資料ダウンロード
  1. TOP>
  2. BCウェブマガジン>
  3. 2016年11月11日(金) 14:00~16:00 「新規事業創出における社内の壁の乗り越え方」 セミナー開催レポート

BCウェブマガジン

2016年11月11日(金) 14:00~16:00
「新規事業創出における社内の壁の乗り越え方」
セミナー開催レポート

IMG_1117

 今回のセミナーはソニー株式会社 新規事業創出部 統括部長 小田島伸至さんを講師にお迎えして、大企業が既存事業の枠にとらわれない全くの新規事業をスタートアップ的に始める場合に、やる気のある人材とアイデアをピックアップして、大企業なりの弊害を乗り越えながら取り組む方法とポイントについて、小田島さんが立ち上げた「Seed Acceleration Program(以下、SAP)」プログラムの経緯や現在、そしてこれからを通して、シェアしていただきました。

 

<第一部:ご講演> ※一部をご紹介しています。
イノベーションを起こす仕組みの作り方
ソニー株式会社 新規事業創出部 統括部長 小田島伸至氏

    SAPを立ち上げたのは2014年4月。当時、本社の戦略部門にいた私は、自分にできることを探して現場を回り、課題として見つけたのは「構造改革」と同時に「社内に新しいアイデアはあるのに、それが実現につながっていない」ということでした。アイデアが実現につながらない要因は「現場がミッション遂行にむけ縦割りで動いているため、事業部門間連携でやれといわれても、ハードルが高い」「新しいアイデアを思いついてもどこに持っていけばいいのかわからない」など、多数ありました。これらを解決するために社長直轄の仕組みをつくるところからSAPはスタートしました。

    SAP によって生まれた商品は、SAP でやらなければ世に出なかった商品です。E-paperによる柄が変わる時計「FES Watch」や、自分の希望通りにIoT ソリューションが作れる「MESH」、マルチリモコンの
「HUIS REMOTE CONTROLLER」、クラウドファンディングの支援が国内ではじめて1 億円を突破した「wena wrist」、スティック型のパーソナルアロマディフューザー「AROMASTIC」などです。

    また、ドローンによるセンシングとクラウドによるデータの処理・管理を組み合わせた産業用ソリューション開発・製造・販売を行う「エアロセンス株式会社」、セキュリティの電子化を行う「Qrio 株式会社」もSAP の活動の中で立ち上がりました。また独自にクラウドファンディングとE コマースをコンビネーションしたサイト「First Flight™」も立ち上げています。

    これまで日本で活動を展開してきたSAP ですが、今年、2 つの新たな挑戦をしました。ひとつは、4 月にヨーロッパにも同じ仕組みを移植して実施し始めていること、そしてもうひとつは、社外のスタートアップ向けのオーディションを開催し、オーディションを通過したスタートアップには特典の一環で弊社の支援チームによる事業支援が行われています。

    ソニーはグローバルにイノベーションを起こしたい人が集まっています。だからこそ、エキサイティングでありたい人を止めるのではなく、出る杭を叩くのではなく、出る杭にはどんどん出てもらいたいと思っています。

 

<第二部:小田島氏へのインタビュー> ※一部をご紹介しています。
【インタビュアー】
 元 インテル株式会社取締役 兼 副社長執行役員(現 同社顧問)宗像 義恵氏

 宗像 :
社内で新規事業をする際、どういう建付けにしたらスムーズにできると思いますか?

小田島:
やらされ仕事だと、途中で言い訳が生まれて進まなくなってしまうので、自分から「やりたい」とコミットした人が担当するのが大前提です。ただ、その事業のビジョンを何もない状態で共有することはとても難しいので、最初は言い出した人に始めてもらうのがいいと思います。ビジョンが形になってきたところで、そのビジョンに納得し共感できる人を増やしていく、というのがスムーズにいく確率が高まる方法です。

宗像 :
このくらいの投資、あるいはこのくらいの規模の事業ならチャレンジしてよし、とするガイドラインはありますか?

小田島:
スタートアップ時はどんな事業もさほど大きくない規模で始めます。ニーズが多様化しているので、一発ヒットというような商品は生まれにくくなっているように思います。みんなが持っているものを持っていない人が欲しがるかというと、必ずしもそうではなくなっています。そういう意味でも小規模生産が道理にかなっていると言えますね。

宗像 :
ソニーと同じように仕組みや建て付けを作っても、それを実際に動かしてアウトプットを出すのは難しいと思います。軸となる哲学や魂はありますか?

