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セミナー報告

【第3回HRエグゼクティブサロン開催レポート】
ファイザー株式会社 × 日本マクドナルド株式会社

2021.1.27 開催

テーマ

変質する時代に企業成長を促す「リーダーシップ」とは
~ ファイザーと日本マクドナルドの人事責任者が語る 〜
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開催内容
ファイザーとマクドナルドから学ぶ、
オンライン下でメンバーのエンゲージメントを高めるリーダーシップとは

<登壇者>
ファイザー株式会社
取締役執行役員 人事・総務部門長 相原 修 氏 

大学卒業後、東レ入社。人事部、勤労部、アメリカ駐在等各部署を歴任。GEエジソン生命、DHLジャパン執行役員人事本部長、ベーリンガーインゲルハイムジャパン取締役人事本部長を経て、20189月より現職。リーダーシップ開発、エンゲージメントの向上、企業風土の変革、M&Aとインテグレーション、働き方改革など多くの変革イニシアティブに取り組んできた。


日本マクドナルド株式会社
人事本部 上席執行役員 チーフ・ピープル・オフィサー 落合 亨 氏 

大学卒業後、ヤクルト本社入社、営業・マーケティングを経て、1983年に人事部へ。1990年に日本ペプシコーラ社に人事企画本部次長として入社。1992年日本ペプシコーラボトリング社に出向、人事制度全般の改革をリード。1995年から日本ペプシコーラ社人事総務本部長。1998年にはディズニーストア入社。2002年からウォルト・ディズニー・ジャパンの人事総務担当責任者/バイス・プレジデント。20186月より、日本マクドナルド上席執行役員 チーフ・ピープル・オフィサー。関西学院大学で経営戦略研究科・客員教授も兼任。

パンデミックによって世界が混乱し、未来を予測することが困難になっています。そんな状況のなか、企業を成長に導くためにビジネスリーダーは何をすべきなのでしょうか。HRエグゼクティブ サロン 第3回は、「リーダーシップ」をテーマとし、ファイザー株式会社と日本マクドナルド株式会社より人事のリーダーを2名お招きしました。経営幹部やマネジメント層の在り方、リモート環境でも心を動かすリーダーシップ、若い世代への期待などについての意見が交わされました。


人事は社長のビジネスパートナーとなり、決断をサポートする

最初のテーマは、経営幹部に求められるリーダーシップについて。

相原氏は「先が見えにくい時代ですが、ビジネスも人事戦略もとにかく“決める”ことが肝心。まずはどうするかを決めないと前に進むことはできません。決めて、動いて、間違ったら正すという決断のサイクルを早くしていくのです。また、間違った方向を正すためにはさまざまな方向にアンテナを張って現状を理解し、変化に適応していきましょう。朝令暮改を奨励し、間違ったら謝って次に進む……というくらいでなければ、不確実な時代には対応できません」と、「決断力」と「状況を把握し柔軟に素早く対応する重要さ」を述べました。

落合氏は、コロナ禍によってそれまで当たり前だとされていたことが、常識ではなくなったとし、「以前は普通に行っていた朝礼や押印、会議の在り方、社内決裁、出張・接待などの方法が大きく変わりました。経営幹部なら、経営会議に参加することが重要視され、何か発言をせずとも目立つことはありませんでした。ところが、オンライン会議になると、何も意見を出さずに付加価値を提供できない人は、存在意義がないということが明らかになりました」と指摘しました。たとえば、年功序列で役員になったものの、会社に貢献しているとはいえないような幹部の存在意義が浮き彫りとなっているのです。

また、人事部門の幹部としての役割について相原氏は「人事は社長の相談相手にならなければならないと思っています。私は社長のビジネスパートナーになるよう努めています。ほかの役員には、それぞれ担当の人事のビジネスパートナーがいます」と説明。落合氏も同様に、人事は社長のビジネスパートナーであるべきとし「人事や組織を機能させるには、さまざまな要素を検討しなければならず、社長一人では決められない局面もあります。社内外の情報を持っている人事がパートナーシップを発揮して助言する必要があります」と話しました。


コーチングやフィードバックのスキルは必須。
 マネジメント層は、聞く姿勢を備え、メンバーのよいアウトプットを引き出すべき
 

続いてのテーマは、テレワーク環境におけるマネジメント層とメンバーとのコミュニケーションに対する懸念。コミュニケーションの多くがオフラインからオンラインへと置き換わっている中、どうすればメンバーの心を動かすことができるのでしょうか。

