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第79回:これからの「働き方」を考える

【HR】吉田 寿 【HR】吉田 寿

■「働き方改革」へのパワーシフト

 安倍政権の新成長戦略の1つの目玉として掲げられているものに「働き方改革」があります。

 「一億総活躍社会の実現」の旗印の下、例えば、減り続ける労働者が効率的に働けるよう、労働基準監督署の立ち入り基準を残業時間月100時間以上から80時間以上に引き下げ、長時間労働の是正を図ったり、同一労働同一賃金の実現のために、非正規労働者の賃金格差などの待遇改善を図ろうとする動きもこの取り組みの一環です。同様な動きは、保育士や介護士の賃金引き上げの動きにも見てとれます。充実した育児・介護体制を国主導で支援し、現役世代が働き続けられる環境を整備することがそのねらいです。

 労働人口が減る中で経済成長を続けるには、生産性の向上が不可欠です。しかし、日本の労働生産性の低さは、以前から指摘されてきたところです。例えば、日本生産性本部がまとめた「日本の生産性の動向」(2015年版)によれば、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、日本の労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)は、72,994ドル(768万円/購買力平価(PPP)換算)で加盟34カ国中21位。これは、主要先進 7 カ国で最も低く、アメリカの6割程度の水準です。また、就業1時間当たりでみた日本の労働生産性は41.3ドル(4,349)OECD 加盟国の中では、こちらも21位でした。

日本はいま、先進国の中でも類例のないスピートで人口が減少し、少子高齢化が進んでいます。これからは、時間的拘束や時間単位の賃金概念から脱して、自由度の高い就労環境においてより成果に重きを置く働き方を模索するのは、ある意味で自然の流れと言えるでしょう。

リンダ・グラットンの『ワーク・シフト』(プレジデント社)の中でも述べられているように、これからの未来を「漠然と迎えるか」、それとも「主体的に築くか」によって、そのシナリオも随分と異なるものになってきます。

■もはや他力本願ではいられない

 そもそも、日本における働き方の問題とは何でしょうか?18時間働くことに意味があるのでしょうか? 時間ではなく成果をベースに働くべきだという議論は、だいぶ前から指摘されています。9時~17時という拘束時間に意味があるのでしょうか? 例えば、子どもが起きる前、幼稚園にいる時間、子どもの就寝後の時間を合わせて8時間働けばよいのではないかという意見も、確かに存在しています。

 多様な価値観を前提として多様な働き方を可能とするために、企業が本腰を入れ始めているものに「ダイバーシティ・マネジメント」(多様性を活かす経営)があります。現状のところ、まだまだ女性活躍推進に終始している嫌いはありますが、同じ組織の中でも、様々な職種、雇用区分、就労条件や世代の違いを超えて、それぞれの立場を尊重しながら、ともに協働できる場づくりが重要となってきました。最近では、様々な制約条件を持ちながら仕事に従事する社員を活かす必要性が増えているという現実を踏まえると、まさに「多様性は力」なのです。

 組織におけるキャリア選択の可能性も、一元的な価値観では捉えられなくなっています。この状況をリンダ・グラットンは、『未来企業』(プレジデント社)の中で、「梯子ではなく格子で考える」と指摘しています。

 これまで、出世の階段は、直線的な梯子をトップスピードで昇るようなものと考えられてきました。しかしこれからは、いろいろなルートを経て、スピードも調節しながら、多少の寄り道も許容しつつ、上を目指せるような格子を前提とするという意味です。つまり、昇進・昇格のペースも、仕事量も、働く場所も、仕事上の役割も、自己選択できるような環境を整備すべきという考え方となります。このような状況の中で、「キャリア自律」という言葉も、また改めて使用されるようになってきました。

 キャリア論については、これまでも縷々語られてきています。しかしこれからは、キャリアは他力本願ではなく、自らが主体的に選び取っていく姿勢が問われることになるでしょう。これは、これまでの人材マネジメントや人材育成のあり方、リーダー像そのものに変更を迫る可能性を秘めた変化です。

■自分にとって「価値ある仕事」とは何か?

 そうなってくると、重要なことは、自分にとって「価値ある仕事」とは何か? ということです。それは、継続的なスキルの再構築と「次の仕事」探しを伴います。それは、報酬の多寡が問題ではありません。他人や世間の評価も重要ではなくなってくるかもしれません。営利組織に属して手がける仕事とも限らないでしょう。

 自分にとっての適性とは何か? 磨き続けるべき専門性とは何か? そして、あるべき生き方とは何なのか? これからの職業人生とは、それらを常に自問自答し続け、自らを継続的に成長させていくことに他ならないのです。

 世の中の技術革新のスピードは速く、グローバル化の波も止まることを知りません。本当の意味で、個人の資質と能力が問われる「タレントの時代」が本格的に到来しているということなのです。

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