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小田急電鉄株式会社

お客様に聞く(コーチング研修)

【小田急電鉄株式会社様】管理職の変化が「階層を超えたコミュニケーション」を生む

左から小田急電鉄株式会社 人事部 小田急研修センター 副所長 草薙 まり 氏、人事部 課長 石渡 智也 氏

コーチングによる管理職の意識・行動の変化

クライアント企業情報

小田急電鉄株式会社

https://www.odakyu.jp/company/about/
鉄道事業、不動産業、その他事業を運営。年間収益1720億8100万円(2019年度総営業収益)。従業員数3847名。

ご担当者様

石渡 智也 氏:
小田急研修センター所長として社員の能力開発に携わった後、2021年4月より現職。能力開発に加えて労務など人事諸業務に幅広く携わる。

草薙 まり 氏:
小田急研修センター副所長として社員研修を担当。管理職向けの研修ミッションを含む人材育成計画の策定を担い、階層別研修や課題別研修などの実施にも携わる。

お客様の課題・ご要望

  • 画一的かつ上意下達のコミュニケーションスタイルからの変革
  • 世の中の変化に対応していくための多様な人材の確保

ビジネスコーチの提案・サポート

  • 部長クラス、課長クラスへのコーチング研修

はじめに

社会の重要インフラを担う大企業の多くは、人口増加に比例して、事業規模を拡大し続けてきました。しかし、人口減少社会に突入し、安定的な成長は見込めなくなり、インフラ企業であってもイノベーションや新規事業の創出が求められるようになりました。それに伴い、企業の人事戦略にも大きな変化が起こっています。

首都圏の交通を担う小田急電鉄株式会社も「画一的なコミュニケーションスタイルを変えることが課題だった」と振り返ります。

その打ち手として導入されたのが、部長・課長クラスを対象としたコーチング研修。管理職の意識・行動の変化は、組織にどのような影響をもたらしているのでしょうか。

コーチング研修導入の背景:多様なコミュニケーションが行き交う「ワイガヤな空気」を目指して

――貴社の人材育成体制についてお聞かせください。

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石渡氏:人事部は人材採用や配置、安全衛生、労務、制度設計・運用、福利厚生などを担っており、人事部の一組織として小田急研修センターがあります。この研修センターにはふたつの役割があり、ひとつは運転士や車掌などの鉄道運行に携わる社員を養成する機能、もうひとつは小田急電鉄全社員の能力開発を担当する機能です。私と草薙は後者を担っており、グループ会社も含めてさまざまな階層への研修プログラムを企画しています。

――コーチング研修の導入にあたり、どのような課題があったのでしょうか。

石渡氏:

画一的だったコミュニケーションスタイルに課題がありました。従来の小田急電鉄は、社会の交通インフラを担う鉄道会社として安定成長を続けてきました。「決められたこと、指示されたことをきっちりやりきる」ことが何よりも重要であり、あるべき人材像も型にはまったものだったんです。コミュニケーションスタイルは必然的に、上意下達の一方通行になりがちでした。

しかし、人口減少社会に突入する中で、鉄道事業は現状のやり方のままでは将来的に減収となることが避けられません。世の中の変化に対応していくためには多様な人材が必要であり、コミュニケーションスタイルも画一的ではなく多様にしていく必要があります。

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草薙氏:鉄道事業は、公共性の観点からお客さま一人ひとりのご要望に対して、柔軟に対応することが難しいサービスです。言い換えれば、安定的な事業運営が求められているんです。それゆえに、新しいサービスの発想があっても、実行するチャンスがなかなかありませんでした。それが、当社で自律的に新規事業を生み出していくことの難しさにつながっていたのかもしれません。

石渡氏:そこでまずは部門長と部門スタッフとのコミュニケーションスタイルを変え、それを部門全体、そして会社全体へと波及させていくために、部長クラスを対象としたエグゼクティブコーチングを2018年に導入しました。社長の星野晃司は当時、「年齢・役職に関わらず語り合うワイガヤな(ワイワイ・ガヤガヤとした)空気をつくりたい」と話していましたね。

――「ワイガヤな空気」。詳しくお聞かせください。

石渡氏:均一に成果を出し、決められたルール通りに業務をこなしていく人材が優秀とされがちだった当社において、従来は社員の多様な声を聞いて経営に取り入れる文化がなかなか育たなかったと解釈しています。ワイガヤな空気が目指すものは、トップダウンで方針を落としていくだけでなく、みんなの声をもとに未来をつくっていくことなのだと。

研修の対象者と目的:上司の価値観を知り、互いに自己開示し合う取り組みが進む

――コーチング研修導入の流れと取り組み内容についてお聞かせください。

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草薙氏:

2017年度から部長クラスを対象に研修を実施しました。それが一巡して、現在はもうひとつ下の階層である課長クラスへのコーチング研修を進めているところです。課長は、経営層と社員をつなぐという意味で会社全体のちょうど真ん中にあたるポジションで、部下を抱えながら、上には部長という上司もいる立場です。そのため、課長のコミュニケーション能力が高まれば、下にも上にも良い影響がもたらされるはずだと考えています。

部長クラスの研修では「リーダーシップのスタイルを見直す」ことに主眼を置いていましたが、課長クラスの研修では、担当部門でのリーダーシップを発揮する立場に加えて「部長や経営陣を動かすフォロワーシップ」も重視しています。

