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第23回:女性の視点を活かすために~常にその場にいる~

川邊 彌生 川邊 彌生

<ルールを教わる>
 
 ビジネスコーチの川邊です。

 15年ほど前、香港での勤務を終えて帰国した私は、ホテルのトレーニングマネージャーとして勤めはじめました。
 
 当時、研修担当者としてホテルのトップであるGM、重役のスピーチや他社の方との会合をアレンジする機会が多くありましたが、プレイングマネージャーであり、非常に多忙だった私は、一度、GMが話を始めると席を立ち、他の仕事をするというようなことをしていました。

そんな折、同僚の女性マネージャーから、さりげなく教えられたのです。

「上の地位にいる人は、誰かに話しているところをちゃんと見て聞いていて欲しいもの。
あなたが責任担当者として、その場にいることは非常に重要なこと。
それが度重なって、GMはあなたの存在を認め、信頼するようになる。
そしてあなたも会社の方向性を常に把握できる」と。

 全く考えてもみなかった指摘でした。

 観察してみると、確かに男性たちが、常に上司のそばに非常に忍耐強く待機し、嬉々として上司との同行や同席をしていることに気が付きました。

 そこで優先されているのは、何をするかではなく、上司との時間の共有であるように見えました。

 男性にとっては基本のルールで、新入社員に教えることだと驚かれるかも知れませんが、女性はこうした就業規則に書いていないことを教わることが少ないのです。

 日本の男性のOJTはまさに、上司との昼食や同僚との飲み会で行われています。

 一方、女性は、自分を含めて、誰もが伝えられたミッションに忠実であることを疑いません。

 人の感情を読むのは得意ですが、仕事の指示は額面通りに受け取ります。 
 一度、タスクを与えられるとその遂行に真面目に没頭し、しかも常に、公私ともにマルチタスクを担っているため、忙しいのです。

 また、女性は縦の関係で繋がることを好まない方が多いように思います。
 それは、上下関係が苦手だからではなく、むしろ幅広い考察力で他人の気持ちを読むあまり自分を疲労させてしまうことが多いので、自分から避ける傾向にあるのかも知れません。
 だから、ビジネスのルールのOJTをしたりされる機会が少ないのが現状でしょう。

 さて、私は、彼女のアドバイスに従って、重役達が話す機会には、不要だと言われない限り同席することを実行しました。
 部屋の後部の席に座り、姿勢を正して彼の目を見て、うなづいて聞いているだけです。

 その間、この時間があれば、いくつのメールが返信できただろうか、あるいは、他の作業を進められたら定刻通りに退社できるのに・・・、
 とった考えが頭をよぎっても、じっと我慢し、その代わりに参加者の反応を観察しました。

 これを継続していくうちに、話す方が、私の目を見て時々、同意を求めてくるようになりました。

 そして、終了後にアドバイスを求められるようになったのです。
 「今日のスピーチはどうだった?」「僕の気持ちは伝わったかな?」

 それは、その後、どの会社に転職しても同じことでした。
 会議の場に限らず、外部の方とお目にかかる時でも同じことです。
 経営者は孤独であり、フィードバックをもらうことなど滅多にありません。

 じっと話を聞いてくれる女性であるからこそ、サポートしてくれると安心して、フィードバックを求めることができるのかも知れません。

 また、私自身も、日によって話のニュアンスが異なり、トップが今何を考えているのかが良く理解出来るようになりました。
 これは、素晴らしい経営者と働く機会に恵まれた私には、会社の経営を理解し、自分が経営者であったらと考察する良い訓練にもなりました。

 その後、段々と、私自身が社員に会社方針に伝える機会が増え、また取引先の上位の方にお目にかかるという立場になりました。

 するとどうでしょう。
 私の女性の部下は、ほとんどその場に同席しようとしません。

 「川邊さんのお話は何度も聞いていますから」とか「先方は常務さんですから、川邊さんがお1人でお会いになって下さい。
 私はやることたくさんありますから・・・」などと言って、お茶だけ出すと席を立つのです。

 なんともったいない。
 これでは、私はアシスタントに過ぎないと証明しているようなものです。

 何よりの情報収集のチャンスであり、また自分自身の存在を内外に示すチャンスを逸しているのです。

 存在を示すということ、実際に『その場にいる』ということ、同じ船に乗っているということが組織では重要なのです。

 
 <女性の視点・男性の視点>

 女性の脳と男性の脳は構造が違うと言われています。

 女性の脳は、左右の脳神経細胞を連絡する電線の束が太いので、女性の方が能を広く使って常に情報を飛び交わせることができるそうです。

 これが、女性が同時に多くのタスクを行い、他人の感情を配慮しながら会話をすることに長けている理由だそうです。

 細かい女性の配慮や気づきを、きちんと評価している上司も中にはいるでしょう。
 しかし、それは、数値を追いかけるビジネスの目的を補足しているという評価ではないでしょうか。

 多様化した人の価値観や趣向、顧客や社員のニーズに合わせるためには、細かい観察力や配慮、共感力こそがビジネスに革新を起こす可能性を秘めているように思います。

 女性は、自分の貢献の可能性に自信を持ち、組織にとって貴重な視点を発言するために、まず存在を示す『その場にいる』ことから始めていただきたいと思います。

<執筆者 川邊 彌生のセミナー情報>
多様性を活かす4つの組織行動
~女性管理職が増えない本当の理由~

 

執筆者プロフィール
川邊 彌生(かわべ やよい)

亜細亜商務教練有限公司 総経理
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ
明治大学文学部卒業後、セイコーインスツル株式会社に入社。
その後キャセイパシフィック航空にCAとして入社し、11年間、香港で勤務。
帰国後、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルにおいてトレーニングマネージャー就任。
その後、エルメスジャポン株式会社の人事教育マネージャー、シャネル株式会社においてトレーニング部部長として勤務。
2007年イタリアのファッションブランドにおいて人事部長就任。
2012年同社を退職し、6月より現職。

■実績
キャセイパシフィック航空在籍時に、CAとしての勤務のみならずトレーニングスクールに所属しサービス向上プログラムを指導する。
同社勤務中、英国のトレーニング資格を取得し、グローバルサービスの設計と実践に貢献した。
日本帰国後は、一貫して、富裕層を対象とする外資系ホテル・リテール業界において人事制度構築・人材開発に取り組む。
多国籍のメンバーが構成するプロジェクトにも参画しグローバルなプログラムの設計に取り組む。
また、経営陣として、企業理念とサービスを実行・定着させ企業価値を高める施策を数多く実践する。
マーシャル・ゴールドスミスにも2008年来日時、指導を受ける。

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