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事例紹介

【明治大学ラグビー部様】勝ち負けを超えた真に強い組織を作るために

明治大学ラグビー部

田中 澄憲氏(明治大学ラグビー部監督)
ビジネスコーチ株式会社 栄木憲太郎

ビジネスコーチ 
お客様に聞く(クラウドコーチング) ー 明治大学ラグビー部 ー

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チームや組織が勝ち続け、生き残るためには、組織力を高めて強い組織を創り上げることが不可欠だ。それはビジネスの場でもスポーツの場でも変わらない。真に強い組織とはどのようなものなのか、それはどのようにして育てることができるのか。組織力の強化によって22年ぶりに明治大学体育会ラグビー部を優勝に導いた田中澄憲監督とビジネスコーチの栄木氏が意見を交わした。
※同レポートは、5月30日に行われたラーニングイノベーション2019において実施された講演会の講演内容を編集したものです。

田中 澄憲氏について

1994年に明治大学入学。4年生で明治大学ラグビー部の主将となる。卒業後はサントリーに入社し、2005年には同チーム主将に就任。さらに2018年に明治大学ラグビー部の監督に就任し、同年に明治大学ラグビー部を22年ぶりの日本一に導いた。

「真に強い組織」とは何か

tanaka2田中:一番の本質は、学生がラグビーを通して人として成長し、社会に出たあとに社会から認められ、愛され、社会に貢献できる人になることだと考えています。勝つことはもちろん嬉しいことですし、目標ではあります。しかしそれを超えて学生たちがラグビー部を通じて主体的に努力し成長していけるような、そんな姿が本質的なものだと考えています。

栄木:仰ることは理解できます。ただ、スポーツと同じく、営利組織も結果を出さなければ淘汰されてしまいます。『結果が全てだ』『きれいごとを言っても、結果が出なければ認められない』という風潮の中で、勝ち負けだけではない、結果だけはでないものを求めるのはなぜですか?

田中:もちろん、勝つことを目標とはしています。ただ、それだけが目的になってしまうと、勝つためには何をやってもいいということになりかねません。それに、負けたときに何も残りません。私も明治大学ラグビー部のOBですが、1990年代の明治大学ラグビー部は黄金期でした。常に優勝を争っているような強豪チームでしたが、当時の明治大学ラグビー部はとても組織として成立しているとは言いがたいものでした。黄金期に何も残せなかったがために、結果が出なくなってから22年間優勝できていません。それに、19年間決勝戦にも進めないチームになってしまっていました。そのことが、勝ち負けや結果だけを求めない姿勢に繋がっています。

強い組織になるために必要な6つのキーワードとは

eiki1栄木:全体として結果を出していける組織を作るために、田中監督が大事にしているキーワードとして、「リーダーシップ」「チームワーク」「スタッフの連携」「学ぶ風土」「チームカラー」「規律」という6つのキーワードを挙げていただきました。それぞれについて簡単にお伺いしていきます。

リーダーシップ
田中:ここでのリーダーシップとは、学生の中でのリーダーをしっかり育てるという意味です。昔はリーダーシップというと、どうしてもトップダウンというリーダー像でした。しかしフォロワーシップと呼ばれるリーダーのタイプが出てくるなど、今は変わってきています。そして、さまざまなタイプのリーダーが多ければ多いほど強い組織になっていくと私は考えています。明治大学ラグビー部の場合は、キャプテン、副キャプテンのほかにもリーダーを作り、4年生から1年生までのグループを束ねる役割を与えました。彼らは他のリーダーと定期的にミーティングをしながら組織を回しています。

栄木:田中監督をトップとし、その下にそれぞれのリーダーがいる。それぞれに役割を与えてリーダーとの対話の場を仕組みで回していくことで、本人たちの主体性や自立心が養われるということですね。

チームワーク
田中:チームワークとは、本当に苦しいときに助け合えることです。自分が苦しいときは、どうしても自分のことだけになってしまいがちになります。しかし、そのときこそ仲間への配慮や気配りができる。それがチームワークだと考えています。

栄木:組織内では今、無視、無関心、摩擦の回避などが問題になっています。そういった現象の中で、田中監督はどのようにして選手の気配りや気づきを生み出していったのでしょうか?

田中:一番効果的なのは、学生同士で話をさせることです。それから、あえて学生たちを少し苦しい状況に追い込むこともします。トレーニングでも試合でもそうですが、あえて苦しい状況に追い込むと、その中でうまく行かないことがたくさん出てくるんです。そこで、なぜうまくいかなかったのか、次はどうすればいいかということを学生同士で話し合うことで、チームワークが醸成していきます。

スタッフの連携
田中:明治大学ラグビー部のスタッフには、ラグビーコーチ、フィジカルコーチ、メディカルコーチなど多くのスタッフがいます。普段はそれぞれ部門に分かれて仕事をしていますが、その部門だけで一生懸命仕事をしていても、他の部門と繋がれていなければ大きなアウトプットは出せません。より大きなアウトプットを出していくためには、部署を超えた共通認識を持って仕事をすることが重要です。

栄木:部門間で連携がうまくいかずに成果が出せない組織も多いと思います。田中監督は、どのように部門間の連携を生み出していったのでしょうか。

田中:部門別に部屋が分かれていたのですが、そこをあえて一緒の部屋にして、強制的に話す状況を作りました。それから、スタッフのミーティングを定期的に行うことで、各部門の考えをすりあわせる場を作るということも行っています。