ファイザーでは、コロナ禍以前からもテレワークやオンラインでの勤務を実施していました。当初は拠点の異なるオフィスでのオンライン会議で、対面のメンバーも含むものでしたが、最近では、全メンバーがオンライン参加という状況が主となっています。

相原氏は「オンラインのコミュニケーションも工夫次第で対面と同等に近づけることができます。私の部署では、メンバーと話すときも基本はオンライン会議を用い、できる限りビデオをオンにして話すようにしています。音や文字だけだと受け手の意思がわからないからです。表情を見て、賛同しているか、不満なのかをわかるようにするのです。また、多人数でオンライン会議をするときは、複数人が同時に話すと内容が伝わりにくいので、ファシリテーターの力が問われますね。話者が一人に偏らないよう、表情を見ながらみんなの意見を引き出すような工夫が必要です」と説明しました。

リーダーとメンバーの1on1ミーティングをオンラインで行う際、一方的にリーダーが話してしまうという問題も起きています。この問題について相原氏は「そのようなリーダーは対面のときも、おそらくずっと喋るタイプなのではないでしょうか。ミーティングの間、リーダー自身が2割ほどしか話していないと思っていても、実際は5割くらい話しているものです。リーダーは聞く姿勢を基本としてほしいので、人事としては、それをどう指導していくかがポイントになります。本当に自覚がない人には、ミーティングを録画させてもらって、それを見て気付いてもらうようにするのも一つの手かもしれませんね」とアドバイスしました。

日本マクドナルドでも以前からテレワークを推奨しており、年間20日間は自宅から仕事ができる制度を設けています。テレワークに適応したノートPCを支給されていたため、コロナ禍でもスムーズに移行できました。落合氏は「外資系企業には、ロール(役割)、アカウンタビリティ(責任範囲)、メジャーメント(評価)の仕組みがあり、これが成立するならテレワークでも支障はありません。弊社でのリーダーとメンバーのコミュニケーションも、この仕組みがあるので機能しました。テレワーク下での生産性に関する調査で、生産性が下がったと感じる企業が欧米企業では10%なのに対し、日本企業では40%という結果がありました。テレワークを廃止・縮小していく企業も多いといいます。このような状況を見ていると、日本の伝統的なメンバーシップ型雇用ではテレワークは難しいと感じます。リーダーはメンバーのよいアウトプットを引き出すため、コーチングやフィードバックの技術を持っていなければならないのです」と述べました。マネジメント層は、そのポストにつく前に、人をマネジメントする能力を身につけておく必要があるのです。


メンバー間、リーダー間のコミュニケーション促進のため、人事が環境を用意する 

テレワークによってメンバーとのコミュニケーションの機会が減っているなかで、さまざまな課題を抱えるリーダー。メンバーとの関係だけでなく、リーダー同士が、雑談の中から悩みを共有するような機会も少なくなっているといいます。この課題に対して、ファイザーでは、20205月以降、完全在宅勤務となった際に人事部主導の取り組み「エンジョイ・ニューノーマル」を始めました。相原氏は「マネージャーだけの座談会も実施し、参加者からよい評価を得られました。今も継続して行っています」と説明しました。

テレワーク環境では、オフィスにいるときのようにメンバーの様子を見たり、雑談をしたりしにくい状況になっています。落合氏は「現在は、ロール、アカウンタビリティ、メジャーメントの仕組みが機能していますが、長期的にはどうなるかわかりません。メンバーに現場の情報や進捗状況を詳しく聞きたいときは、以前ならメンバーとこまめに顔を合わせて話をして、情報を引き出すことができましたが、リモート環境ではそれが難しくなっていて、情報の枯渇感があります。リーダー自身が現場の状況を的確に捉えられないことによって、経営側に対して付加価値を提供できなくなるのではないかという不安も生じるでしょう」と課題を述べました。

在宅勤務によって生じる孤独感やストレスも課題のひとつです。対策として相原氏は「メンバー間SNSを用意したり、オンライン飲み会などを実施したりしていますが、発言者が一部の人に偏ってしまうことは少なくありません。そこで、 “タウンホールミーティング”のようなミーティングを行う際にも、みんなが発言できる場所として45人のグループで情報共有する機会を設けるようにしています。オンラインですが、カフェに行って雑談するような機会です」と説明しました。

