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第64回:ミッション・ビジョンを定着化させるために大切なこと

栄木憲太郎 栄木憲太郎

プロ野球、日本ハムファイターズの大谷翔平投手は、高校1年生の時に、 「8球団からドラフト1位指名を受ける」というビジョンを掲げました。

そして、このビジョンの実現には、
「体作り」「コントロール」「キレ」「メンタル」「スピード160km」 「人間性」「運」「変化球」の8つの要素を満たすことが必要と考え、 この要素をさらに8つに分解し、 日々の行動に落とし込んで実践したそうです。

例えば「運」。
運をつけるために大谷選手は
「あいさつ」「ゴミ拾い」「部屋掃除」「道具を大切に使う」 「プラス思考」「審判さんへの態度」「応援される人間になる」「本を読む」 ことが必要と考え、日々行動したといいます。

この日々の行動の実践が、
大谷選手の、今のブレない強さにつながっているのではないかと思います。
きっとこの先も、この日々の行動テーマを実践している限り、 困難が立ちはだかっても、きっと乗り越えられるのではないでしょうか。

閑話休題。
会社組織で掲げている「ミッション・ビジョン」。
これを、社員一人ひとりが意識をして行動に移している会社…。
これは理想だと思います。
まさに、一人ひとりが、オーナーシップ(当事者意識)を体現してい る会社です。

先日、一人ひとりが社のミッション・ビジョンを意識して 実践している会社に出逢いました。

その会社に行くと、見ず知らずの私に、 社員の方々が元気な声で挨拶をしてくれます。
マニュアルではない、一人ひとりの「心がけ」を感じました。
当然、業績は毎年上がっています。しかも「驚くほど!」だそうです。

その会社の部長と面談する機会があったので、話を聞いてみました。

私 :「社員のみなさん、とてもイキイキしていますね。」

部長:「ありがとうございます。でも、忙しくて大変ですよ。」

私 :「業績が毎年、驚くほど伸びているそうですが、その秘訣は何ですか?」

部長:「今の市場に恵まれているからですよ。」

私 :「でも、その他に何か秘訣があるのでは?」

すると、その部長は、胸ポケットから1枚のカードを取り出しました。

部長:「このカードに、会社のミッション・ビジョン・行動指針が 記されています。」

私 :「でも、そういうカードは、御社以外でも多くの企業で見かけますよ。」

部長:「他の会社と違う点があるとすれば、私が日々すべき具体的行動にまで落とし込まれていることです。
    ほら、ちょっと枚数が多いですよね。
    だから、どの社員もこれを常に意識できるんです。」

私 :「それは理想ですね。でも、多くの企業の経営陣が、 ミッション・ビジョンを現場の社員に落とし込めず悩んでいると 思います。」

その部長は、こう切り返しました。

部長:「そのミッション、ビジョン、行動指針は、 一人ひとりの具体的な行動まで落とし込まれていますか?
    最も大事なのは、ミッション・ビジョンを日々実践できる具体的な 行動まで落とし込むことです。
    でないと、ただのお題目に終わってしまいます。」

例えば「明るく働きやすい職場づくり」と掲げても、それだけでは、 ただのお題目に終わってしまいます。

そのために、一人ひとりが日々実践できることの一つに「明るい挨拶」が あるそうです。

しかも、この会社の凄いところは、
その具体的な行動を「セルフチェック」するだけではなく、 定期的に「周りの社員から評価される」ということです。

「私もちゃんと挨拶しているか、部下から評価されるんですよ。 だから気が抜けません(笑)。
 それに、もう挨拶しなくていい…なんてことはありません。挨拶に終わりはありませんよ。」

ですが、何気ない「明るい挨拶」が、 その会社にとってミッション・ビジョンの達成につながるなら、 十分、意味のある取り組みであると感じました。

この会社の成長のキーワードは3つ。

  • ミッション・ビジョン・行動指針を、「各自の具体的な行動指針」まで 落とし込んでいる。
  • 自己評価だけでなく、周囲からも評価されるしくみを作ることで、 定着化を図っている。
  • 一過性のものではなく、そのサイクルを徹底して回し続けている。

こうして初めて、
ミッション・ビジョンは定着していくのだな…と感じました。
“ミッション・ビジョン”のような「抽象概念」を、 いかに「具体的な行動」に落とし込むか。
そして、具体的行動を振り返り、“ミッション・ビジョン”に立ち戻る…。
この絶え間ない行き来ができている企業が、 “より良い組織”であるように感じます。