学ぶ風土
田中:「学びたい」という意識や姿勢が本人になければ、組織も成長していきません。学べる環境を作ることは非常に重要です。それから、トップレベルに触れさせて刺激を提供することも大事なことだと考えています。例えば明治大学ラグビー部では、トップリーグという社会人ラグビーの練習に学生を送り込んで刺激を与えるということも行っています。企業でいうと、サントリーの場合は「サントリー大学」という架空の大学が社内にあって、社員が希望すれば無料で研修が受けられるシステムになっています。このような環境作りはとても重要です。

チームカラー
これはスタイル、スタンスのことです。自分たちのプレースタイルもそうですし、「明治大学はこうあるべきだ」というスタンスもそう。スタイルが決まっていれば、相手に左右されずに行動できます。自分たちがしっかりやるべきことを、自信を持ってやれるようになるんですね。そして、迷ったときに一人ひとりが立ち返る場所にあたるのがチームカラーだと考えています。

栄木:明治大学ラグビー部元監督の北島忠治監督の言葉「前へ」というのも、まさにチームカラーですね。単に勝てばいい、優勝すればいいというだけの組織では、立ち返る場所がないために組織が崩れてしまうということでしょうか。

田中:そうです。面白い話がありまして、社会人のトップリーグで優勝したチームはスタイルをかざして伸びているチームだけなんです。神戸製鋼、Panasonic、東芝、サントリー。全て、自分たちのスタイルを持っているチームです。ここからもわかるとおり、やはり強い組織になるためには自分たちの立ち返る場所、スタイルを持っていなければならないと感じます。

規律
田中:ルールを守れない組織は、絶対に強くなれません。チームのルールを守れないということは、競技のルールを守れない、社会のルールを守れないことにも繋がります。それは「自分勝手」ということです。

栄木:規律や規範を意識させるのに苦労している組織は多いと思いますが、押しつけすぎると反発が起きたりしないのでしょうか?

田中:反発はあるかもしれませんが、「ダメなものはダメ」というのは当たり前のこと。それをよしとしてしまうと、やはり統制が取れなくなります。そこは信念を持ってやりきるべきところです。ちなみに、この「基準を示す」ということは、私が就任して1年目に徹底して行ったところでもありました。なぜ1年目に徹底したかというと、明治大学ラグビー部の基準を示すことが一番重要だと考えたからです。「これが明治大学の基準なんだ」ということを伝えることで、学生の中では「こういうことに取り組んでいるから自分たちは成長しているんだ、チーム力が上がっているんだ」と考える土壌が生まれます。そのおかげで学生達も成長していて、お互いに自主的に指摘し合えるチームになってきました。

組織強化の一環として、ビジネスコーチ社のクラウドコーチングを導入

tanaka3栄木:真に強い組織作りをするにあたって、田中監督にはビジネスコーチ社のクラウドコーチングも導入いただきました。活用されてみての率直な感想などをお伺いしたいと思います。

田中:導入のきっかけは、学生たちのメンタルを強くしたいと思ったことです。就任1年目のときに、明治大学ラグビー部は19年ぶりに決勝戦に進みました。しかし、連覇中の帝京大学に1点差で敗れてしまったんです。そこで痛感したことが、学生のメンタル的な強さがないということでした。メンタルの強さとは小さなことをコツコツ当たり前にできることではないかと考え、毎日自分の目標を振り返りながら成長していくクラウドコーチングという制度を導入させていただきました。

栄木:導入後も、学生にはクラウドコーチングを強制はしていなかったと伺いました。

田中:強制はしていません。正直な話をすると、クラウドコーチングを導入するときに、絶対に続かないだろうと思っていたんです。そこで、まずは1ヶ月やってみようといって導入してみましたが、意外にも継続できるようになっていきました。選手自身も効果を実感していたようで、導入して23ヶ月くらいしたときに、あるキッカーの学生から「クラウドコーチングをやり始めてから、ゴールキックのときに緊張しなくなりました」という声が挙がりました。自分にフォーカスできるようになったというわけです。そういった声は多くの学生から聞こえるようになっていきましたね。

真に強い組織に必要なことは「理念をしっかり浸透させること」

栄木:最後に、真に強い組織、本質を獲得できる組織になるために1つだけキーワードをあげるとしたら何でしょうか。

田中:「理念をしっかり浸透させること」だと思います。チームカラーのところでもお伝えしましたが、組織がどうあるべきか、組織として何を成し遂げたいのかという部分をしっかり浸透させ、全員にそれを理解させることができれば、判断基準が統一できます。判断基準が統一すれば、それぞれが主体的に考えて動けるようになっていきます。

対談が終わり、会場の参加者から「田中監督、チームリーダー、部員という組織系統がある中で、田中監督といわゆる末端にいる部員達とはどのようにコミュニケーションを取ってきたのか。企業に置き換えるなら、経営者と社員との距離感をどのようにとっていくべきか」という質問があった。

田中:これからのリーダーには、丁寧さも求められるようになると私は考えています。明治大学ラグビー部で言うならば、定期的に監督である私と選手とで11の面談をしています。これはレギュラー、準レギュラーなどにかかわらず、全ての学生と行っています。一人ひとりの考え方やモチベーションをトップが把握するためにも、一人ひとりと話すことは非常に大事だと考えているからです。なおかつ、監督から一人ひとりへの期待を伝えることもとても大事だと考えています。

 

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