テレワーク環境下で、マネジメント層がメンバーの課題や成長シナリオを話し合う、「タレントレビューの実施が可能か」という疑問も生じます。これに対し落合氏は「当社の場合はシステムを活用してディスカッションを行います。タレントを確認し、リーダーは責任を持って育成プランを設計する仕組みを作っています」と述べました。相原氏は「たとえシステムがなくても、たとえばテンプレート化した資料を準備しておけばオンラインでも対応できます。オンラインでの実施に疑いを持つと、今の時代についていくのは難しいでしょう」と説明を加えました。

メンバーを成長させるための取り組みやモチベーションを高める場の提供もリーダーの役割のひとつです。落合氏は「メンバーに対してアドバイスをする際、たとえばオフィスでは、『あの件はどうなった?』『ここはこうした方がいいね』といった対面ならではのヒューマンタッチなコミュニケーションが自然に生まれます。一方、オンラインではそうした機会を演出する工夫が必要だと感じています。数年経てばよい手法が出てくると思いますが、現在はオンラインでヒューマンタッチなコミュニケーションをすることが難しいと感じています」と課題を述べました。

モチベーションの高め方について相原氏は「自分がやりたいことをやって、それを他者から認められたときにやる気は高まるものです。メンバーには『失敗をしてもいいから』とチャレンジさせてみて、それにフィードバックしていくというサイクルができると、自然に成長していきます」と説明。戦略とともに、心理的安心を与えるリーダーのもとでトライ&エラーを繰り返すことが、メンバーのモチベーションを高めるために有効なのです。

メンバーが心理的安心を感じてモチベーションを維持するには、リーダーが寛容さを持つことも欠かせないと、両氏は語ります。たとえば、ビデオ会議中にメンバーが家族やペットの世話をしながら参加していたとしても、各家庭の事情を加味して受け止めるおおらかな姿勢が必要だといいます。


新しい時代を切り開く若い世代に期待。リーダーは本気で学ぶことで成長していける 

コロナ禍の2020年度に入社した新入社員は、これまでのメンバーと異なる経験をしています。2021年度に入社する人たちも同様です。非常事態に入社したメンバーは、無事にキャリアを重ね、成長できるのでしょうか。

この質問に対して落合氏は「私は大学で授業もしています。2020年入学の大学1年生は友達づくりやサークル活動が制限されてつらい状況です。新入社員も同期入社の連帯感が希薄になっているのではと心配しています。ただ、若い人はデジタルネイティブですから、新しい発想での活躍ができると期待しています。彼らは社会が危機にひんしているなかでチャレンジしていかなければならない世代です。試練を乗り越えて、強く育っていくのではないでしょうか」と期待を寄せました。

相原氏は、このテーマは新入社員に特化したものでなく、ダイバーシティ&インクルージョンの話であると投げかけ、「世代や立場、出身などの固定観念を捨てて、いろいろな背景を持った人が活躍できるようにすればよいのです。現在の若い世代は、社会貢献意識が高い人が多いので、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを今よりももっとうまくやってくれると思いますので楽しみにしています」と話しました。

そして最後のテーマは、自身の信念に正直になってリーダーシップを発揮することを意味する「オーセンティック・リーダーシップ」。混乱する時代の素晴らしいリーダーというのはどのようなものなのか、両氏は次のように語り、対談を終えました。

相原氏「最近、オーセンティック・リーダーシップをよく見聞きするのは、『この人だったら信じられる』『一緒に仕事したい』といったポイントが問われているからではないか、と思っています。リーダーが本気かどうかをメンバーは見ていますから。私は、リーダーシップは後天的に身につけられると思っています。成長の可能性は無限大ですが、けっして企業の環境や育成方法だけに期待するのではなく、本人が本気で『なりたい』という姿勢が重要です」

落合氏「オーセンティック・リーダーシップというのは、『リーダーの本質を尊重しましょう』という考え方で、『リーダーはこうあるべし』というのがない、楽な考え方だと捉えています。私は経験上、人間の本質はあまり変えられないと思っています。しかし、人は学習すると物事を処理する“型”を覚えて、自身の本質にはないことを補うことができます。リーダーにまで上り詰める人は、それまでに積んできたいろいろな経験を活かし、身につけた“型”を持って対処できます。もしこれまで経験したことのないリーダーシップが必要な場合は、学んで身につけていくこともできるでしょう」

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