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【テーマ】1on1 上司と部下のコミュニケ-ション
<第2回/全4回> 1on1の事例紹介 ~カルビー株式会社~

※HRプロにて配信中の「人事放送局」VOL.19の採録資料です。

 

<出演者>

●福田 仁氏
カルビー株式会社 人事総務本部人事総務部 部長兼 人財・組織開発部部長
大学卒業後カルビー株式会社に入社し、工場人事、営業、マーケティング、経営企画などの職務を経験。2003年より人事の職務につき、人事制度企画・運営、労務問題、採用、人財育成など人事全般を経験、2014年より3年間西日本地区人事担当後、現職。戦略パートナーとしての人事を志向し活動中。

●菱沼 恒毅氏
ヤフー株式会社 コーポレートPD本部PD企画部 人財育成リーダー
2006年にリクルート入社後、営業や事業開発、採用を担当。その後2014年、ヤフー株式会社に入社し、人事部門にて引率採用の統括、企画・ブランディングを担当。2016年10月より現職。管理職および入社者を中心とした全社の人材開発全般を統括。

●橋場 剛
ビジネスコーチ株式会社 専務取締役/BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ
大学卒業後、アクセンチュアにて主に大手ハイテク企業に対するコンサルティングに携わる。同社通信ハイテク産業本部マネジャー及び企業経営を経て、当社設立に参画。2010年10月より現職。大企業へのコンサルティング業務の経験を活かし、経営者、経営幹部、マネジャー、コンサルタント等、200名以上に対してエグゼクティブ・コーチングを実施し、行動変革・業績向上に寄与する。管理職研修の導入実績多数。著書に『優れたリーダーに変わる たった1つの行動』(中経出版)『ダイエットに成功する人が会社を活性化できるワケ』(扶桑社新書)。

●楠田 祐氏
パーソナリティ

 

楠田:
今週も「1on1 上司と部下のコミュニケーション」をテーマにお送りします。2回目のテーマは「1on1の事例紹介」として、カルビーさんのお話をうかがいます。早速ですが、カルビーさんが今の丸の内のオフィスに引っ越してきたのはいつぐらいだったでしょうか。

福田:
2010年に越してきましたから、もう7年になります。

楠田:
赤羽にいた頃と今とでは、随分変わったという印象を持っていますが、何を目的に変わったのでしょうか?

福田:
2010年に松本をトップとした経営体制に変わった際に、「もっと自律的な個人が活躍する組織を目指して、パブリックカンパニーになろう」というメッセージが出されたことが大きかったと思います。

楠田:
そのメッセージに社員ひとりひとりが納得したということですね。

福田:
そうですね。納得して、今に至るということなると思います。

楠田:
人事として様々な制度や施策を展開してきたと思いますが、最初に何を手がけましたか?

福田:
まずは成果主義に舵を切りました。それまでは職能資格制度と、それに伴うスキル評価制度を昇給考課や昇格考課に使っていましたが、それらを正式に廃止し、2012年にはノーレイティングに変えました。成果主義に舵を切るならば、定性的な評価は必要ないのではないかという議論になったんです。その頃は少し不安もありましたが、成果主義に決めるのなら評価はいらないなと、自分なりにも納得しました。

楠田:
そうなってくると、マネージャーと部下の対話が疲弊していくのではないかと思うのですが、人事として何か策を打ったのですか?

福田:
当社が今実施しているのは、C&A(commitment & accountability)という名称の目標管理です。約束したらやり遂げるというテーマで実施しており、それが1on1のメインのツールであり、唯一のツールです。ノーレイティングにした後は、その運用を専らMBOのコミュニケーションでしてきているということです。

楠田:
人事が決めても、やることを忘れてしまうマネージャーもいると思います。分かるように明文化したんでしょうか?

