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ビジネスのプロフェッショナルが次世代エグゼクティブをコーチする
第90回:もう人事評価はいらない!?

【HR】吉田 寿 【HR】吉田 寿

■ノーレイティングのトレンドの到来

多くの企業にとって、もはやお馴染みの人事評価。
しかし、これを止めるという動きが話題となりました。
いわゆるNo Ratings(ノーレイティング)のトレンドです。
 
動きがあるのは、アメリカのグローバル企業やプロフェッショナル・サービス・ファーム。
有名どころでは、例えばGE(ゼネラル・エレクトリック)やマイクロソフト、
ギャップ、アクセンチュア、デロイトなどです。
いまや米国企業の3分の1が人事評価を止めてしまったとの指摘もあるくらいです。

具体的には、A、B、Cといった社員のランク付け(レイティング)を行わないこと。
そして、年度単位での社員の評価(年次評価)を止めるということです。

米国企業では、人事評価を”パフォーマンスマネジメント”と称します。
これまでのパフォーマンスマネジメントは、社員をレイティング(評価段階付け)や
ランキング(相対評価)することで、心理的に社員同士の競争心を煽り、
個人主義を助長し、エゴイズムを増強してきたという指摘がありました。

昨今のように、知識労働者が組織の枠を超えてコラボレーションしながら
イノベーションを生み出す必要性に迫られている時代には、
このようなやり方には限界が出てきているとも言われています。

そもそも「信頼」の基盤があってこそ、安心してリスクテイクできる文化は生まれます。
これは、「心理的安全性」(Psychological Safety)に由来するものです。
また、「競争」ではなく「共創」を可能にする文化が、
これからの企業の競争優位を生み出していくうえで重要との認識も高まってきています。

近年の脳科学(ニューロサイエンス)の発展とその成果のマネジメント領域への
応用の進展も、少なからず影響を与えています。
行動の結果に対するフィードバックが効果的な学習につながり、
パフォーマンスにつながる行動が定着するためには、
行動とフィードバックの間の時間が長すぎると効果がないことがわかってきたからです。
年度単位のフィードバックでは、効果が薄いというわけです。

日本の企業でも、例えばカルビーなどのように、2010年に従来型の人事評価を止めて、
代わりに全社員が上司と部下でCommitment & Accountabilityという年度目標を
結んでいる企業も現れています。

仕事柄、筆者のところにも、
実際に人事評価の廃止に関して意見を求めてくる人事関係者も増えてきています。
こうした動きは、もはや一時的な流行ではなく、
現在の事業環境を反映しての不可逆的な流れとみる向きもあります。

しかし、果たしてそれは本当でしょうか?

■人事評価の廃止は早計な判断

人事の領域も、これからは広くグローバルなトレンドに着目していくことは、
もちろん重要なことです。
したがって、いま世界で起こっている潮流に関心を寄せることには意味があります。
しかし、ノーレイティングの流れは、
もう少し今後の展開を見据えていく必要性があるように思えます。
大方の多くの企業にとっては、人事評価の廃止は早計な判断と考えられるからです。

確かに、実際に人事評価をきちんと運用させようとすると、
かなりの時間と労力がかかります。
その割には、理想とされる公平・公正で納得性の高い人事評価の運用を実現するには、
いまだに多くの企業でかなりの課題が残されているのも事実です。
そんなところから、この種のテーマへのコンサル需要は絶えないのです。

期初における目標の設定に始まり、期中における中間レビュー、
期末における年次評価の実施に至るまで、節目、節目での部下との面談の実施など、
年間での評価実務に費やす時間と労力は、制度を適正に運用しようとすればするほど、
膨大なものになってきます。

これを理由に、
「こんなに手間暇をかけてまで、人事評価を実施することにどんな意味があるのか?」
「日々の業務が多忙を極めているのに、部下の人事評価にかける時間はない」
と、現場の評価者から半ば苦情めいた声が人事部門に届くことも実際にあります。

そんなところから、ノーレイティングのグローバルなトレンドに便乗して、
「当社においても人事評価を止めるべきではないのか?」
といった現場の意見が勢いを増すことに危惧を覚えるのです。

■評価スキルに関する継続的な向上努力を

多くの企業では、評価者研修の定期的・継続的な実施を通じて、評価者の評価スキルを
向上させ、人事評価制度の安定運用を推進することに余念がありません。
特に、人事制度の抜本的な改革・改善が実施された後には、
一定期間、評価者研修に注力する企業は数多くあります。
これは、極めてポピュラーな取り組みです。

そんな企業のサポートをさせていただいている立場からすれば、一定レベル以上の
評価スキルを身に付けた評価者(=管理職)が大半を占めるようになるまでは、
「地道に、愚直に、徹底的に」評価者研修を続けるべきというのが、筆者の立場です。

PDCA(Plan⇒Do⇒Check⇒Action)のマネジメント・サイクルすら
実施がおぼつかない企業に、ノーレイティングは早計ということです。

実際に人事評価を止めた企業が何を行っているかといえば、
気づいたことを気づいた時にその場で指摘する「リアルタイム・フィードバック」や
「1 on 1コーチング」です。

これは、実質的には究極の日次評価の実施に他なりません。
日々、部下の仕事ぶりを判断し、日々、評価しているに等しい行為です。

GEなどに代表される人事評価を廃止した多くのグローバル企業は、
これまでの緻密で徹底的な人事評価の運用の中で、人材に関するハイ・レベルな
評価スキルを組織能力として蓄積させ、身に付けている企業です。
人材を適正に評価するという組織文化を体現している企業であればこそ、
さながら年中行事のようにやってくる人事評価を廃止するという選択もあり得たと
理解すべきではないでしょうか? 

そのレベルに達していない大方の企業が不用意にこの選択をすれば、
組織が混乱を来すのは目に見えています。

人材の適正な評価に王道はありません。
評価者にとって最も重要なことは、日々の業務遂行の場面で、
継続的なスキルの向上に真摯に取り組むことなのです。 

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【無料PDFダウンロード】
キリン、ローソン人事座談会『納得性ある人事評価』とは
『有名企業の人事にズバリ聞く!楠田 祐の人事放送局』

出演
キリン株式会社 人事総務部 人事担当 主務 森澤 文貴氏
株式会社ローソン 人事本部 人事企画 マネージャー 岩田 泰典氏
ビジネスコーチ株式会社 常務取締役 チーフHRビジネスオフィサー 吉田 寿
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延べのリスナーが10万人を超える人気インターネットラジオ番組『楠田 祐の人事放送局 有名企業の人事にズバリ聞く!』の
採録資料で全体テーマは「納得性のある人事評価」です。

人事評価をどのように行うか、納得性の高い評価をどう行うか、育成と評価をどうリンクさせるか、いま多くの企業で人事評価は極めて重要なテーマになっています。
 
欧米の先進企業が「ノーレイティング(年次評価の廃止)」を次々と取り入れる中で日本企業の取り組みにも大きな変化が
見られてきています。

このダウンロード資料では、キリン株式会社、株式会社ローソンの人事がどのように人事評価に取り組んでいるか知ることができます。

vol.57 人事評価に内在している課題
vol.58 課題解決のための各社(キリン、ローソン)の取り組み
vol.59 人事評価とコーチングのハイブリッド
vol.60 ノーレイティングのトレンドとあるべきピープルマネジメント

ぜひダウンロードしてお読みください。

▼ダウンロードはこちらから▼
https://moushikomi.businesscoach.co.jp/entry_seminar/chrg_input_common.html?group=hrpro_podcasat

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