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第15回:女性管理職を増やすためにやるべきたったひとつのこと

川邊 彌生 川邊 彌生

<同じ船に乗った女性>

 弊社には、今年に入ってから、女性管理職の活性化に関するご相談が多く寄せられています。

 内閣府と東証は、企業で働く女性の活躍ぶりを示す情報の公開を強化する動きのようです。
 女性を登用する企業ほど株式市場で評価される仕組みを整え、女性の活躍を浸透させる狙いのようですから、私どもに寄せられるご相談の増加もそうした流れによるものでしょう。

 お話を伺ってみると、女性管理職育成の課題と、すでに登用した女性管理職のリーダーシップ開発の課題の2つがあるようです。

 男女雇用機会均等法が施行されたのは、1986年。
 試行錯誤を繰り返し、働く女性のための制度も随分整いました。
 多くの女性が男性と同じ船に乗るようになり、その中から管理職が生まれて当然の時代となりました。

 しかし、なぜ、女性の管理職は増えないのでしょうか。

 実際のボート競技を例えとして、ちょっと考えてみましょう。

 競技では、一度、船に乗れば男性も女性も関係ありません。
 同じ戦力として数えられます。
 皆が同じ目的地へ向かってオールを漕ぐ、当然のことです。

 オールの持ち方、漕ぎ方、掛け声まで、そのチームで長年、浸透しているルールに従って動きます。
 目的地に向かって、進行方向と速度が決定され、各自の目標は数値で示され、達成も数値で測ります。

 女性も一緒に漕ぐことに何ら問題はありませんが、最近、加わるようになったので男性が決めたルールに従うことになります。
 
 また、女性は、風が湿っているとか、オ―ルが滑りやすいとか、前で漕ぐ人の肩が少し下がり気味だとかいうような、細かなことを感じながら漕いでいます。

 一日の競技を終えた反省会で、女性は自分の感じたことを伝えたいと考えます。
 
 しかし、反省会が始まると「今日は10キロ進んだから、明日は12キロを目指そう」
 「オールの角度を変えよう」などという意見が中心となります。
 そして、最後には「今日も頑張った!」と、皆で励ましあい、明日の目標達成への士気を高めることを男性は優先します。

 そこで、女性が、「なんとなく風が湿っているようです」とか「○○さんの肩が下がっているのは疲れているからのではないでしょうか」などと発言をすると「根拠を示して下さい」「いや、僕は問題ないと思うけど」と一言で片づけられてしまいます。

 女性は、自分の感じたことが気になりながらも意見を通せないまま、一日が終わります。
       そして、次回から黙っていようと心に決めます。 

 さらに、意見が共有されなかった女性は、競技後に他の女性とあれこれと自分の感じたことを女性同士で話して鬱憤を晴らします。

 もちろん、一概に男性だから、女性だから、というだけで違いを決めつけることは危険です。
 個人差があり、数値にこだわる女性も細やかなことが気になる男性もいます。 

 しかし、一般的に女性は、自分が感じたことを重要視する傾向があるようです。

 <女性管理職が犯す過ち>

 こうしたことの積み重ねにより、女性が犯す過ちがあります。

 コーチングの神様、マーシャル・ゴールドスミス氏は著書である『コーチングの神様が教える「前向き思考」の見つけ方』の中で、人はしばしば6つの過ちを犯すと述べていますが、女性は、このような状況になると自分はビジネスのルールを理解していない未熟者だ、と考え、自分の能力のせいにしてしまう過ちを犯しがちです。

 数値で示せ、根拠を示せ、と言われ、本来、女性に備わっている直観力や感受性をビジネスには向かない子供っぽいものと否定されることで、自信を失くしてしまう場合です。

 また、逆に、男性のルールに従って適応するあまり、女性の持つ受容する力や共感力をあえて置き去りにしてしまう場合もあります。 
 いずれのケースでも女性の持つ能力を活かすことはできません。

 結果として、前者は、管理職になる自信を失くし、昇進することに否定的になり、後者はせっかくの女性管理職としての感性を活かさなくなるのです。
 <女性管理職登用の目的は何か>
 
 さて、あなたの会社は、何を目的として女性管理職を登用するのでしょうか。

 女性管理職を増やすことで何がもたらされることを期待しているのでしょうか。

 企業イメージや女性登用の数値目標のため、だけではないと思います。

 もし女性の視点でのマネジメントや女性の顧客へのアプローチが目的であるなら、女性をメンバーに入れることで達成されるのでしょうか。

 女性の声が活かされる、女性の視点で物を考える組織でなければ、男性が女性になっただけで意味がないかも知れません。
 人事の制度ばかりを整えても進歩はありません。

 女性が女性であることに自信を持って参画できる組織であることが重要となるように思います。 

 そのためには、会議運営の形態や組織内のコミュニケーションプロセスやツールを含めて、ビジネスのルールを変える必要もあるのかも知れません。 
 このビジネスのルールに変化を起こすためには、マジョリティである男性側に多くの努力と理解が求められます。

 男性と異なる感性を持った女性の活躍は、組織のイノベーションを加速させるために欠かせません。

 女性管理職を増やすために、まず、女性管理職登用によってもたらされる真の目的を、明確に社内で共有してはいかがでしょうか。

 

執筆者プロフィール
川邊 彌生(かわべ やよい)

亜細亜商務教練有限公司 総経理
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ
明治大学文学部卒業後、セイコーインスツル株式会社に入社。
その後キャセイパシフィック航空にCAとして入社し、11年間、香港で勤務。
帰国後、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルにおいてトレーニングマネージャー就任。
その後、エルメスジャポン株式会社の人事教育マネージャー、シャネル株式会社においてトレーニング部部長として勤務。
2007年イタリアのファッションブランドにおいて人事部長就任。
2012年同社を退職し、6月より現職。

■実績
キャセイパシフィック航空在籍時に、CAとしての勤務のみならずトレーニングスクールに所属しサービス向上プログラムを指導する。
同社勤務中、英国のトレーニング資格を取得し、グローバルサービスの設計と実践に貢献した。
日本帰国後は、一貫して、富裕層を対象とする外資系ホテル・リテール業界において人事制度構築・人材開発に取り組む。
多国籍のメンバーが構成するプロジェクトにも参画しグローバルなプログラムの設計に取り組む。
また、経営陣として、企業理念とサービスを実行・定着させ企業価値を高める施策を数多く実践する。
マーシャル・ゴールドスミスにも2008年来日時、指導を受ける。

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