福田:
C&Aをするときの注意事項やガイドラインをある程度文書化して、毎年、期初には「その注意書きを良く見て、今年もしっかりやってね」というメッセージを人事から発信するようにしています。

楠田:
カルビーさんでは、マネージャーと部下が、いつどこでどんな対話をしたかをイントラネットで書き込むと聞いたことがあるのですが、その点についてお話いただけますか。

福田:
上司と部下でコミットメントを交わしたシートを、イントラネットに掲載してオープンにしています。

楠田:
それは誰が見られるのでしょうか?

福田:
全従業員が見られます。

楠田:
すごいディスクローズですね。それはいつからですか?

福田:
2012年からその形でやり続けています。

楠田:
それをオープンにする狙いはどこにあったのでしょうか?

福田:
2010年の改革のときに「簡素化・透明化・分権化」という改革の3つのテーマが打ち出されました。コミットメントシートをオープンにすることは、その中の透明化にあたります。密室で評価したものではなく、きちんとコミットメントを交わしてデジタルに評価されたものであることを、透明化していこうという考え方ですね。

楠田:
結果として納得性があるようにしたということですね。

福田:
そうですね。納得性を高めることの他に、みんなの目にさらされて見られることによる緊張感というものも狙いとしてはあると思います。

楠田:
イントラネットで公開することによって、マネージャーのスキルのバラツキがなくなり、一定になるように思うのですが、いかがでしょうか。

福田:
おっしゃる通りで、みんなで色々な事例を見ることによって、マネージャーのレベルがこなれてきたり、気づいたりすることも副次的にはあってもいいと思いますし、それでレベルが上がってきているのかも知れないという思いはありますね。

楠田:
新任のマネージャーも、他のマネージャーのやり方が分かることで、マネージャーとしての役割を早く担うことができるように思います。

福田:
そうですね。

楠田:
橋場さん、今の話を聞いていかがですか。

橋場:
そこまで透明化をされているのは、すごいことだと思いました。容易に想像がつくのは、みんなの目にさらされているので、本当にやりたいことではなくて、あえて低めにコミットメントを出すというような状況なのですが、そこはどうコントロールされているんでしょうか。

福田:
目標管理にありがちな達成しやすい目標管理になっているんじゃないかとか、単年度の成果主義だとそういう見方も出てくるかも知れないという危惧をしながら、毎年の運用をしています。

楠田:
今の橋場さんの質問を聞きながら思ったのですが、C&Aを導入するにあたって、マネージャー研修のようなものはされたんですか?

福田:
していません。どう変えるかを伝えて、書式を提供しました。2002年くらいからバランススコアカードを使った目標管理をやっていましたので、目標管理に対する違和感はなかったと思います。ただ、それ一本になり、唯一のツールになっていくということで言うと、そのウエイトは非常に高くなりました。

楠田:
今回のテーマである1on1ですが、実際どのくらいの頻度でマネージャーと部下の対話は行われているのでしょうか。

福田:
特に丸の内本社でいうと、今はフリーアドレスですから、C&Aに関する1on1に限らず、通常のコミュニケーションも上司から働きかけて設定しないとできません。いつも顔を付き合わせているわけではありませんから、今日はどこにいるのかを探して、「ちょっと打ち合わせをするか」と声をかける形にならざるを得ないので、ある意味強制的に1on1の場というのは生まれているのではないかと思います。

楠田:
声をかけるのは承認の第一歩ですからね。カルビーさんのフリーアドレスを少し解説すると、フリーアドレスと言っても、本当に自由に座れるわけではないんですよね。

福田:
コンピュータが強制的に決めています。

楠田:
この方法は非常に参考になると思いますね。フリーアドレスを10年間くらいやっている会社は、結局いつも同じ席に座ってしまって、遅く来る人の溜まり場や早く来る人の溜まり場ができたり、嫌いな人とは座らないようになってしまったりして、逆に組織が疲弊することもあるように思います。実際、仲良しクラブ的な座り方になっている会社もありますから。カルビーさんでは、それができないわけですよね。

福田:
ルールを決めていないと、きっと居心地の良い状態になると思います。最初からそうなることを見越した設計になっていたことは、良かったかも知れませんね。

楠田:
フリーアドレスを始めた時に反発はありませんでしたか?

