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第19回:マーシャル・ゴールドスミス博士2年ぶりの来日 ―出会い×ビジョン×イノベーション―

久野 正人 久野 正人

<あれから2年>
 たかが2年、されど2年。こんな表現がぴったりの2年間の様々な出来事。
 私がマーシャルの著書「コーチングの神様が教える『できる人』の法則(日本経済新聞出版社)」に出会ったのが2007年。
 それから4年後の2011年にマーシャルが来日した際、オープンセミナーとエグゼクティブコーチスクールに参加した。

 あれからちょうど2年になろうとしている。

 この間、超刺激的毎日を過ごし、そして人生のギアチェンジができた。
 これまでのとは違った人脈も広がった。
 最良の仕事のパートナー、仲間とも出会えた。
 
 コーチングのクライアントの行動変革を支援することで、クライアントの行動が変化し、成長し、その組織の成功につながったケースも多い。
 約100人近いクライアントへのコーチングを通して、私自身も多くの気づきを得て、会社員時代をはるかに上回る成長を感じている。

 2年前の私は、外資系企業の社長からマネージング・ディレクターのポジションに変わり、5年半の社長の重責から少し解放された状態にあった。
 そして、会社員生活を卒業・独立してセカンドライフを選択することを決め、まさにその具体的戦略と実行プランを施行錯誤していた。

 いわば、独立準備を始めた段階であったが、その時点では、エグゼクティブ・コーチを自分の職業とすることを、決めきれていなかった。
 人材開発コンサルタントという職業で独立をしようとしていた。
 エグゼクティブ・コーチも広義の人材開発コンサルタントと言えなくもないが、もっとクライアント個人に直結したビジネス上のメンターに近い存在だ。
 コンサルタントという肩書のまま独立していたならば、一体、現在はどんな状態だったのであろうかと思ってしまう。

 <出会い=“リーダーシップを見た“瞬間>出会いは偶然にやってくることがあるというが、私はそれを体験した。
 2011年のマーシャルセミナーがまさにそれだ。

 このセミナーは、本来、私が参加するはずではなかった。
 私の知り合いの方が参加するはずだったが、その方が急遽叶わなくなり、その枠を私が頂いた形で参加した。私にとっては棚から牡丹餅であった。
 憧れの「彼」に出会えることで、セミナーまでの2~3週間は毎日がワクワク状態だった。
有給休暇を予め取得して、セミナーの出席に向けて万全の準備をしていた記憶がある。

 マーシャルのエグゼクティブ・コーチングを本でしか知らないファンにとって、本人から直接教わることは、憧れの歌手のライブコンサートで、直に、音と映像をエンジョイできることと同じ感動を味わえる。

 セミナー初日は200名のオープンセミナー。
 テーマは、午前が「MOJO(前向き思考の見つけ方)」、午後が「ピーター・ドラッカーから学んだこと」、だった。

 セミナーコンテンツもさることながら、最も驚いたのがマーシャルのホスピタリティ振りだった。
 セミナー参加者が会場に三々五々着席するのを見計らって、彼の方から「Good Morning!」と握手を求める姿に感動した参加者は多かったはずだ。  日本では「偉い先生」は最後にお供の方が案内し登壇する。
 マーシャルの場合、一番に会場に入り、そして参加者に歩み寄る。

 まさに自ら本物のリーダーの行動を実践するシーンを目の当たりにした。
 この行動がマーシャルの示すリーダーシップそのものであったことは、その日のセミナー内容を聞いて十分理解できた。
 「実践知」を目の当たりにした私は、マーシャルのライブの舞台裏を覗いた感じで、その温かい人間性と「人としてどうあるべきか」に触れる瞬間でもあった。

 2日目は、直伝のエグゼクティブ・コーチングスクール。
 40名ほどの参加者が6つのテーブルに分かれてセッションを行った。
 アメリカ式のインタラクティブ(双方向)方式で、慣れない日本人は尻込みしやすい。
 とにかくマーシャルのテンポは速い。世界的なCEOのコーチだけあって、時間をかけるのではなく、最短で最高の成果を出す方式なのだろう。
 外資系企業で様々なセミナーを体験していた私にとっても 「新鮮な」スピード感であった。

 しかも、ランダムなASK(質問)で当てられて答えを求められるので、脳を最高速で回転させ続けなければならない。
 なのに、緊張感はすぐにほぐれ、いつの間にか参加者全員がマーシャル・ライブの虜になっていた。穏和なエンターテイナーなので、笑いが絶えないセッションをエンジョイできた。
              
      (2011年マーシャル直伝スクール修了書を抱えて記念撮影)

 極めつけはマーシャルから直々にセッション中にコーチングを受ける幸運に恵まれたことだ。
 事前に「マーシャルからコーチングを受けたいテーマ」が募集されていたので、私は長年の悩みを書いて提出してみたところ、スクールのセッションの中で、コーチングのテーマとして取り上げられたのだった。

