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第75回:リーダーが実践する「価値観を明らかにする質問」

佐藤 正彦 佐藤 正彦

「新たな世代の社員も増えてきて、どうもベクトルがなかなか揃わなくて・・・」 最近、クライアントである大手化学機器メーカーのリーダー(執行役員)から、こんな課題があるとお聞きしました。

 確かに、多くの企業でY世代(ジェネレーションY)の社員がいよいよ増えてきました。
Y世代とは米国で1975~1989年に生まれた世代を指し、1945~1959年に生まれたベビーブーマー、1960~1974年に生まれたⅩ世代(ネクストの意味を含んだ呼称)の次の世代、つまり「Ⅹの次」という意味でそう呼ばれています。世の中はダイバーシティという言葉も一般的になり、社会やキャリアに対する価値観もますます多様化が進んでいます。

 大企業だからといって、必ずしも社内組織や教育体制が整備されているわけではありません。時間をかけて計画的に人材が育ってベクトルが揃っていく環境が整っているかというとそうではないのです。中小企業の場合も、なかなか教育体制を整備するまで手が回らず、思うように人材が育たないのが実情といえます。とはいえ、強制せずに一体感を育てることは重要課題であり、リーダーの考え方ひとつで社員は将来の幹部として育つものです。

 まず大切なのは「リーダー自らが育成する」ことです。これが大前提になります。時折、リーダー自身が教育現場に入ってきて育成・指導するのです。
教育といっても、経営学云々を講釈してもらうわけではありません。リーダー自身の価値観や企業の価値観、考え方を理解してもらうとともに、社員と共通の価値観を確立した上で、共に行動してもらうことが大切です。新たな世代の社員も、納得すれば責任ある行動をとるのです。それにはやはりリーダー自らがその思い(信念や社員の仕事の指針となるような価値観)を語り、すり込んでいくほうが、社員にはより伝わりやすいものです。

 冒頭でご紹介したリーダーには、まずそのために、リーダーであるクライアント自身の価値観を明らかにすることが必要と思われ、「心の奥底の真実の声を可視化」するサポートをさせていただきました。このクライアントはとても優秀で業績も上げており、もちろん自分なりの信念や価値観を持っています。
ところが明確に言語化しようとすると、どうもファジーな感が拭えません。自分の信条がわからなければ、それを行動で示すことができません。
また、自分の言葉で語れなければ、言葉通りに行動することはできません。クライアント自身の判断や行動の指針となり、成功や繁栄へと導いてくれるような基本的な信条を発見することが、社員メンバーと価値観を共有する上でも重要でした。 そこで、まずクライアント自身の価値観を自分の言葉で語り、社員と共通の価値観を確立することから始めるために、次のことを実践していただきました。

●これまでの経験では、どのような価値観のもとで選択や判断をしてきたかを振り返る
●「自分にとって、リーダーの価値観と信念とはなにか」を自問する
●自分にとってなにが大切かを自分の言葉で語る
●自分の判断、優先順位、行動の指針となる価値観をはっきり表現する
●会議や研修などの場で価値観について語る

 共通の価値観は、発見と対話から生まれます。リーダーは、その価値観がどのような行動を意味するのか、また個人の信条と行動にどう影響するのかについて話し合う機会を持たなければなりません。そして、共通の価値観や行動規範の共有は、押しつけではなく対話やプロセスから生まれるものです。

 では、リーダーは社員が共通の価値観に沿って生きている(仕事をしている)か、価値観に沿った選択をしているかを知るにはどんな質問をすればよいでしょうか。共通の価値観の大切さを示すのに役立つ日々の質問の例を挙げてみます。共通の価値観がどのようなものであれ、質問することで、核となる価値観とそれに沿ってどんな行動をしたかを毎日考えさせるようにすることは効果的です。リーダーシップの指南書ともいえる「リーダーシップ・チャレンジ」(ジェームズ・M・クーゼス/バリー・Z・ポズナー著)から、参考までに毎日する質問例を抜粋してご紹介します。

◎毎日する質問の例
【チームワーク】仲間を助けるために今日なにをしましたか?
【尊敬】仲間の成果を褒めるために、今日なにをしましたか?
【学習】先週失敗したことをひとつあげてください。その失敗からなにを学びましたか?
【継続向上】先週より向上するためになにをしましたか?
【顧客志向】顧客の指摘で先週変えた点をひとつあげてください

   

 リーダーは、組織における価値観の旗振り役です。組織の価値観と基準を外に向かって体現することが使命ともいえます。
リーダーは、採用、選抜、研修の場で組織の価値観と期待を語れなければなりません。早い段階で個人と組織の相性を明らかにしておけば、後に重要な局面で深刻なずれに気づくこともなく、不幸を減らせるはずです。

 
執筆者プロフィール
佐藤 正彦(さとう・まさひこ)

ビジネスコーチ株式会社 パートナー エグゼクティブコーチ
株式会社アップシフト 代表取締役
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ
LIMRA (米国生命保険経営調査協会) 公認トレーナー

青山学院大学 文学部英米文学科卒。
酒類食品総合商社、外資系生命保険会社でトップ営業パーソンとして数々の営業記録を塗り替え、マネージャー(営業所長、支社長)としても全国トップクラスの業績を挙げる。
独立後、生損保乗合代理店、営業教育会社、少額短期保険会社の代表を経て、現在、株式会社アップシフト 代表取締役。

生損保金融機関30社以上、他業界一部上場企業を含めて70社以上の組織活性化コンサル、コーチングの実績がある。
延べ10,000人以上の営業パーソンやマネージャー、経営者、ドクター、会計事務所等に講演・セミナーを開催、都市銀行、大手証券会社、大手・中小会計事務所、中小医療法人、中堅システム開発会社、大手機械メーカー、大手屋根メーカー、外資系酒類食品卸会社等にビジネスコーチングを多数実施。
また、企業経営者、役員、院長等へのエグゼクティブコーチングも多数実施。組織風土や体質に確実に変化の風を吹かせ定着させることに定評があり、組織力向上に驚異的な業績向上の実績を挙げている。
*新日本保険新聞、保険毎日新聞、月刊セールスノート、月刊実務経営ニュース等連載多数

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