福田:
一番大きかったのは、上司の不安や不満ですね。従来型の上司が上座に座り、その脇をメンバーの机で固めるという島のスタイルを一切やめたことで、話をしたいと思ったら、居場所を探してコミュニケーションの場を作っていかなければならなくなりましたので、これまでのマネジメントスタイルできた上司には、どういうマネジメントをすればいいのかという不安や不満がやはりありました。

楠田:
何度か職場を見学させていただいたことがありますが、会長もフラットに座っておられますよね。

福田:
そうですね。オープンスペースに座っています。

楠田:
役員室や会長室があるわけでもなく、みんなと同じところに座っているので、すぐに声をかけられるのですが、あれはすごいなと思いました。

楠田:
菱沼さん、今のカルビーさんの一連の話を聞いていて、ヤフーさんとの違いもあると思いますが、何か質問などありますか?

菱沼:
組織や文化を変えていく上で、やはり反発はすごかったのではないかと思いました。福田さんは、すごく柔らかくおっしゃっていますが、きっとそこにはもともとカルビーにずっと勤めてきた人達のやり方や、変えていくうえでの反発や摩擦が多かったと思います。そこをどう乗り越えられたのかは、非常に気になるところですね。

福田:
赤羽にいた状態で新しく変わるというのは、きっとやりにくかったと思いますね。でも、丸の内への引っ越しの際には、働く場所も環境も変えて、気持ちもそれに合わせて変えていくような、全部リニューアルしていこう、新しいものに変わっていこうという動きが2010年当時にはありましたから、不安や違和感を抱えつつも「やってみよう」という気運はあったと思います。人間は、やり始めると慣れたり、適応したりするものなので、「これ、結構いけるな」という人も出てきたのではないかと思います。仕事をするオフィスとしては、非常に快適ですし、効率も良いオフィスですから、そういう面では働く人にとっても、良い改革だったのではないかと思います。

楠田:
同時にトップの松本会長のメッセージ力もあったと思いますね。松本会長が着任されて、そのメッセージ力を感じたことはありますか?

福田:
そうですね。非常にシンプルなメッセージで、繰り返し語りかけるというスタイルです。今も継続していますが、松本の経営体制に変わってから、毎年タウンホールミーティングと称して、従業員とのダイレクトコミュニケーションの場を全国各地の事業所で設けています。そこでは松本や社長である伊藤、各ファンクションがメッセージをすることになっていますが、特に松本からのメッセージは7年間、基本は同じことの繰り返しですね。

楠田:
そのメッセージの内容を教えていただくことはできますか?

福田:
先ほど申し上げた「簡素化・透明化・分権化」等ですね。松本自身もメッセージの最初に「もう耳にタコだと思うけれど」と言っています。それくらい繰り返し言って初めて末端まで浸透するんだということを踏まえて、松本はやっていると思います。

楠田:
橋場さん。そういうトップは必要ですね。

橋場:
そう思います。

楠田:
菱沼さん、どう思いましたか。

菱沼:
同じことを言い続けると、途中で違うことを言いたくなると思います。そうは言ってもビジネス環境は7年間もあれば劇的に変わると思いますし、たくさん言いたいことがあっても、同じことを言い続けるというのは、やっぱりできないことなんだろうなと思いました。

楠田:
素晴らしいですね。人事から「他にもっと言いたいことないんですか?」と聞きに行ったりはしないんですか?