 課題は、「20の悪癖チェックでフィードバックを部下からもらい行動変革に1年間努力してきたが、最近、フィードバックをもらった結果、彼らは私の変化の度合いをあまり認識していないことがわかった。
 努力してきただけにショックだ。何故、私の努力を彼らは認識しないのだろうか?」というものだった。
 マーシャルは20分間のコーチングで、ものの見事に私の課題に対する的確なソリューションを提供してくれた。
 それは全く私が実践していなかったこと。
 マーシャルはほんの1、2分の私とのやり取りから、的確に原因を推測し、ピンポイントのアドバイスを提供した。
 やはり「神様」だと思った瞬間でもあった。

<『リーダーシップ・マスター』はミッション・ビジョンが運んでくれた>
 独立してコーチになるときにミッション・ビジョンをしっかりと決めようと思った。
 ピーター・ドラッカーの5つの質問に「貴方のミッションは何か?」とある。
 私が初年度に設定したミッションは「日本人ビジネスパーソンを元気にする」であった。

 2年目にあたる今年の初めに「世界に勝てるリーダーを創る」に変えた。
 東日本大震災のこともあり、「元気になる」お手伝いをしたいと思って設定したミッションだったが、コーチングでエグゼクティブと、私が塾長を務める久野塾で30代のリーダーに関わる機会が多くなり、リーダーが元気になるだけでは日本は世界で勝てないと思うようになった。
 また、それを実証する例も見てきた。

 さて、ミッションの次はビジョン設定。
 これはコーチとしてスタートした当初から一貫しているが、「日本のマーシャル・ゴールドスミスになる」
 という大風呂敷を広げてしまった。
 シンプルでわかりやすいビジョンで、かつ夢ではないが妄想に近い(笑)。

 だが、日本国内であれば達成可能。
 こんな想いで決めたビジョンに近づく努力をしてきた結果、ビジョンに近づける出来事がやってきた。

       
      (「リーダーシップ・マスター」の出版社チラシ)

今回、マーシャル来日にあたり、彼の編著であるCoaching for Leadership第3版(2012年発刊)の日本語監を担当する話が舞い込んできた。
 
 出版元となる英治出版は久野塾スタート以来、ラボ(会議室)を塾で使わせていただいているご縁だ。
 社長の原田英治さんとは大学のゼミの先輩後輩というシンクロでもある。
 解説はビジネスコーチ社の細川社長にお願いし、快く引き受けていただいた。
 私のビジョンを神がサポートしてくれたとしか思えないくらい、マーシャル、ビジネスコーチ社、英治出版と私の4者が絶妙のタイミングでつながり、同書の日本語訳版の発刊に至った。

 よく「ビジョンを持ち続ければ実現する」というが、2年前のマーシャルセミナー・スクールに参加した当時からすれば、マーシャルの編著を自分が監訳するなど想像のつかないこと。

 昨年12月に監訳プロジェクトをスタートさせ、監訳のピークが3~5月。
 翻訳家、英治出版、ビジネスコーチ社のご協力を得て、7月9日に「リーダーシップ・マスター」として発売、マーシャル来日に間に合った。

 しかも、大変名誉なことに、野中郁次郎先生のご推薦をいただけた。
 やはり、ビジョンは大きく。そして、その実現に向けて最大限の努力をすべきだ。タイミングも大事。そして何より人の縁を大切に。
 
 <リーダーシップがビジネスのイノベーションを生む>
 今の日本はいたるところで「イノベーション待望」が強い。
 イノベーションを起こせる人材の育成というテーマで取り組んでいる企業も多々ある。

 個人的な意見であるが、イノベーションは、まずは個人とチームの「情熱・感動×サイエンス×タイミング」
 が最高潮になったときに生まれると思っている。
 
 情熱のない所にイノベーションのシーズはない。
 情熱はミッション・ビジョンが明確でないと湧き立たない。
 情熱があっても、秀逸の価値提案が出来なければ感動に繫がらない。
 また、プラットフォームが整って、それが機能し、シンクロしなければ、価値提案が前進しない。
 そこには、信頼というヒューマンスキルが触媒として欠かせない。
 そして最後はタイミング。遅すぎても早すぎても、新技術やビジネスもイノベーションと周囲から評価されない。

 風を読み切るセンスも問われる。
 iPhoneが10年前に登場しても、通信回線のキャパがボトルネックとなり、使いづらく広まってはいかなかったはずだ。

 いずれにせよ、「待望」ではなく「主体性」を持って「小さな実験・実践」を高速に回してみることだ。
 小さなイノベーションと失敗の連鎖が大きなイノベーションを生むだろう。

 今の時代、重要なのはチームとしてのイノベーション。
 個人のアイデアが如何に優れていても、複雑かつグローバルな環境下で、しかも超高速で結果を求められる世界では、もはや一人の天才では太刀打ちできない。
ノーベル賞受賞の山中伸弥教授のips細胞の発見も山中“チーム”の成果であった。

