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セミナー報告

【第3回 1on1研究会開催レポート】
株式会社三井住友銀行

2021.3.15 開催

テーマ

SMBCにおける、エンゲージメント向上と1on1ミーティングに関する取り組み
~今、SMBCで何が起きているか~
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開催内容
1on1導入で自律的成長を促す、SMBCのエンゲージメント向上の取り組み

<登壇者>
株式会社三井住友銀行
人事部 ダイバーシティ推進室 室長
髙阪 亜弓 氏
1999年に新卒で住友銀行(現三井住友銀行)に入行。支店でリテール営業に携わったのち、2002年より企業調査部にて自動車・機械・造船業界のアナリスト業務に従事。2006年からは人事部にて人材育成・キャリア開発施策の企画・推進に携わる。2011年からは法人営業を担当し、2017年4月より現職。ダイバーシティ&インクルージョンならびに働き方改革に取り組むほか、エンゲージメント向上タスクフォースのヘッドを務める。(※所属・肩書は、2021年3月講演時点)

テクノロジーの進化や個人の価値観の多様化によって、多くの業界が変化の波にさらされています。三井住友銀行を中核とするSMBCグループも例外ではありません。従業員一人ひとりが創造性や革新性を発揮し、高いパフォーマンスを出せるよう、同社ではさまざまなエンゲージメント向上施策を推進しています。その主要施策として導入されたのが1on1ミーティングでした。ビジネスコーチが主催する「第3回1on1研究会」では、同社 人事部 ダイバーシティ推進室 室長の髙阪 亜弓 氏をお招きし、SMBCでのエンゲージメント向上と、1on1に関する具体的な取り組みの講演を行いました。


「エンゲージメント向上」はSMBCの最重要経営課題  

三井住友銀行(SMBC)を中核に、証券やアセットマネジメント、シンクタンクなど多岐にわたる事業で構成されるSMBCグループ。グループ全体に共通する課題として進められているのがエンゲージメント向上施策です。髙阪氏はその背景に「金融機関を取り巻く環境の変化がある」と話します。

「テクノロジーの進化によって仮想通貨やデジタル通貨などが登場し、金融ビジネスは大きな変化の波にさらされています。また、終身雇用をはじめとした日本型雇用慣習が瓦解し、転職マーケットが活況を呈するなかで、人材流動化への対策も喫緊の課題となっていました。

SMBC含めメガバンクの退職率は、日本企業の平均的な自己都合による退職率に比べて低い水準にあるものの、転職者は徐々に増えてきています。人材が流動化すること自体は悪いことではないと考えていますが、『この人にはSMBCの将来を引っ張っていってほしい』と思う人材も流出しており、強い危機感を覚えていました」(髙阪氏、以下同)

ときには構造不況業種ではないかという見方をされ、店舗削減や人員削減などをネガティブなトーンで報道されることも多い銀行。髙阪氏は「金融機関が大きな構造変化を求められているのは事実」としたうえで、「だからこそ従業員には、上司や先輩たちがやってきたことを粛々と引き継いで実行するだけではなく、自らの創造性や革新性を発揮し、ゼロからイチを生み出す仕事が求められている」と指摘します。

一人ひとりが創造性や革新性を発揮し、高いパフォーマンスを出せるようにするためには――? SMBCが目指すエンゲージメント向上は、最重要経営課題のひとつだったのです。


組織風土改革を進める前に行った「3つの前提」のすり合わせ 

SMBCがエンゲージメント向上のための組織風土改革に着手したのは2019年でした。改革を進めるにあたって、人事部門は経営陣と危機感を共有し、「3つの前提」をすり合わせたといいます。

「1点目は、企業と従業員の関係性の変化を認識すること。企業が個人を選んで囲い込む時代は終わり、今は個人が企業を選んで渡り歩くようになりました。人材の流動化は『若者の気質』という単純なものではなく、社会構造の変化による不可逆的なもの。それに合わせて組織をアップデートしなければなりません。

2点目は、最も大切な経営資源は人財(※)であるということ。従業員は重要なステークホルダーであるという位置付けで接していくことを、経営も人事も改めて認識しました。
(※)SMBCでは、「人」が最も重要な経営資源であると考え、人「財」としている

そして3点目に、SMBCの強みやDNAを継承しながら時代の変化に対応していくということです。ダイバーシティや働き方改革など、企業はあらゆる面で変革を求められています。固定観念にとらわれず変化することは大切ですが、従業員の要望すべてに応えようとしたり、世の中の風潮に流されてしまったりするようでは、SMBCの強みが失われてしまうかもしれません。『変えなければいけないこと』と『変えてはいけないこと』を議論しながら進めていく必要がありました」

こうした前提を踏まえ、SMBCは従業員の声やさまざまな調査結果をもとに、取るべきアクションを分析し、見定めていきました。改めてエンゲージメント向上へ本気で取り組んでいくために「足りていないものがふたつあった」と髙阪氏は振り返ります。