福田:
あえてもう聞くことはありませんね。ある意味、大原則のようなものですから。

楠田:
働いている人は聞いている瞬間は頭に入っていても、次の日からは忘却曲線入ってしまって、いつも通りの自分のやり方になってしまいますよね。でも、繰り返されると、「また言われる」と思うようになって、そのうち「こういうこと言うんだろうな」と想像できるようになるのではないでしょうか。

福田:
みんな分かってはいると思います。

楠田:
分かってはいてもできていない自分もいますからね。言い続けることで、それがカルチャーになりますから、これから入ってくる人も、それを分かって入ってくるということになりますね。

福田:
そう思います。

楠田:
1on1の中で、カルビーさんとして工夫していることや、課題感があれば教えてください。

福田:
1on1のC&Aを7年間やっていますが、やはり単年度の成果主義がチャレンジャブルな目標設定をするということに控えめになったり、押さえがちになったりということにつながっているんじゃないかという見方も少し出てきたりしています。例えばR&Dなどの業務であれば、単年度では終わらない中長期的なテーマもありますから、それはどう捉えるべきなのかというような議論もしながら、消化してきたというのもありますね。今後もそうしながら、レベルアップさせたり、変えるところは変えていかなければと思ってます。また、数字や目標で語るだけではなく、それをやるために、何を学ぶのか、何をブレイクスルーするのかというような対話を上司と部下でできるように、どうサポートをしていくのかは人事の課題でもありますね。

楠田:
それはマネージャーが部下に対して、コーチングすることですね。答えは部下が持っているので、それをどう引き出すかだと思います。でも、教えなければならないこともありますから、ティーチングも必要です。そして、フィードバックする環境をどう作るかということだと思いますね。

楠田:
橋場さんと菱沼さんから、福田さんにもう少し聞きたいことがあれば、お願いします。

橋場:
先ほどの楠田さんからの質問に関連してですが、1on1を組織の中に根付かせたり、浸透させたりするために、何か工夫されていることはあるでしょうか。

福田:
先ほどもお話しましたが、場を持った日とか話をした時間の記録を書式に書くことで、それが証として残るようにしています。できるだけデジタルに評価していこうとしているのですが、今のところ紙ベースでやっていて、きちんと気持ちを入れてコミットメントを交わした時には、サインをするという儀式も入れて、そこに魂が入るというか、決心が入ったり、シェイクハンドが入ったりするような形には仕立てています。ただ、その管理に苦労しているため、どこかでデジタルに変化させていく必要は感じています。

橋場:
何でもそうだと思うのですが、いかにマンネリ化させないかは大事だと思いますね。

福田:
そういう点で言うと、先ほどもお話しした通り、コミットメントを達成するためにどういう学びが必要かとか、実際にどういうスキルや腕を上げていくかという点にできるだけ言及してコミットメントを交わせるようにレベルを上げていきたいなと思っています。これが目下のところの課題ですね。

橋場:
ありがとうございます。

楠田:
菱沼さん、最後にいかがですか。

菱沼:
頻度と質の話があると思っているのですが、質は非常にブラックボックスになりやすいと思います。そこをどう把握して、どう必要なトレーニングや打ち手を打っているのかについて、もし取り組まれていることがあれば教えてください。

福田:
ノーレイティングにした結果、人事評価を集計したり、それを面接に使ったり、昇給・昇格試験をしたりする工数から人事が解放されるようになり、コミットメントシートにできるだけ目を通すというのが、人事の仕事になりました。目標設定や目標の立て方について、人事が問題意識を持って見て、そこから出た課題や改善点を、新しい年度にコミットメントを設定する時のガイドラインに反映するようにしています。こういう立て方は今回は変えてみましょうとか、こういう目標の立て方はNGですよということがあれば、ガイドラインに組み込んでいますね。

楠田:
ちょうど時間になりましたので、今週はこれで終わりたいと思います。次回は1on1の事例紹介として、ヤフーさんの事例をうかがいたいと思います。カルビーの福田さん、ヤフーの菱沼さん、ビジネスコーチの橋場さん、どうもありがとうございました。

福田・菱沼・橋場:
ありがとうございました。

 

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<第1回>  なぜ、今1on1なのか?
<第2回>  1on1の事例紹介 ~カルビー株式会社~
<第3回>  1on1の事例紹介 ~ヤフー株式会社~
<第4回>  1on1が組織にもたらすものは何か~コーチは何をしているのか

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