 「チームと共にイノベーションを起こす」。

 そのためには、まず個の思考と行動の変革からスタートさせよう。
 こだわった思考や自分勝手な行動をしていてはイノベーションの入口にすらたどり着けない。

 そして、チームのリーダーはメンバー個々の高い能力とモチベーションを最大限に引き出すことに注力しなければならない。
 サーバント型リーダーになる。
 他人の成功を支援することで自分も成功できるという「忘己利他」の考えだ。
 
 このためにも、リーダーは、個としての行動変革、イノベーションを追求し、リーダーシップを高める継続的努力を欠いてはならない。
 リーダーがリーダーシップを高め続けることで、イノベーションを起こせる。

 <エグゼクティブ・コーチングはイノベーションを加速させる>
 エグゼクティブ・コーチングの目的は何か。
 それは一目瞭然、「リーダーのリーダーシップを高め、組織の成果を出す支援をする」ことである。

 今の日本企業に最も求められていること=「イノベーションの加速」
 である。
 それに向けてクライアントを支援するコーチ自身も行動変革とイノベーションを起こしていかなければならない。
 しかも、クライアント以上のスピードとスケールで・・・。
 
 コーチ自身が行動変革とイノベーションを実証できてこそ、その形式知、暗黙知、実践知をクライアントに伝授可能となると思っている。

 全ての人にとって「今日の成功体験が明日の成功を約束しない」時代なのだ。

 こんな想いをもって、高いミッション・ビジョンを描きながら、今回、「マーシャル本の監訳」という小さなイノベーションを起こすことが  できた。そのきっかけをくれたマーシャルの来日が待ち遠しい。
 「Coaching For Leadership」で38人の賢者が世界に伝えたかったメッセージを日本語訳「リーダーシップ・マスター」を通じて多くの日本人リーダーに伝えることができる。
 
 私のミッションである「世界に勝てるリーダーを創る」小さな支援ができると思っている。そして、この機会を与えてくれたマーシャルへの恩返しにもなるかもしれない。
 
 =補足=
 2013年マーシャル来日時のオープンセミナー・スクール一覧
 (その他の時間帯は、数社での企業での幹部向けセミナー、メディア取材が予定されています)。

 ■7月11日(木)10:00~12:00
 書籍「リーダーシップ・マスター」出版記念セミナー
  ・監訳者(私)のイントロダクション
  ・マーシャルによる出版メッセージ
  ・解説者(細川社長)の本の読み方と解説が中心のセミナーです。
  http://www.businesscoach.co.jp/blocks/index/00157

 ■7月12日(金)10:00~17:00
 直伝エグゼクティブ・コーチングスクール
  本格的なコーチングスクールで、組織の上司として、プロのコーチとして、マーシャルのオーラを120%
  浴びながら最高レベルのコーチングスキルと暗黙知を体感できるスクールです。
  終了後に懇親会でマーシャルと談笑もできます。
  まさに、プレミアム・ライブです。
  http://businesscoach.co.jp/blocks/index/00100

 

執筆者プロフィール
久野 正人(ひさの・まさと)

■略歴
1981年、慶應義塾大学法学部卒業。
古河電気工業株式会社入社。人事、海外事業、資材部、ブラジル駐在。
その後、日本サン・マイクロシステムズ(経理課長)、日本シリコングラフィックス(サービス企画部長、経理本部長)を経て、2000年、米国大手医療・研究機器メーカーであるベックマン・コールター株式会社入社。
CFO、事業部長を経て、2005年に代表取締役社長就任。
2011年末に同社を退職し、2012年1月にプロのエグゼクティブ・コーチとして独立。
株式会社エム・シー・ジー代表取締役。http://www.mcginc.jp/index.html

■特徴
2012年1月に独立後、1年半で100名近い社長、役員、部長、次世代リーダーへのコーチングの実績を持つ。
社長、CFO、事業部長等の多彩なポジション経験と日米企業4社(製造業、IT2社、医療・研究)でのグローバル経験(日本企業13年、外資系企業17年、うちブラジル駐在6年)を活かしながらのグローバル・リーダーシップ育成にフォーカスしたコーチングが特徴。
特に、30~40歳代の管理職(次世代リーダー、女性管理職)を対象にした、ハイポテンシャル・リーダー育成を目的としたコーチングに力を注いでいる。ミッションは、「世界で勝てるリーダーを創る」。

■書籍
・『世界基準―8つの動き』(共著、ぜんにちパブリッシング)
・『メンターの力 起業家編』(共著、ミラクルマインド出版)
・『リーダーシップ・マスター』(英治出版)http://www.youtube.com/watch?v=HM5SBLdObGo
・プレジデント誌50周年記念号「職場の心理学第311回」
http://all-in-one-cms.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/businesscoach.co.jp/files/130424_1043_001.pdf

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