小田島:
ソニーを選んで入ってくる人は、ソニーに対して持っているイメージがあります。例えば、「新しいことをやりたい」とかいったことですね。でも、判断の基準は人それぞれであり、しかも個々の中にもぶれがあります。そういう哲学のようなものは大事ですが、哲学もぶれやすく、虫の居所が影響することだってあります。それは会社全体で見ても同じで、だからこそ仕組みというのをひとつ持つことがとても大事だと思います。とは言っても、最後には哲学が必要であり、センスが必要だと思います。

 

<参加者からのQ&A> ※一部をご紹介しています。

Q:
新規事業に取り組んでいると、事業計画や、赤字の解消時期、収益等を必ず聞かれ、計画通りに進捗していなければ潰されてしまうことがよくあります。もう少し頑張ればと思っても、なかなかブレイクスルーできずに止まってしまうことが多いのですが、ソニーでは、数字は意識せずにやりたいと言う人の意思を尊重してずっとやらせているのでしょうか?

A:
まず、事業計画は会社のためではなく、自分のために作るというふうにしています。うまく行っている人の事業計画は自分のために書いたもので、資金もどれだけ請求してもいいが必ず返してねという話をしています。そうするとことで、多額の資金を請求してくる人はほとんどおらず、まずはこれくらいで試させてくださいという話になります。オーディションの場合は、3 ヶ月間、組織と申請してきた金額を提供します。もちろん、
会社の看板に傷をつけないことが大前提ですが、その間は自由にやっていいと伝えます。3 ヶ月経つと資金がなくなるので、その段階でどうするか自分で決めてもらいます。やってみてちょっと違った場合は元の組織に戻り、もう少し続けたい場合はさらに期間と金額を申請してもらいます。こちらもお金を出すので返せるかどうかという点については、厳しくみています。

 


Q:
オーディションの価値基準はどこにありますか?

A:
大きいところは人物ですね。特にベンチャー的な素質を見ていて、修羅場を超えられるかどうか、素直かどうかなどいくつかの要素を基準にしています。また、プロジェクトマネジメントができるかどうか、できた上で、ビジネスモデルを立てて、人にちゃんと説明できるかどうかも見ています。それから、ベンチャーなので、ユニークかどうかも基準のひとつですね。

 

Q:
よく社内で役員から「我が社らしさがないからそのアイデアは認めない」と言われるのですが、価値基準の中に「ソニーらしさ」はどこまで組み込まれているのでしょうか?

A:
「ソニーらしさ」は価値基準にはあえて入れていません。「日本人らしさとは何ですか?」と聞かれて答えに窮するのと同じように、「ソニーらしさ」は人によって違うからです。特にソニーはコングロマリット化していますし、お客様を中心に考えるためにも、あえて「ソニーらしさ」を一番目に持ってこないようにしていますね。

 

Q:
やりたいという気持ちを持っている社員はたくさんいても、新しいことをやってみて失敗した後、自分の部署に戻った時に今後の会社人生や人事評価に対する不安を持つ社員も多くて、それならあえて危険を冒さないという人もいると思います。ソニーはスタートアップして、チャレンジしたことを評価してもらえる仕組みなのでしょうか?

A:
まず、危険を冒さない人、冒せない人はやらない人がいいと思います。少しでもやらされ仕事になるなら、やらないほうがいいですね。そうは言っても会社の空気は大事です。野球に例えるなら、ダルビッシュ選手のようにプロ野球に行く人もいれば、高校までやって普通に社会人になる人もいるし、選手を支えるトレーナーみたいな人もいます。それをみて盛り上がっているだけの人もいます。でも、全体感として、野球を盛り上げて
いるんです。新規事業のプログラムもそういう感じにしていければいいと思っています。ただ、そういう全体感を作るということに上も下も一緒に取り組んでいかないと上手くいかないですね。

 

Q:
アイデアを募っていた時期があったのですが、だんだん出てこなくなり、今は枯渇している状況にあります。ソニーでは、アイデアがずっと平均して出続けているのでしょうか?

A:
アイデアは変わらず出続けていますが、回を重ねるごとにスクリーニングを厳しくするようにしています。最初は何でもいいと言っていましたが、ひとりで応募してくるアイデアはあまり磨かれていないことが多いので、今は複数人を推奨するなど、少しずつ合理化要素を加えていっています。

 

<参加者の声>

◆ 同じように新規事業創出に苦労している人に勧めたいセミナーでした。

◆ 非常に明快で面白かったです。新規事業創出について考える助けになりました。

◆ 新規事業の仕組み作りを会社単位で行うことは、ハードルが高いようにかんじていましたが、実際に実行されている方の話には説得力があり、モチベーションがあがりました。

◆「仕組み作り」について聞けるセミナーはなかなかない。「仕組み」が形式を替えるだけではないことを、他の社員にも知って欲しいと思いました。

◆ 講師の小田島さんは、現在進行形のプログラムにも携わっているので、ただの成功体験談ではなく、タイムリーな話を聞けた点が良かったです。

◆ 同じチームのメンバーにぜひ聞いてもらい、勇気づけたいと思いました。


<参考図書>

ソニー復興の劇薬-SAP プロジェクトの苦闘
https://www.amazon.co.jp/dp/4048923099

以上

BCメルマガ登録を!

最新のイベント情報やホームページでは紹介していない
コーチング・ノウハウなど、役立つ情報をお届けします。