――上司を動かすためには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。

草薙氏:上司が大切にしている価値観を理解した上で行動する必要があると考えています。「この件については、上司との間で共有できている価値観を踏まえると、すぐに賛同してもらえそう」「これについては今のままでは理解を得にくそうだから丁寧に説明しよう」といった形で、上司のリアクションを想定した上で動けるようになることが大切です。

石渡氏:そのためには、上司の価値観を知る機会が必要ですよね。当社では2021年4月から、管理職を対象に「自分が大切にしている価値観や思いを、イントラネットのページ内に掲げてもらう」取り組みも行っています。

草薙氏:この取り組みを浸透させるため、まずは人事部内で、そうした価値観の背景にある思いを共有し合う場をオンラインで設けています。オフィスで自由にコミュニケーションを取ることができたコロナ禍前でも、ここまで互いに自己開示することはなかったです。

研修導入の苦労と成果:かつてはあり得なかった「階層を超えた雑談」で、新しい提案が寄せられるように

――導入の過程で苦労した点はありましたか。

草薙氏:対象者の日程を押さえるのが大変でした。課長クラスは部門の実質的なリーダーであり、日々忙しく、また、本社以外の拠点と行き来していることも多々あります。ただこうした難しさは、研修をオンライン化したことで徐々に緩和されていきました。

石渡氏:研修内容に関して言うと、上司・同僚・部下からの「360度フィードバック」を受ける場面があるのですが、その内容を見て愕然とする課長もいましたね。私たち人事部はフィードバック内容を見ることはありませんし、その評価が処遇面に影響することも一切ありません。時としてフィードバック内容が劇薬ともなりますが、慎重にフォローもしており、受講者自身のコミュニケーションスタイルを見直していくための貴重な材料となっています。

――研修後のフォローにおいて工夫している点はありますか?

草薙氏:研修のインターバル期間には、学習内容を振り返るための課題に取り組んでもらっています。プログラムを一通り終えた人に対しては、部下との定期的な1on1ミーティングを推奨しています。研修参加者が部下との1on1を自発的に実施している姿も見られるようになりました。

――コーチング研修を経て、管理職を中心とした社内のコミュニケーションはどのように変化しているのでしょうか。

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石渡氏:何らかの提案を出すときなど、物事を進める際の上司からのフィードバックが以前と比べてずっと詳細になったと感じます。

草薙氏:同感です。私自身は若手時代、部課長クラスの上司に「自由な発想を聞かせてね」と促してもらったものの、実際に提案すると「こうした理由でそれは難しいんじゃない?」と否定的に返されてしまうことがありました。今は、提案の場だけでなく、アイデアの実現に向けて次につながるフィードバックをくださる部長や課長が増えました。

石渡氏:課長の下には課長代理という役職もあり、かつては担当者が部長と直接話をする機会さえなかなかありませんでした。それが今では会食やプライベートなどの場ではなくても、階層を超えた雑談ができるようになっています。課長である私のところにも、新たな提案がどんどん寄せられているんです。目指していた「ワイガヤな空気」が一部では実現し始めていますね。

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研修効果を会社全体へ波及させ、イノベーション創出を目指す

――他社の研修プログラムと比較して、ビジネスコーチのプログラムにはどのようなメリットがあったのでしょうか。

草薙氏:理論を学び、参加者同士でディスカッションをするプログラムは世の中にたくさんありますが、多くの研修では「受講者のマインドが変わり始めたかな」というタイミングでOJTに戻っていかざるを得ません。

一方でビジネスコーチの研修は、講師が受講者に対して行う1on1のデモンストレーションが魅力的なんです。講師は受講者が抱える悩みをもとに、上司と部下の設定で1on1のデモを行います。「部下が自発的に動いてくれない」「部下が何を考えているのかわからない」など、簡単には解決できなさそうに見える悩みでも、10分程度のデモで「そうか! まずは自分から、アクションしてみよう」と腹落ちして現場へ戻っていく人が多いんです。

また、上司役の講師が、部下役の受講者に投げかける質問は、専門的な難しいものではなく、参考になる台本も用意されているので、「これなら自分もできそう」という実感を持てることもメリットだと感じています。

石渡氏:当社の人材に対する理解が深いことにも助けられています。人材が多様化しているとはいえ、やはりどこかに「小田急電鉄っぽさ」はあると思うんですよね。そうした人材イメージをくみ取り、当社の風土や雰囲気にマッチした提案をしてもらっています。

――ありがとうございます。今後の研修プログラムや、人材育成全般での展望をお聞かせください。

石渡氏:部長クラス、課長クラスとプログラムを実施してきました。今後は駅長や現業の区長など多くの部下を持つ社員にもコーチング研修を受けてもらえるようになれば良いと思っています。当社約4000人の社員のうち、現場の社員が大半を占めているからです。会社を成長させるため、研修効果をさらに波及させていきたいですね。

草薙氏:こうして対象を拡大していけば、当社内でコーチングが共通言語になっていくでしょう。そうなれば研修の定着はもちろん、新たな事業や取り組みの進行もスピードアップしていけるのではないかと期待しています。

石渡氏:将来的には、世間が驚くような新規事業が小田急電鉄から生まれるかもしれません。安全・安定輸送を根幹とする鉄道事業のクオリティを向上させつつ、小田急グループ全体の連携によるイノベーションを目指していきます。

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