弊社では、
「より良い社会を実現するための、より良い組織創りの追求者であること」 というミッション、
「クライアントの成果にこだわる、唯一無二のプロフェッショナル集団に なること」 というビジョンを掲げています。

ミッション・ビジョンを実現させるための「行動指針」は、以下の通り。

  • 健全な倫理観に基づき、誠実さをもって行動する。
  • 当事者意識を持ち、責任のある行動に徹する。
  • 学習し続ける。
  • 永続的な信頼関係を作る。
  • 物事の本質をとらえる。
  • スピーディに行動する。
  • 他者への気配り、目配り、心配りに徹する。
  • プラスアルファの価値を思考する。

いかに、この行動指針について議論し、共有し、 コンセンサスを取りながら具体的な行動に落とし込むか…。
実は、「粒度を最大限まで高めていく」このプロセスが 最も大事になってきます。

「ミッション・ビジョン・行動指針を作ったから、あとは皆がこれを 意識して実践してください」では、誰も実践しません。
作ってからが「始まり」です。

ミッション・ビジョンを達成するために、行動指針を作ったとします。
そこから、「どのようにして一人ひとりに落とし込んでいくか」 ということが、一番時間がかかりますが、一番重要なプロセスです。
部署も役割も階層も違う社員が、「心がけ」で終わらせるのでなく、 「どう具体的に表現するか」というところまで定義していく必要があります。

例えば、「6、スピーディに行動する」とは、あなたの部署、 あなたのポジションでは、具体的にはどういう行動のことを指すか?
その行動は、クライアントの成果にどのように貢献するのか?
というところまで詰める必要があります。

となると「クイックレスポンスを心掛ける」という定義では、 まだ掘り下げが足りません。
「クライアントからのメールを開いたら、後回しにせずにその場で返信する」 という具体的な行動まで定義する必要があります。

こうして初めて、具体的行動指針が明確になります。
そこまでしないと、社員は実行に移しません。
個々人の想いや考えが先行するばかりです。 

目的、目標設定が明確になれば、あとは実行するだけです。
納得感のある目標設定ができた時、行動に移すというのは、 意外にたやすいものです。
行動に移せない多くの理由は、目標設定が曖昧であったり、 ゴールの先にあるものが見えないためです。

人の生き方は、千差万別です。家族の顔、趣味の顔、地域の顔、 一人の人を取っても、様々な顔があります。
個々人の考え方は様々あってもちろんです。 
ですが、その「会社の顔」として働いている一人の人間として、 会社のミッション・ビジョンに従うのは当然です。
ミッション・ビジョンを実践しないことは、その組織の一員であることを 放棄するようなものです。

その一方で、「ミッション・ビジョンを意識しない、体現しない社員」は 多く存在するという現実もあります。
私が思うのは、多くの社員は、悪意があって実行しないのでなく、
「意識はしても、どう表現したらいいのかわからない」
「自分の行動が、会社の思っているミッション・ビジョン・行動指針に 適っているのかがわからない」
というところに原因があるのではないかということです。

例えば、「スピーディな行動」と言っても、
「何をもってスピーディというのか」「自分が心がけているスピーディさが、 会社の求めている期待値に適っているのかがわからない」と
なってしまうと、 その行動指針は実現されないことになってしまいます。

このように、より良い組織を実現するためには、ミッション・ビジョンを、 具体的な行動に落とし込むための議論が絶対に欠かせません。

また、私が見る限り、イキイキと成長を続けている組織は、そういった 細かい・具体的な行動レベルまで共通認識を持っているように感じます。
しかも、トップからの一方通行でなく、
「現場で議論を重ねた上でコンセンサスの取れた共通認識」 ということもポイントです。 例えば、“挨拶一つ取っても”です。

そこまで明確に設定ができたら、 あとは、一人ひとりの行動にかかってきます。

「やるか、やらないか」

「当たり前のことを、当たり前にできる個人の集合体は強い。」と、 その部長は言っていました。
まさに、その通りだと思います。

そういう“当事者意識を持った、強い個人の集合体”にするために 必要なプロセス…、それは、ミッション・ビジョン・行動指針に対し、
「あとは自分で考えろ」という発想ではなく、「共に考えよう」という プロセスなのかもしれません。

 

執筆者プロフィール
栄木 憲太郎(えいき けんたろう)

ビジネスコーチ株式会社 営業事業本部

中央大学法学部法律学科卒業。株式会社日本旅行に入社後、教育旅行営業に携わる。
5年後、株式会社JTBの入社を経て、2015年にビジネスコーチ株式会社に入社。

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