くしたか?
➢一人で過ごさずに誰かと積極的にコミュニケーションを取ることにベストを尽くしたか?
➢セカンドライフに向けて、資格取得の勉強をすることにベストを尽くしたか?
➢パートナーと良い会話をすることにベストを尽くしたか?

■30歳代向け:
ミッション
グローバルに勝てる人材としてプレゼンス(存在感)を高め、世界、アジア、日本の幸福を追求する。

ビジョン
10年後にグローバルな(多国籍で多文化)部下と共に仕事をする。

日課の質問
➢英語を使ったコミュニケーション(メール、会議、スカイプ等)に関わることにベストを尽くしたか?
➢相手の意見を尊重することにベストを尽くしたか?
➢ロジカルシンキングでシンプルなメッセージを発信することにベストを尽くしたか?
➢的確な問いかけと積極的傾聴をすることにベストを尽くしたか?
➢ハードスキル(経理財務、マーケティング、プロジェクトマネジメント等) を勉強することにベストを尽くしたか?

 
執筆者プロフィール
久野 正人(ひさの・まさと)

ビジネスコーチ株式会社 統括パートナーエグゼクティブコーチ
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ
株式会社エム・シー・ジー代表取締役
一般社団法人久野塾 代表理事、塾長

1981年、慶應義塾大学法学部卒業。
古河電気工業株式会社入社後、日本サン・マイクロシステムズ、日本シリコングラフィックスを経て、2000年、ベックマン・コールター株式会社入社。CFO、事業部長を経て、代表取締役社長。30年間の会社員生活を卒業し、2012年1月からプロのエグゼクティブコーチとして独立。

独立後4年間で200名の社長、役員、部長、課長クラスへ1200回近いコーチングを実施。並行して、200回以上のグループ研修の実績を持つ。社長、CFO、事業部長等の多彩なポジション経験と日米企業4社(製造業、IT2社、医療・研究)でのグローバル経験(日本企業13年、外資系企業17年、うちブラジル駐在6年)を活かしながらのリーダーシップ・コーチングに定評がある。

大学生~40代のグローバルリーダー育成を目的とした一般社団法人久野塾の運営で、若手のキャリアアップをサポートしている(東京、大阪、北海道、広島、福岡)。経済同友会会員、同友クラブ理事、アークヒルズクラブ会員、日本アスペン・フェローズメンバー、京都市成長産業創造センター京都コモンズ賛助会員、日本CFO協会スクール講師(2016年リーダーシップ講座)。

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