資料ダウンロード
  1. TOP>
  2. BCウェブマガジン>
  3. 第35回:アンコーチャブル”Uncoachable”という言い訳

BCウェブマガジン

第35回:アンコーチャブル”Uncoachable”という言い訳

エグゼクティブ・コーチングの第一人者であるマーシャル・ゴールドスミス氏によると、
クライアントであるエクゼクティブの中で本人が変わりたいと思っていない人の中には、自分自身の360度多角評価を見せられても、
そのデータを認めない人がいるという。

   

私自身、周りからの客観的なデータを認めないスーパーエゴの持ち主を直属の上司に持ったことがあり、
その後の自分自身の反面教師にしてきた。

    

マーシャル・ゴールドスミス氏は、このようなクライアントはアンコーチャブル”Uncoachable”なので、
コーチすべきではないと言っている。

 

つまり、行動変革に対するコミットメントがないクライアントには、コーチをしても成果が出ないので、
即刻去るべき(Let it go)だということだ。

 

優れたカリスマコーチだからこそ言える言葉だと思う。

 

一方、過去1年間のビジネスコーチとしての自分自身を振り返ると、
反省も含めて上手くコーチング出きなかったクライアントをアンコーチャブルのカテゴリに入れて自己満足している自分がいることに気づいた。

 

自分自身のコーチとしての未熟さを、クライアントの所為にするエゴには情けなくもあったが、
このまま放置するわけにもいかないので、クライアントに自身を開示してもよいと思ってもらうには、どうすれば良いのかを改めて考えてみた。

   

そこには2つのステップがある。

   

第1ステップは、初対面の際に、クライアントの
「このコーチは正直・誠実で尊敬に値する人間であるかどうか」というフィルターを通過することだ。
このテストに合格しなければ、次には進めない。基本的な人間の要件である。この点に関して、私が試行錯誤した中での結論は、
たとえ自分自身の欠点を晒すことがあっても、ありのままの自然体の自分でいることが最善の策だということだ。

 

第2ステップは、クライアントからの信頼を得ることである。クライアントとコーチの間に信頼関係が築かれるまでは、
コーチングに成果がでないことが多い。
信頼関係を結ぼうとしている時点は、コーチの技術、知識、経験、ユーモアや謙虚さなどが活かされる前段階である。

 

両者の信頼関係が結ばれた後は一本道である。コーチはその持てるコーチング技術を使って課題をあぶり出し、
クライアント本人の気づきにより、課題解決のための自身の行動変革につなげればよい。

 

ここでの私自身の気づきは、リーダーシップとフォロワーの関係もコーチとクライアントの関係も、
信頼により両者が結ばれている点で同じだということであった。

 

過去に組織のリーダーシップの役割を担っていたときにも、事業環境にかかわらず、組織が信頼の絆で結ばれているときは結果が良くても悪くても、前に向かってチームとして進めた感覚に近いものがあった。

 

反対に戦争における無能な上官(リーダー)を持った部下の兵士が後ろから上官を殺すと言うことがあったという話をよく聞くが、
これはまさに信頼関係の欠如そのものと言える。

   

ある犠牲を伴う作戦を遂行するにあたり、部下との信頼関係が結ばれていなければ、
リーダーは大変に不安になるものだが、コーチも同じだ。
クライアントの信頼を勝ち得ないままに本質的な質問をしても、全くクライアントに響かず気づきにつながらないことが多い。

   

私はプロのビジネスコーチになってから、それまでよりさらに内省することが多くなった。

   

これは、クライアントに内省を促す本質的な質問をすると同時に、
自分自身がコーチとしての振り返りをすることが多くなったからかもしれない。

 

言い換えれば、コーチはクライアントのコーチングをしながら日々自分自身も気づきを得て、
その度ごとに成長(少なくとも変化)しているのである。

   

中国の古典三国志演義に
「士別れて三日なれば刮目して相待すべし。」
日々精進する人がいれば、その人は3日経つと変化・成長しているので違う人格と接するように相待しなさいとある。

 

まさにコーチも真剣勝負でクライアントに相待することが大事なのだと思う。

 

自戒の念を込めて言うとクライアントに“Uncoachable”の烙印を押して、
次に進むのは簡単ではあるが、それでは自分自身の成長は望めない。

 

最終的には手放すこと”Let it go“は重要なのだが、その前にまだやることがあるのではないかという思いである。

   

人との出会いは一期一会。
クライアントが心の底から行動変革の力が湧き出てくるまで応対して行くことがコーチの成長にも必要と思いつつ、
当面は”Uncoachable”という言い訳なしの鍛錬を積む日々である。

BCメルマガ登録を!

最新のイベント情報やホームページでは紹介していない
コーチング・ノウハウなど、役立つ情報をお届けします。