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ビジネスのプロフェッショナルが次世代エグゼクティブをコーチする
第92回:1on1(ワン・オン・ワン)の本質とは何か?

橋場 剛 橋場 剛

2017年は日本企業において
「1on1ミーティング」導入が急速に増えた1年となりました。
弊社でも多くの企業での「1on1ミーティング導入支援」の機会に恵まれました。

・職場におけるコミュニケーションの改善
・パフォーマンス向上/パフォーマンスマネジメント
・働きやすい職場の実現

この3つが1on1ミーティングを導入する主な目的であり、
1on1導入企業にとっての得たい成果になっていますが、
「発展途上」の1on1(ワン・オン・ワン)ミーティングには、
よりよい成果につなげていただくうえで
考慮すべき3つの本質があると考えています。

1つ目は、「中長期的な視点を持つこと」です。

1on1ミーティングを導入しようとする会社が真っ先にぶつかる壁が、
「時間確保の問題」です。

「ただでさえ忙しく、会社からは残業を削減しろと言われているのに、
 1on1なんてやったら余計に仕事が増えるよ」

「定期的に部下との1on1?なんか面倒くさいよなあ」

こんな本音がコーチングやトレーニングの現場で、数多く聞こえてきました。

1on1を主導する経営幹部や人事部門は、まずこの点について、
社員の皆さんが「腹落ち」する回答ができなければなりません。

確かに週に1回30分、部下と1on1を行う場合を想定すると
部下の方が10名いる上司の方は30分×10名=300分(5時間)を
あらたに1on1に割くことになり、
一見、残業削減に逆行しているように見えます。

1on1導入による成果や効果をどの時点で考えるべきかについては、
様々な考え方があってよいと思いますが、少なくとも即効性を期待すべきではありません。
なぜなら、1on1自体が、中長期的な部下の成長支援を目的に行われるものだからです。

先日ある企業で1on1のトレーニングをした際、
こんな驚きのエピソードが共有されました。

「ウチのある社員は、退職するときに初めて上司と1対1で面談する機会を持ったらしい」

まったく笑えない話ですが、実話です。

大企業の場合、1つの事業部や組織が数百人に及ぶことも多く、
事業部長や部門長と1対1で話す機会が極端に限られていることもしばしばです。
直属上司ならともかく、自身が所属する組織の長とは年に1回話すかどうか、
という方も決して少なくないかもしれません。

上記は極端な例としても、
上司と1対1で向き合う機会が年に1回や半年に1回の評価面談のみ、
というのもよくある話です。

コミュニケーションの頻度が極端に少ないことにより、
上司と部下との間での相互理解が進まず、その結果として、
部下が上司に話しかけるタイミングや上司の顔色・機嫌を窺がったり、
上司が部下の持ち味を十分に活かしきれなかったりする状況が生じており、
こうした目に見えない「ロス」の蓄積が、
組織としての大きな損失や時間の無駄を生じさせている、
という現実を改めて認識する必要があります。

2つ目は、「十分な信頼関係の構築」です。

1on1を受ける側(通常は部下)が、
1on1を実施する側(通常は上司)に対して、十分な信頼を寄せているか?
もっと言えば、実施する側(上司)が受ける側(部下)から
敬意を持たれる存在であるか?

という点です。

どんなに卓越した1on1のスキル(コーチング・フィードバック・ティーチング
等のスキル)を上司が持っていたとしても、1on1を実施する側(上司)が
1on1を受ける側(部下)から一定の信頼や尊敬を得られていなければ、
残念ながら1on1はまったく機能しないという冷厳なる事実があります。

例えば、
・部下には高い目標を課しておきながら、自身は高い目標にチャレンジしない上司。
・部下には早く帰れと言いながら、自身はいつも遅くまで仕事をする上司。
・イノベーションの必要性を説きながら、
まったく自己変革や自己投資に取り組まない上司。

当たり前のことですが、部下はこんな上司から1on1を受けたいとは思いません。
しかしながら、残念なことにこうした本質を理解せずに、
1on1のスキル向上や目先の方法論ばかりに意識が行っている人が
少なくないのも現実です。

まさしく「鶏と卵はどちらが先か」と同じように
「1on1を定期的に行う」からこそ「相互の信頼関係が高まる」一方で、
「相互の信頼関係がある」からこそ
「1on1が効果的に行える」側面もあるということになります。

3つ目は、「ヴィジョン(実現したいこと)」です。

1on1を導入する企業は、
どのような職場づくりや価値提供をしていきたいと考えているのでしょうか?

これは「働き方改革」の全般に当てはまることですが、
「残業削減」や「生産性向上」といった「手段」そのものに意識が行き過ぎて、
肝心の「その先に何を実現したいか?」という「目的」について
何も考えられていないのであれば、本末転倒です。

例えば、
1日2時間残業削減できたら、浮いた2時間をどのように活用したいか?
1時間かかっていた仕事を30分でできるようになると、どんな意味があるのか?

こうした問いに答えるためには、
どんな職場を作りたいか、仕事を通じてどんな価値を社会に提供していきたいか?
といった点についての仮説やヴィジョンが必要不可欠です。

「1on1が究極的に目指すところ」は、端的に言えば

「その人らしい仕事の仕方」をすることで組織の生産性を劇的に高めること

ではないかと私自身は考えています。

1on1ミーティングを行うことで、初めて自身のキャリアと向き合ったり、
自身のスキルアップについて考える機会を得たりする人も決して少なくありません。

例えば、1on1や最新テクノロジーの活用によって仕事の生産性が高まり、
週7日のうち仕事をするのは3日間、
残りの4日は「その人らしい時間の使い方をする」といったことが実現できれば、
個人としての人生における充実度は高まり、
結果的に組織としての生産性も上げられるかもしれません。

1on1ミーティングを単なるブームとして取り入れるのではなく、
「個人や組織のありたい姿に向き合う機会」として捉えることで、
もっと意義ある時間、意義のある対話にできるのではないかと思います。

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