そのひとつがエンゲージメントサーベイ。まずはエンゲージメントの状態を可視化する必要がありました。

「従来は従業員満足度調査を年1回行い、人事が結果を分析して経営陣や一部のマネジメントメンバーに限定して共有していました。そのため、現場の行動改善にはなかなか繋がらない面もありました。

そこで2019年11月に一部試験運用の形でエンゲージメントサーベイを導入し、2020年度からは全行へ展開しています。月1回パルスサーベイを実施し、結果を全体へ共有することによって、職場のチーム単位で課題を自律的に認識し、行動を改善してもらうようにしています」


1on1の目的・本質を理解した上で、独自の在り方にアレンジ 

もうひとつ、エンゲージメント向上に欠かせないものとして導入されたのが「1on1ミーティング」でした。エンゲージメントサーベイと同様、2019年度に一部で試験運用し、2020年度からは全従業員を対象として実施されています。SMBCとして初の試みだったこともあり、まずは一般的に言われている1on1の基本形を忠実に実施することを目指しました。

「最低でも月に1回、30分程度、会議室のような落ち着いた場所で、部下が抱える課題や悩みに耳を傾ける、部下の話をよく聞くなどの基本形を管理職へ共有しました」

1on1の導入時には、部下と向き合う管理職から「何を話していいか分からない」という悩みが寄せられることも珍しくありません。SMBCではその対応策として「1on1ガイドブック」を作成。1on1の場でよく取り上げられるトピックを事例として共有しました。

その一方で髙阪氏は、「話題やトピックを厳密に規定しすぎるのはよくない」とも指摘します。

「1on1の実施にあたっては『こんなことを上司と話したい』『普段はなかなか伝えられないことを聞いてほしい』など、従業員一人ひとり、期待していることがさまざまあると思います。そうした思いを阻害してしまっては元も子もありません。ガイドラインは、あくまでも大枠の目安として提案するに留めました」

1on1を開始してからは、上司・部下の双方から肯定的な反応が寄せられているといいます。

「管理職層からは『期待以上の効果があった』『相互理解が進み、部下との関係が良くなった』『これまでは話せなかった話題にも踏み込めた』という声が多いです。部下サイドからはそれ以上に1on1への好意的な声が寄せられています」

2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響でSMBCでもテレワークが拡大しました。上司と部下が顔を合わせる場は激減し、何気ない雑談の機会も失われつつある中で、1on1によってゆっくり話せる時間を確保することは大きな意味を持ちます。

1on1が一定レベルで定着してきたSMBC。今後は「独自の進化に向けてアレンジしていきたい」と髙阪氏は話します。

「本質を理解していれば、やり方は柔軟でいいと思っています。たとえば法人営業部門の上司と部下は同じ車で遠方へ出かけることもあります。そんなときには車中で1on1を行うのも有効ではないでしょうか。

部下に寄り添うという意味では、1on1の中の一部を業務上の相談を受ける時間として活用してもいいと考えています。月1回の1on1を活用してタイムリーに評価フィードバックを行うこともできるでしょう。部下が1on1を成長機会だと捉え、能動的に取り組んでくれる仕掛けを考えていきたいと思います」


約3200人の「エンゲージメント・アンバサダー」が活躍 

SMBCが今後の課題として見据えているのは、1on1をはじめとしたエンゲージメント向上施策のPDCAを「いかに現場発で回していけるか」。そのために進めている重点取り組みとして、髙阪氏は「エンゲージメント・アンバサダー」を紹介しました。

「全拠点に複数名、エンゲージメント向上施策の旗振り役を担う『エンゲージメント・アンバサダー』を任命しています。少なくとも管理職レイヤーから1人は入ってもらうようにして、あとは現場に選出を任せました。SMBC全体では約3200人が任命されています。特徴として、管理職だけでなく、非管理職のアンバサダーが積極的に活動できている拠点の方が、自律的な組織改善活動が進んでいます。」

エンゲージメント・アンバサダーは、まず就任時の勉強会に参加して、期待されている役割についての理解を深めます。SMBCが活用しているグループウェア「Microsoft Teams」ではアンバサダーだけが入れるコミュニティを作り、人事からサポートツールや新しい研修の案内を共有しています。

「コミュニティでは、人事がキャッチした好事例なども随時共有しています。他拠点の先進的な取り組みを知り、エンゲージメント向上に必要なポイントをインプットすることで、自拠点のチェンジドライバーになってほしいと期待しています」

研究会の結びに、髙阪氏は「私たちのDNAを継承していくためにも1on1は有効な施策だと感じている」と語り、講演を終えました。

「SMBCグループは、情熱あふれる多様な個人が挑戦し続ける集団です。どんなに時代が変わってもこの個性は失いたくありません。今後もグループ一体となって、切磋琢磨しながら1on1文化を定着させ、さらにエンゲージメントを高めていきたいと考えています」

 

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